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田舎暮らしの本 5月号

最新号のご案内

田舎暮らしの本 5月号

3月1日(金)
890円(税込)

© TAKARAJIMASHA,Inc. All Rights Reserved.

子育て世代の転入率が全国1位! 先輩ママからリアルな情報がもらえる湘南の移住体験ツアーをリポート【神奈川県茅ヶ崎市】

静かな湘南の海で、海辺の暮らしを楽しみながら子どもをのびのび育てたい――。温暖な気候で、都心からのアクセスもスムーズ。都会派の子育て世代の心もつかんで移住先としての人気が高まる一方の茅ヶ崎市。親子で参加できる移住体験ツアーをリポートする。

掲載:2023年2月号

神奈川県茅ヶ崎市 ちがさきし
県の中南部に位置し、人口約24万4000人(2022年11月現在)。市域は海岸線から北部に広がり、平野となだらかな丘陵地からなる。年間平均気温は16℃。JR東海道本線で東京駅から約55分。車では東京ICから東名高速道路、圏央道経由で約40分。

 

親子で参加できる茅ヶ崎の「移住体験ツアー」

 不自由でストレスフルなコロナ禍、「もっとのんびり」「もっと自然を!」と多くのパパママが生き方を見つめ直した。東京通勤圏の茅ヶ崎市では2021年の転入超過数が2214人を記録。子育て世代転入率、東京23区からの転入者増加率のいずれも全国1位になった(総務省「住民基本台帳人口移動報告」2021年結果より)。

 そんな人気移住地・茅ヶ崎で、移住した先輩ママから暮らし心地を聞いたり、アクセサリーづくりを教えてもらったりと、親子で参加できる移住体験ツアーが開催された。「茅ヶ崎といえば海!」とウキウキしながら茅ヶ崎駅を目指した。

 東京駅からJR東海道本線で乗り換えなし、スムーズに茅ヶ崎駅に着く。あいにくの雨に、海!と浮かれた心は落ち着きを取り戻し、この日のツアーを企画した「ママほぐ」のメンバーらと合流した。「ママほぐ」は産後に孤独な〝孤育て〞を経験したママたちがお母さんの居場所をつくろうと2017年に設立した市民団体。産後ケアリスト、保育士、看護師と、さまざまな顔を持つメンバーと、ツアー参加者のレイさん一家の到着を待つ。

 「きゃはははは〜!」

 飛びきり明るい笑い声のもとをたどると、小さい女の子と男の子がじゃれ合いながら改札口からこぼれ出た。カミールちゃんとリアムくん、後ろにはそれを優しく見つめるジョージさん・ジュリカさん夫妻が。2人とも日本語ぺらぺらと聞いて安心しつつ、にぎやかなツアーになりそうな予感。

茅ヶ崎駅改札に集合、まずは「ママほぐ」メンバーと参加者のレイさん一家でパチリ。

移動中も貴重な情報交換。「ママ~〇〇!」と大好きなファミレスを見つけて喜ぶカミールちゃん、きゃっきゃと笑うリアムくんの声も響いてバスの中は大騒ぎ。

 

子育て世代にうれしい生活者目線の情報交換

 「コロナ禍2年目の2020年に、まず単身者や夫婦2人世帯ら身軽な世帯が敏感に反応し、翌年に転入者がぐんと増加。続けて、子育て世代も増えました。いま、その勢いはやや一段落。最近は港区、目黒区、世田谷区と、城南エリアと呼ばれる地域からの移住が増えています」

 と言うのは、茅ヶ崎市秘書広報課の山口行介さん。同課の秋元一正さんも、「海があって山があって、大きな観光地があるわけではないので、静かに暮らせます」と続ける。都心まで1時間弱なら、仕事を変えずに移住する選択もあり。あとは暮らす人の目線で語られる住み心地を知りたい。

 マイクロバスに乗り込み、いざ出発。まち歩きの予定は雨に流れたが、秋元さんのツボを突いたガイドによって歩くような感覚で茅ヶ崎の素顔に触れる。駅周辺は海寄りの南側と山寄りの北側とではガラリと印象が変わること、市役所、総合体育館、文化会館、中央病院、3つの大型スーパー、ホームセンターと生活に必要な施設がコンパクトに集まっていること。自転車で動くとちょうどよさそうだ。

