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田舎暮らしの本 6月号

最新号のご案内

田舎暮らしの本 6月号

5月2日(木)
890円(税込)

© TAKARAJIMASHA,Inc. All Rights Reserved.

海に囲まれ、海と生きる。都心から150kmの東京島暮らし【海暮らし in 東京都新島村】

ミルキーブルーの海と白砂のビーチが続くダイナミックな景観と、日本有数のサーフスポットが点在し、東京から週末に行ける離島として人気の新島。この地に根を下ろして20年、波乗り大好き夫婦の“いい波を逃さない島暮らし”とは?

掲載:2023年5月号

東京都新島村 にいじまむら
新島村は東京から約150km南に位置する東京都の自治体。白い砂浜が約7㎞続く羽伏浦(はぶしうら)海岸や、真っ白な絶壁がそびえ立つ白ママ断崖などダイナミックな景観の新島と、リアス海岸が生む美しい入り江と野趣あふれる温泉に彩られた式根島の趣の異なった2つの島からなる。竹芝桟橋から高速船で約2時間20分。調布空港から飛行機で約35分。

 

プロ転向、結婚、出産……。人生を変えた運命の海

間々下海岸にて、佐藤さん夫妻と嘉滉くん(7歳)、碧羽ちゃん(4歳)。晃子さんはボディボードの元トッププロ、「ラッキーさん」の愛称で知られるご主人はモーグルスキーの強化選手だった経歴を持つアスリート夫婦だ。

 東京から高速船で約2時間半、調布から飛行機に乗ればわずか35分ほどで、別世界のような白い砂浜と青い海が視界いっぱいに広がる。世界中のサーファーが憧れるサーフスポットとしても知られる新島では、マリンスポーツ好きが高じて移住を考える人が少なくない。新島歴20年以上のボディボーダー・佐藤晃子さん(44歳)も、その1人だ。八王子出身の彼女が初めて島を訪れたのは20歳のころ。日本とは思えない景色の壮大さに心を奪われた。

 「10代は競技選手として水泳に明け暮れていたんですが、競技から離れ、将来を模索していたときに友人に誘われて来たのが新島でした。〝新島=くさや〞くらいしか知らなかったので、なんてキレイな海なんだろう、おばあちゃんになったらここに住みたい!と直感で思いました。1年後にもう一度島に来て、初めてボディボードを体験したら楽しくて楽しくて」

 元来のアスリート魂に火がついて、寝ても覚めても考えるのは新島の海のことばかり。そんなときに偶然バイト先で新島の知人と再会。運よく居酒屋の住み込みバイトを紹介してもらい、念願の新島移住にこぎ着けた。

 「当時は1年で帰るつもりだった」と晃子さんは言うが、自然相手のボディボードは想像以上に手強い。上手になりたくてストイックに練習に没頭するうちに時は流れ、気づけばプロアマ大会で入賞するほどの実力者に。

 「ボディボードは純粋に楽しくて続けていただけで、プロになる気はまったくなかったんです。30歳を目前にして、このまま結婚もしないで、住み込みバイトではいけないと焦りを覚えて。東京でちゃんと働こう!と思い、新島を出る決心をしました」

 ところが送別会の席で、仕事で島に赴任してきた移住者のラッキーさんと出会い、新島―東京間での遠距離恋愛がスタート。元スキーヤーでプロ選手のコーチもしていた彼のサポートもあって、プロへの転向を決意した。結婚を機に再び新島へ戻り、それ以降、職員住宅に暮らす佐藤さん夫妻。2人のお子さんにも恵まれ、夫婦で波乗りを楽しんでいる。

海の家でボードを借りて、羽伏浦で初めてボディボードを体験したのが21歳のころ。運命の出合いが、晃子さんの人生を大きく変えた。

波のパワーが強い西海岸の羽伏浦や淡井浦では波乗りが楽しめ、波穏やかな東海岸の前浜や黒根海岸では子どもたちと海遊び。目的に合わせて選べるのも新島の魅力。

 お2人のように「きれいな海のそばで暮らしたい」と考える人は多いだろう。けれど外洋に浮かぶ新島は天候が荒れやすく、船の欠航で物資が入らないなど生活面での苦労もある。自治体が移住に力を入れ始めたのも最近のこと。望めば誰もが移住できるわけではないのが現実だ。

 「島では賃貸物件がほとんどなく、家を借りるのが難しいんですよね。その壁を乗り越えられず、島を離れる移住者もいます。私たちも結婚、出産といろんなタイミングで離島を考えましたが、なぜかいつも島に戻ってしまう。パパさん(ラッキーさん)には『お前は新島に呼ばれているから、諦めろ』と言われています(笑)。できることなら、このままずっといたいな」

 現在はプロを引退し、ボディボードやSUPスクールのインストラクターを務める一方、NSA(日本サーフィン連盟)公認ジャッジの資格を取得。サーフィンの聖地・新島を陰で支えるスタッフとして活動する。

 「小さなコミュニティにとけ込むには、謙虚であること、異物にならないことが大切。私たちは新島の海が大好きだから、新島に貢献できる存在になれたらうれしい」と、ラッキーさん。

 次の目標は新島で家を買うことと、公認ジャッジの最高ランク・A級ライセンスを取得すること。いい波を目指して、2人のチャレンジは続きそうだ。

SUP体験スクールでの風景。晃子さんのていねいな指導で初心者でもトライしやすく、新島の新しいアクティビティとして人気。晃子さんの暮らしの様子はInstagram/@accosatoをチェック。

ボディボードスクールでは、世界ランカーの晃子さんから直接指導が受けられる。SUP、ボディボードいずれも新島村観光案内所のウェブサイトからスクールの予約ができる。https://niijima-info.jp/

晃子さんは新島の和太鼓グループ・新島風神組のメンバーとしても活躍中。東京オリンピック聖火リレーのセレモニーでは、堂々たるステージを披露した。

新島名物といえば、300年以上の歴史を持つ伝統食“くさや”。最近、晃子さんはくさや製造元の池太商店でくさやづくりのアルバイトも始めたんだとか。

池太商店の皆さんと。くさいほどおいしい、新島のくさやは奥が深い!

 

佐藤さん夫妻に聞いた「海&島暮らし」のここがいい!

➀スキマ時間に海へ入れる恵まれた環境。いい波を逃しません!
島内にサーフスポットが点在する新島は、刻一刻と変化する潮目を見て、いいときにサーフィンできる!の一言に尽きます。車で10分も走れば海に行けるので、スキマ時間にシュッと行ってシュッと帰ることができる。出勤前や仕事帰りに海へ入る人も多いですよ。朝、海に入るなんて東京じゃ考えられないですが、新島ではごく普通なんですよね。(ラッキーさん)

②島の人は子どもが大好き! 子育てには最高だと思います
子どもが生まれたことで、サーファー以外の人と会話する機会が増えました。島の人は子どもが好きな人が多く、周りの人に育ててもらっている感覚がありますね。用事があるときはママ友同士で助け合っていますし、スクールで教えるときには“もんもクラブ”というサービスを利用して子どもを預けています。週末に家族で気軽に海へ行けるのも新島のいいところですね。(晃子さん)

 

文・写真/秋枝ソーデー由美 写真提供/佐藤晃子さん、新島村

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