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田舎暮らしの本 5月号

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田舎暮らしの本 5月号

3月1日(金)
890円(税込)

© TAKARAJIMASHA,Inc. All Rights Reserved.

リーフレタスの種蒔き時期は春と夏!外葉をかいて長期収穫/竹内孝功さんに教わる自然菜園のスゴ技【第10回】

掲載:2023年1月号

1回穫りではもったいない
外葉をかいて長期収穫を楽しむ

レタスは地中海沿岸から西アジアの乾燥地域が原産。中国を経て日本には奈良時代以前に伝わり、切り口から白い液の出る乳草(チチクサ)から萵苣(チシャ)と呼ばれました。店頭での主役は結球レタスですが、家庭菜園に向くのは非結球のリーフレタスです。野生に近くて育てやすく、長期間にわたり葉をかいて収穫できます。比較的冷涼な気候を好み、種蒔き時期は春と夏。春蒔きが育てやすく、夏は種を休眠から覚ましてから蒔くのがコツです。

※雨水に似た野菜の栄養ドリンク。酢・木酢液・焼酎を1:1:1で混ぜたストチュウ原液をペットボトルにつくり置き、300倍以上に薄めて使う。7Lのジョウロの水には、ペットボトルキャップ(約7mL )3杯の原液を混ぜる。

1 土づくり

初めての菜園では畝を準備
水はけのよい畑で育てる

 どんな土でもよく育ちますが、根が細かく浅く、乾燥や過湿に注意が必要です。水持ちと水はけのよい畑が理想。根腐れを起こしやすいので水はけの悪い畑では高畝にします。初めて畑にする場合は苦土石灰をすき込んで土のpH調整をしておき、その後、完熟堆肥に加えて水はけをよくするもみ殻燻炭、ゼオライトを施しましょう。前作がよく育った畑なら、準備なしでそのまま定植できます。

2 準備

①春の種蒔きはセルトレイに

 春は72穴のセルトレイに種を蒔いて育苗。セルトレイは必要な大きさに切ると便利です。育苗土は市販の種蒔き培土でかまいませんが、もみ殻燻炭を5~10%、バーミキュライトを5%入れると通気性と保水性が高まります。手で握ると固まる程度のかたさ(水分量50~60%)になるよう、あらかじめ水を加えて充分に混ぜてから、トレイに詰めてください。

 トレイの外側にあふれるまで土を盛り、土の上面がトレイより数cm高くなるようにならしたうえで、手のひらで軽く鎮圧。外側のセルまで偏りなく土を詰めます。

セルトレイに育苗土を詰める

板を滑らせてトレイの上側の土を除き、土の上面をならす

セルごとに深さ3〜4mmの蒔き穴をつける

1穴2~3粒ずつ種を蒔く

レタスは発芽に光が必要。覆土は薄く、種の厚みの2倍ほどに。覆土後、しっかりと鎮圧する

覆土鎮圧後、もみ殻燻炭を薄くかけておくと、乾燥防止と地温を高めるのに役立つ

種を蒔いたらたっぷりと水やり

乾燥防止に新聞紙で包み、さらに水をかける。2日後に新聞紙を除くまで水やりしない

②本葉2~3枚で鉢上げ

 種蒔きから3週間ほどで本葉2~3枚まで育ったら、2号ポット( 直径6cm)に鉢上げします。1セルに2本以上育っていたら2本残して植え替えてください。

暖かい日中に、本葉2~3枚でセルトレイから鉢上げ

ポットに植え付け、周囲に入れた土を鎮圧して根鉢に密着させる

ポットに外周から水やりする

③夏の種蒔きは浸水&低温処理

 レタスの種は25℃以上で休眠するため、夏は種を水に浸して表面の発芽抑制物質を流したうえ、冷蔵庫に入れて休眠を解いてから種蒔きします。

 浸水のしかたは、種を茶漉し袋などに入れ、常温の水で24時間。その後、軽く水気を絞ってビニール袋に入れ、冷蔵庫で48時間冷やすと、種の先端から1~2mmの根が出てきます。