 「そこの公園に遊具は?」「子どもにスポーツの習い事をさせたいのだけど」、レイさん夫妻が次々質問を繰り出し、「ママほぐ」のメンバーが有益な情報を即答していく。あっという間に、浜見平地区にある複合商業施設「BRANCH(ブランチ)茅ヶ崎」に到着した。

 やってきたのは「認定NPO法人まちづくりスポット茅ヶ崎」が運営する交流スペース。手前は遊具のある公園で、室内から大きなガラス越しに隅々まで見渡せる。子どもが好きな本もたくさんあるな、とキョロキョロしていると、カミールちゃんとリアム君は一瞬で先にいた子どもたちに交じって遊んでいる。

「BRANCH(ブランチ)茅ヶ崎」にあるイベントスペースでは、障がい者アーティストの作品を中心にした「ともいきアート展」を開催中だった。レイさん一家はアート鑑賞にも熱心。

 

 テーブルにつき、まずは自己紹介から。レイさん夫妻は2人とも日本生まれで西麻布在住。映像制作会社を営むジョージさんはコロナ禍で会議などはほぼオンラインになり、ジュリカさんは看護師から製薬会社に転職してリモートでの仕事が増えた。

 「子どもは外で自由に走り回ってほしい。東京を離れたい」と言い出したのはジュリカさん。夏に茅ヶ崎を訪れて気に入り、子どもたちも海が大好き。学校のことや高速道路の利用に便利な茅ヶ崎に移住先を決め、1年ほどかけて築浅の一戸建てを購入。住宅ローンを組むにあたり、茅ヶ崎市とスルガ銀行が連携した「移住定住者向け住宅ローン金利優遇プラン」を利用した。

 「市の担当者とのやりとりを通して、転入者のことをしっかり考えてくれるところが、もう東京とは違うなと。愛媛の新居浜市に住んだことがあるのですが、そのときを思い出すよう。ローカルのよさを感じます」(ジョージさん)

配布された子育て世帯向けの冊子を見て、「表紙はどこの公園?」とすかさず尋ねるジョージさん。地図で場所を示し、「『市民の森』ですね。本格的なアスレチックもありますよ」と「ママほぐ」代表の髙村さんが即答。

ランチは「BRANCH(ブランチ)茅ヶ崎」内で購入したお弁当。

 好奇心旺盛でスッとその場になじむレイさん夫妻は、ここでも「ママほぐ」メンバーや市の担当者を質問攻めにする。

 「コワーキングスペースには〝利用者に映像系のフリーランスが多い〞など、それぞれ特徴があって……」「そこで出会った人同士で新しく何かを始めたりね」「そうして先日、おじさんがヨガをやっちゃいけないの?と〝おっさんずヨガ〞というイベントが立ち上がったり」「茅ヶ崎って新しい文化が根付きやすいというか、意識が高く、プラス行動力のある人が多いのかも。毎週あちこちでイベントが開かれるんです」

 実際の生活が想像できるような、楽しい情報が飛び交う。

 ランチのあとは、お待ちかねのアクセサリーづくり。ビーチクリーン活動で集めた海洋プラスチックや小さな貝殻をちりばめて、UVレジンで固め、キーホルダーに。カミールちゃんとリアムくんもこのときばかりは集中して、制作に没頭していた。

 そして帰路、「あの小児科は土日もやってます」「駅前の駐輪場はそことそこ」と、住む人ならではの情報が駅への道中も続く。レイさん一家は3月に引っ越し予定。茅ヶ崎での暮らしがぐっと身近になったことだろう。

ビーチクリーン活動で拾われた海洋プラスチックも、色別に分類されると味のあるビーズみたいできれい。

「アクセサリーづくりを教えてくれた須本清美さん(後列左端)も、都内から茅ヶ崎に移住して15年の先輩ママ。「ママほぐ」のメンバーであるママさんと、遊びに来ていたその子どもたち、そしてレイさん一家。自作のアクセサリーを手にポーズ。

柳島スポーツ公園のふわふわドーム。子育て世帯にとって公園の情報は重要!

「まちづくりスポット茅ヶ崎」が昨年11月に開催した「BRANCHマルシェ」は大盛況! ほかにもさまざまなイベントを開催。利用者は1日平均100~150人。

 

茅ヶ崎市で住宅を探すポイントは?

