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田舎暮らしの本 5月号

最新号のご案内

田舎暮らしの本 5月号

3月1日(金)
890円(税込)

© TAKARAJIMASHA,Inc. All Rights Reserved.

伊豆の山に魅せられて開業。納得いく商品をセレクトし、売り上げUP【静岡県伊豆市】

伊豆といえば海というイメージだが、あまり注目されていなかった伊豆の山にフィーチャーして商機をつかんだ山崎さん夫妻。夫婦漫才のようなYouTubeも人気で、県外からもお客さんが訪れるように。自分たちの趣味を活かしてアウトドアショップを開業した夫妻に話を聞いた。

掲載:2023年6月号

静岡県伊豆市の風景
【静岡県伊豆市(いずし)】
伊豆半島の中央部に位置し、西は駿河湾に面し、南は天城山系の山並みに囲まれたまち。修善寺温泉をはじめとした温泉、天城山などの山々、土肥海水浴場など、観光地が多く、自転車のまちでもある。東京駅から修善寺駅まで、新幹線と伊豆箱根鉄道で約1時間30分。(写真提供:静岡県観光協会)

山頂から駿河湾越しに富士山が見える絶景に感動

静岡県伊豆市修善寺へ移住してアウトドアショップを開業した山崎さん夫妻

いつも笑顔の山崎さん夫妻は、YouTubeでも、関西弁のよくツッコむ旦那「もじゃ」と、ボケる嫁「まる」として、夫婦漫才のような楽しい動画を配信している。

SANKAKU STAND(サンカクスタンド)
山崎翔悟(しょうご)さん・和可奈(わかな)さん

翔悟さんは大阪府出身、和可奈さんは北海道出身。山登りが大好きな2人は、スポーツブランド「モンベル」に勤めているときに大阪で知り合い結婚。伊豆の山々に魅せられ2020年2月に伊豆市へ移住、21年5月、修善寺駅前にアウトドアショップ「SANKAKUSTAND」をオープンした。

静岡県伊豆市修善寺のアウトドアショップ「SANKAKU STAND]

今年から、もともと常連客だった大川さん(愛称マッサン、右端)がスタッフとして加わった。サンカクスタンドの三角ポーズで。

 登山が大好きな山崎翔悟さん(29歳)・和可奈さん(29歳)夫妻は、以前から自分たちのアウトドアショップを開きたいという夢があり、店舗の候補地を探していた。

「伊豆で登山したときに、山頂から見た駿河湾と富士山の絶景に感動しました。ここが求めていた場所だと」と和可奈さん。

 翔悟さんも、「伊豆は海ばかりが注目され、山はあまり紹介されない。僕たちにとってはそれが商機になると思いましたね」と話す。

 伊豆半島の玄関口であり、交通アクセスのいい修善寺駅周辺で、自治体の空き家バンクや不動産業者、地域の人たちなどにあたったりして物件を探した。そんなとき、不動産業者から情報をもらったのが、修善寺駅から徒歩1分ほどのところにある元洋装店だった。

「賃貸ですが、家主さんに自由に改修していいと快諾いただけて。初期費用を抑えるために自分たちで改修し、陳列棚などはあったものを活用させてもらいました」と翔悟さん。

 2階、3階は在庫置き場と事務所として使い、自宅は別の場所に借りた。

静岡県伊豆市修善寺のアウトドアショップ「SANKAKU STAND」店内

店内には、ウエアやデイパック、靴のほか、グッズなど、こだわりの商品が並ぶ。「ほかではあまり流通していないものも取り扱っています」。

次の目標はゲストハウス開業に、商店街も含めたイベント

 商品はモンベルで働いていた経験と実際に使ってみた経験などから、2人が納得できたものをセレクト。店頭とネットで販売している。和可奈さんは、「私が店長であることを活かして、女性向け商品が多めです。また入りやすいお店や初心者にもわかりやすい説明を心がけています」と話す。

 さらに、情報発信としてYouTubeを配信している。山の情報や登山グッズの使い方など、ハウツーを中心に動画をアップ。伊豆の山については、インターネットでも情報が少ないため喜ばれていて、動画を見て店を訪れるお客さんも多い。

