福島県内の別荘地にあった0円物件は、「あげたい人」=もとのオーナーが通いつめた場所。高齢になって通うのを諦め、譲渡を決めた。100倍以上の倍率のなか、あげたい人の条件に合わせてマッチングしたのは、移住先を求める子連れのファミリーだった。
ほとんどが親から相続した物件。早めに手放されるのは維持費の高い別荘地
「あげたい人」の多くは、親からの相続で物件を得た人です。使うあてもなく維持や解体などにかかる費用が売却費を上回るであろう、いわゆる負の不動産は、できれば子どもに残さず親の代で手放したほうがいい。相続には手間も費用もかかりますから。けれども先祖から引き継いだ土地や家を処分するのには決断がいります。周囲の同意が必要な場合も多いですしね。「みんなの0円物件」のサービスにいったん申し込んだものの、親族の反対で取り下げるケースもあります。また、自分で購入した場合も、購入額より大きく下がってしまった価格で手放すのには心理的に抵抗がある。0円となればなおさらです。
負の不動産を相続した経験からは、空き家の所有者が高齢になっていくのに、子どもや孫に残して大丈夫かな、と心配になります。しかも処分の決断と面倒な手続きは、高齢になるほど難しい。
それに気がついた時点で決断し、売れないとわかれば私たちのサイトを利用してさっさと片付けてしまうのは、賢明な方でしょう。また、利用するあてのなくなった別荘地の場合も、白旗を揚げる人が多いです。所有しているかぎり、管理費や温泉使用料などがかかり続けますからね。
【コラム】空き家にかかる1年間の維持費用は約20万円!?
「空き家」は所有しているだけでお金がかかっており、その金額は税金を除いたとしても、1年間で20万円ほどと言われている。
土地・建物を問わず、不動産を所有していると必ずかかるのが「固定資産税」。また地域によっては「都市計画税」もかかる。これらは、所有している不動産に対し、自治体が決める「固定資産税評価額」に対して課される。固定資産税の場合はおおむね1.4%、都市計画税の場合はおおむね0.3%程度が課税される。(税率は自治体によって異なる)
年に数回でも空き家に宿泊するなどした場合には、水道光熱費がかかる。使用していなくても、いつでも利用できる状態にしておくためには基本料金(約4万3000円)が発生し、積み重なると決して少額ではない。また冬季に気温が大きく下がる地域では、水道凍結などの対策を行なうことも必要になる。
離れて暮らしている場合でも、町内会費が必要になることがある。地域によるが、月額数百円、年間で5000円ほどの費用がかかる。 空き家には、郵便受けからあふれたチラシなどを狙った放火など、空き家ならではの火災リスクがある。火災保険には年間5万円程度の費用が発生する。
雑草や、庭木の剪定などをお願いした場合、1回で5万円程度、年間10万円ほどかかることがある。
地域や物件の状況により金額の上下はあるものの、空き家を管理しに訪れるための交通費や、外部業者による空き家管理サービスを利用するケースなどを考えると、さらに5万〜10万円程度は上乗せされるだろう。
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