「100~150㎡の土地付き戸建ては、2021年の相場が3500万~6000万円ほど。しかもここ2年で500万~1000万円ほど価格が上昇しています。海側が高く、山側とは価格に幅がありますが、山側の魅力はかみしめるほどに出てくるもの。自転車で20分も走れば、お散歩の延長の感覚で海にも行けます。比較的安価な物件がある北側と西側に範囲を広げるのも手です。いずれにしろ人気なので、物件が出るとすぐ決まります。こまめなチェックをオススメします」
(秘書広報課 山口行介さん)

 

お母さんの居場所づくりと産後ケア
ママをほぐす=「ママほぐ」

 「子どもを産めば誰でも自然にお母さんになるのかと思ってましたが、こんなに大変なの⁉とショックで。しかも孤独、孤独で。そんなとき助けとなるのはママ友や地域の仲間。でも、いきなり1人でコミュニティに入るのは勇気がいります。一歩を踏み出しやすい場所をつくりたい、ここに来てたくさんのお母さんと出会ってほしい。それを周りのママ友らに言うと、茅ヶ崎って“じゃあ私も!”と人が集まるんです。あるお母さんに『“ママほぐ”が社会とのつながりでした』と言われたとき、やっていてよかったなと。目標はずっと続けること。それが大事だと思ってます」

「ママほぐ」代表・髙村えり子さん。移住して8年目になる2児のママ。6歳のくら花ちゃんと。「ママほぐ」は毎月第1水曜に活動。ボディケアやドライフラワーのワークショップ、11カ月までの赤ちゃんを対象にした「産
後カフェ」などを開催する。https://mamahogu.net

 

ツアーに参加してどうでしたか?

 「まさに地域密着型イベントでした。皆さん地元を熟知していて、今後の暮らしに役立ちそう。アクセサリーづくりも楽しかった! 特に娘はクラフティングが大好きで。息子はからだを動かすのが好きですが、都内だとサッカーやバスケがしたい!と思っても近くにできる場所がなくて。新しい家には小さな庭があるのでクライミングボードを設置したり、ハーブ園に挑戦したいですね」(ジュリカさん)
「今日は来てよかったです。僕自身は茅ヶ崎に住んだらサーフィンを始めようと、やる気満々です!」(ジョージさん)

ジョージさんは日米のハーフで2歳から大学卒業まで父親の故郷である米国で過ごし、
高校まで日本の学校に通ったジュリカさんとは大学で出会った。カミールちゃん、リアムくんと4人家族。

 

茅ヶ崎市 移住定住支援情報
茅ヶ崎の情報は「#ちがすき」をチェック!

 ライフスタイルWEBマガジン「#ちがすき」には移住者インタビューが豊富なほか、「かかりつけ医を見つけよう」という医療特集、イベント情報など、茅ヶ崎での暮らしの魅力を発信している。また市内への移住定住で、一定の条件を満たす場合はスルガ銀行住宅ローン〈優遇金利型〉特別プランが利用できる。上限1億円で、利用期間は35年以内。

問い合わせ/企画部秘書広報課 ☎0467-82-1111
「#ちがすき」
https://rarea.events/features/chigasuki

茅ヶ崎海岸にある約5kmの遊歩道は市民の憩いの場。富士山や烏帽子岩を望む絶景スポットでもある。

「第一カッターきいろ公園(中央公園)」の秋の風景。

 

まだある! 茅ヶ崎市の子育て支援

 市内保育所などの入園数は、2018年からの5年間で4027人から4639人と約600人増加。教育面では姉妹都市ホノルルとの小学生を対象にした交流プログラムや、海沿いのゴルフ場のコースで、卒業イベントを行っている小学校も。また元宇宙飛行士の野口聡一さんの出身地でもあり、星の観望会などの「宇宙教室」の活動も行われている。

市内に4カ所の子育て支援センターを設置し、パパママの育児をサポート。写真は茅ヶ崎駅南口子育て支援センターのフリースペース。

「地元の方とコミュニケーションを取りながら茅ヶ崎での生活を感じていただくイ
ベントは、2023年も継続して取り組む予定です!」
右から、秘書広報課の山口行介さん、秋元一正さん、山口渚さん。

 

文/浅見祥子 写真/鈴木千佳 写真提供/茅ヶ崎市、認定NPO法人まちづくりスポット茅ヶ崎

 

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