 休日は、YouTubeの撮影を兼ねて山へ出かけている。伊豆半島も、天城山や伊豆山稜線にはよく行く。山も海も街も温泉も楽しめると2人がオススメするのが、西伊豆の海岸沿いを歩く南伊豆ロングトレイルだ。

「伊豆は低山なので初心者でも挑戦しやすく、歩き方やルート次第で中・上級者も楽しめます。あちこちでダイナミックな景色が見渡せ、山を降りるとすぐに海で、食べ物もおいしい。東京から日帰りで全部楽しむことができるんです」と和可奈さん。

 翔悟さんは「伊豆半島は温泉天国。山登りのあとの温泉が最高です!」と伊豆に来てから温泉にハマっている。

「今後は、僕たちの店がある駅前の商店街が元気になる手伝いをしていきたいですね。うちの店で行っている登山イベントを少し拡大して、商店街のお店にも出店してもらって交流する小さなフェスを企画しています」と話す山崎さん夫妻。さらに、朝が早い山登りの人向けに駅周辺でゲストハウスを始めたいと、庭がある物件を見つけて改修を始めていくという。夢に向かって一歩一歩、着実に上りはじめている。

静岡県伊豆市修善寺の一品料理やまもとにて

行きつけの「一品料理 やまもと」の山本さん夫妻は、頼りになる存在。「若い方が修善寺で開業してくれて、商店街に新しい風が入るのはうれしいですね」と女将さん。

静岡県伊豆市修善寺のアウトドアショップ「SANKAKU STAND」イベント

月に数回は、登山体験やグッズの講習会など、登山に関するイベント「サンカク会」を開催。(写真提供:SANKAKU STAND)

静岡県伊豆市の八丁池

休日は家で休んでいるより、山でからだを動かすほうが元気になるという2人。「山はちょっと入っただけでもリフレッシュできるし、頂上に着いたときの達成感はたまらないです」。写真は、天城の山の中にある八丁池(はっちょういけ)。神秘的な湖面の姿から「天城の瞳」と呼ばれている。(写真提供:SANKAKU STAND)

SANKAKU STAND
住所:静岡県伊豆市柏久保625-9 
☎0558-99-9255
営業時間:12:00~18:00 
休み:不定期 
https://sankaku-stand.com

田舎でお店を開くためのアドバイス

静岡県伊豆市修善寺のアウトドアショップ「SANKAKU STAND」の山崎さん夫妻

現地を訪れ、つながりを持ちましょう!

 物件や地域のしきたりなど、現地に行かないとわからないことばかり。特に店舗物件はネットにはあまり載っていなくて、人づての情報が多かったです。まずは地域を訪れて、つながりを持つことが大切。地域のキーパーソンを見つけると話が早かったりします。開業については商工会議所に相談するのがオススメ。

利用した開業支援&補助金▶店の改修は「伊豆市創業者等支援事業補助金」を活用、仕入れ費用などはクラウドファンディングで集めました。店頭に並べる商品を揃えるために、最初の仕入れは金銭的にとても大変でした。また1年目は売れ行きがわからず、発注書を出すのが怖かったです。

 

伊豆市移住支援情報
東京からアクセスがよく、二拠点居住にも適している

 東京から電車で約1時間30分、車で約105分とアクセスのいい伊豆市は、定住にも二拠点居住にも適したまち。市では、住宅を購入した人や東京圏から移住した人への補助金があるほか、移住体験施設も用意している。また、移住相談の民間窓口として、伊豆市移住情報センター「9izu(クイズ)」を設置、移住希望者に対応している。

問い合わせ先:伊豆市地域づくり課 ☎︎0558-74-3066
https://iju.city.izu.shizuoka.jp
問い合わせ先:伊豆市移住情報センター「9izu」 ☎0558-99-9120

静岡県伊豆市の風景

低山に囲まれたなかにある伊豆市。富士山、駿河湾、箱根連山、梅林など、市内のあちこちに絶景スポットがある。

伊豆市移住体験ツアーの様子

定期的に開催している伊豆市移住体験ツアーの様子。

静岡県伊豆市の移住担当者

「まずは観光でもよいので伊豆市に来て、生活できるかイメージしてみてください」(伊豆市地域づくり課の森田裕介さん)

文/水野昌美 写真/鈴木千佳

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