途中で1~2度水を替えながら、丸一日水に浸ける

浸水後は冷蔵庫へ。種が呼吸できるよう、袋の口は閉じない

④ポットに蒔いて暑さと乾燥対策

 高温で土が乾きやすい夏蒔きは、セルトレイよりも土が多めに入る2号ポットに種蒔きします。育苗土やポットへの土の詰め方はセルトレイと同様です。生育適温の25℃以下に近づけるため、ポットは木陰やよしずの下などの半日陰に置いてください。

1ポットに2カ所ずつ蒔き穴をつけ、各蒔き穴に2~3粒ずつ芽出しした種を蒔く

バーミキュライト100%で覆土すると夏にも乾きにくい

しっかりと鎮圧。この後、春と同様に水やりして新聞紙で包む

3 定植

①定植前に底面吸水

ポットで育てた苗は本葉4~5枚に育ったら畑に定植します。植え付ける前に1~2時間、ストチュウ水を底面吸水させてください。

タライなどに3cmほどのストチュウ水を張り、ポットの底を浸す

②春は午後、夏は夕方に定植

 定植は株間30cmほどで、春は地温の上がる午後3時~5時、夏は暑さでしおれないよう午後4時以降にしてください。根鉢の上面と地面が同じ高さになるように植え付けます。

植え穴を掘った土を隙間に戻したら、しっかり鎮圧して周囲の土と根鉢を密着させる

③定植後は株元を空けて草マルチ

 植え付けたら周囲に草マルチを。春は地温を上げるため、夏はナメクジやコオロギが寄ってこないように、いずれも株元は草マルチせずに空けておきます。

初期は株元を空けて草マルチ

4 お世話

①定植の2週間後に株元まで草マルチ

 定植の2週間後には、株元まで草マルチして乾燥を防ぎ、地温を安定させ、草を抑えます。

株元までしっかり草マルチして地温の上がりすぎを抑える

②ボカシ肥の補いは定植後20日ごろまでに

 定植後20日ごろまでに、あらかじめ発酵させて吸収されやすくしたボカシ肥を1~2回補います。生の堆肥や米ぬかでは分解が遅く、生育の早いレタスには間に合いません。また、定植後30日を過ぎてからは、病害の原因になるため補いはしません。

※ボカシ肥...米ぬかなど栄養分を多く含む材料を発酵させたもの。前もって微生物によって有機物を発酵させ、 分解を早めておくことで、野菜が養分を吸収しやすくなる。また、微生物の働きで野菜が育ちやすくなる。

ボカシ肥を一握り、株の周囲に草マルチの上からぐるりと補う

ボカシ肥の上に草マルチをかけて紫外線と乾燥を防ぐ

5 収穫

3分の2を残して外葉をかき取り収穫

 定植から30日ほどで、中心部の葉がせり上がり、外葉がしっかり展開します。ここまで育てば、内側の3分の2を残しながら、外葉を順次かき取り収穫できます。かき収穫は長期間続き、トータルでは株穫りの3倍ほどの収量になります。

 株穫りする場合は、外葉を取らずにおき、定植後40日ごろに収穫です。

3分の2を残してかき取れば、外葉が次々に育って長期間収穫できる

株穫りは傷んだ下葉の上側の茎から切り取る

 

監修/竹内孝功

たけうち・あつのり1977年生まれ。長野県を拠点に菜園教室「自然菜園スクール」などを開催。著書に『自然菜園で育てる健康野菜ゼロから始める無農薬栽培』『完全版 自給自足の自然菜園12カ月野菜・米・卵のある暮らしのつくり方』(宝島社)、最新刊『苗で決まる!自然菜園』(農文協)ほか多数。

WEBサイト「@自給自足Life」https://39zzlife.jimdofree.com/

 

文・写真/新田穂高 イラスト/関上絵美・晴香

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