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田舎暮らしの本 5月号

最新号のご案内

田舎暮らしの本 5月号

3月1日(金)
890円(税込)

© TAKARAJIMASHA,Inc. All Rights Reserved.

人生の大きな波も乗りこなせ! パワーある波が魅力の大洗でサーフィンを楽しみつつ、ドーナツショップをオープン【海暮らし in 茨城県大洗町】

サーフィンで知った自由な生き方。日本全国、海外のビーチも巡った末に落ち着いたのは、太平洋が真正面の大洗町だった。パワーのある波と優しい人に恵まれて、家庭と仕事と波乗りのバランスをとりながら、充実した日々を送る。

掲載:2023年5月号

茨城県大洗町の大洗磯前神社
茨城県大洗町(おおあらいまち)
水戸駅から南東に約12km。太平洋に面して漁港やフェリーターミナル、海水浴場や水族館、歴史を伝える大洗磯前神社などを有する。人口約1万5000人。東京駅から水戸駅へは常磐線特急で約1時間15分、水戸駅から大洗駅までは鹿島臨海鉄道大洗鹿島線で約15分。常磐自動車道三郷JCTから北関東自動車道経由で約1時間30分。

 

自由な波乗り人生を経て、ドーナツ店もオープン

茨城県大洗町へサーフィンが好きで移住した川端さん

水族館前がいつものサーフポイント。「今日はあいにく波がないですね」。

「大洗は波乗りする環境としてバランスがいいんです。パワーのある波が一年中コンスタントに立つうえ、仕事を含めて家族で生活しやすい。休日はメインの道こそ混みますが、裏道もあり、家から海まで車で3分で行けます」

 川端俊章(かわばたとしあき)さん(49歳)が大洗町に移り住んだのは20年ほど前のこと。出身は大阪、20歳のころからサーフィンにのめり込み、日本で働いてお金を貯めるとバリ島やオーストラリアに滞在して波に乗る生活をしばらく続けていたという。

「和歌山のビーチに波乗りに行ったら、幼なじみに再会してね。留学先のオーストラリアでサーフィンしてたって聞いて、僕も1年間のワーキングホリデービザで渡ったのが始まりです。英語はまったくできませんでしたが、サーフィンが国民的なスポーツのオーストラリアはフレンドリーな人ばかり。手続きを現地の友人に助けてもらって車を買って、楽しくやりました」

 その後、日本でも好環境を求めて友人のつてで職を探し、宮崎県で暮らした。1年ほど過ごしたのち、サーフボードを抱えて大阪、バリ、千葉県、北海道と曲折を経て落ち着いたのが大洗町だった。

「千葉県もサーフィンで有名ですが、プロ志向のシリアスな人が多かった。大洗は気楽です。漁師町で言葉は荒いですが、人は温厚で優しい。知り合いはいませんでしたが、海ではみんなと話をして、仲よくなれます」

 大洗では、妻の裕美(ひろみ)さん(49歳)と結婚してしばらく酪農組合に勤務。娘の歩乃榎(ほのか)さんが生まれ、町内の住宅地に新居も構えた。仕事の合間には波乗り。年間300日は海に入る生活だった。

茨城県大洗町でサーフィンをする移住者

人が少なく波がよく、パワーがあるのが茨城の海の特長。国内有数だと川端さんは言う。

茨城県大洗町でサーフィン仲間と

サーフィン仲間3人が大洗に集合。オーストラリアのよさを教えてくれた幼なじみ(左)は今、千葉県に暮らして波に乗る。

 転機は東日本大震災。地震直後、ウシは待ってくれないと予定どおり酪農家を訪ねたところ、「『何しに来た。自分の家族が第一だろう』と怒られてね」。

「大切なものを見失わずに、素直な気持ちのまま働きたい」。そう気がついて独立の道を探し、出会ったフランチャイズが、キッチンカーでのクレープ販売店。近隣の公園やイベントを中心に出店して回った。ところが9年を経た2020年、コロナ禍でキッチンカーはほぼ営業不可能な状態に。知人から空き店舗の情報もあり、以前から考えていた路面店を出すことにした。

 売り物には近隣に競合店のないドーナツを選んだ。開店までの1カ月間、友人知人に試食してもらい、寝る間も惜しんで試作を繰り返し、レシピを完成させた。SNSによるPRを知人に依頼し、地元メディアに取り上げられたこともあり、開店早々行列のできる人気店に。最近はキッチンカーの稼働も増え、多忙な日々を送る。海に出るのは2週間で2〜3日に減った。

「大洗では、日に用事が3つ4つとすることがあっても、気持ちはわりとゆったりできるんです」

 と笑う川端さん。夢はドーナツ店をフランチャイズ化し、各地の店舗を回りながらサーフィンをすることだという。

「オーストラリアに出店する人がいたら、ロイヤリティーはゼロでもいいかなあ(笑)」

茨城県大洗町の「ROMII DONUT STORE」

川端さんの店舗「ROMII DONUT STORE(ロミー ドーナツ ストア)」は一昨年秋、市街地のホームセンター向かいに開店。

サーフィンで知り合った妻の裕美さん。キッチンカーのクレープ、店舗のドーナツともに手を借りている。

サーフィンで知り合った妻の裕美さん。キッチンカーのクレープ、店舗のドーナツともに手を借りている。

オールドファッションをはじめ、素朴な味わいを大切にするドーナツは全12種類。小麦粉は一から配合。原材料にもこだわっている。

オールドファッションをはじめ、素朴な味わいを大切にするドーナツは全12種類。小麦粉は一から配合。原材料にもこだわっている。

キッチンカーでの出店は想像するよりハードワークだが充実感があり、おいしさとともに笑顔を届けている。

キッチンカーでの出店は想像するよりハードワークだが充実感があり、おいしさとともに笑顔を届けている。

川端さんに聞いた「海暮らし」のここがいい!

①海を眺めると心は安らぎ、シンプルな気持ちになれる 

生活のなかでは考え込んだり悩んだりすることがありますが、海に入れば心が真っ白になって、何ごともちっぽけに思えます。海を眺めるだけで心が安らぐんです。仕事が忙しくて行き詰まったとき、妻は私に「海を眺めてきたら」って言うんですよ。

②知人から獲れたての海の幸が! 旬のおいしさは抜群

大洗では春になるとシラスをはじめ、ハマグリやサヨリ、イワシ、カレイなどの魚介が水揚げされます。ときには知り合いが「獲れたから」と持ってきてくれたり。旬の海の幸が味わえるのは、地元ならではの楽しみです。

「大好きなサーフィンが楽しめる海近くの暮らしは楽しいです」と川端さん。

 

大洗町移住支援情報
穏やかな気候で活気あふれるまち。子育て世帯への支援制度が充実

 砂浜のビーチ、磯、漁港。海の恵みがいっぱいの大洗町は、サーフィン、釣り、キャンプ、サイクリングなどの自然環境を活かした趣味が楽しめる。ここ数年はテレワークの普及もあり、若い世代の移住者を中心としたまちづくりが進んでいる。移住支援制度としては、町内に住宅を取得して定住した子育て世帯向けの定住促進奨励金などを用意。

問い合わせ:大洗町まちづくり推進課 ☎029-267-5109
移住・定住 | 大洗町公式ホームページ (oarai.lg.jp)

茨城県大洗町の風景。ひと際目立つのが、町のシンボル「大洗マリンタワー」。

大洗町の風景。ひと際目立つのが、町のシンボル「大洗マリンタワー」。

茨城県大洗町の特産の「鹿島灘はまぐり」は、大玉でうま味がたっぷり。

特産の「鹿島灘はまぐり」は、大玉でうま味がたっぷり。

「大洗町へぜひ来てね。待ってるよ~」(大洗町イメージキャラクター「アライッペ」)

「大洗町へぜひ来てね。待ってるよ~」(大洗町イメージキャラクター「アライッペ」)

 

文・写真/新田穂高 写真提供/川端俊章さん

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