「あげたい人」の求める条件に合わせて申し込んだ人のなかから、「ほしい人」をマッチング
マッチングするにあたって「あげたい人」のタイプは大きく、次の2つに分けられます。
① 「ほしい人」が誰でもいい。とにかく早く手放したい人。
② 多少時間がかかっても、条件に合う人を探したい人。
①には、相続前に急ぎたい人もいますし、「住めないような物件なので期待はしない。とにかく誰でもいいので、もらってくれれば」という人も多いです。こうした場合は、サイトに掲載した情報に申し込みのあった「ほしい人」をほとんど先着順に紹介します。
②の場合の条件としては、
・名義変更にかかる費用をできるだけ出してくれる人を探し、費用負担を減らしたい。
・交渉のしやすさを考え、遠隔地でなく近場の人を選びたい。
・物件の周囲には親戚や知人が住んでいるので、譲渡後にトラブルのない使い方をする人に渡したい。
・思い出のある物件を、大事に使ってくれそうな人に譲りたい。
などがあります。私たちはサイトを見て申し込んだ方のなかから、「あげたい人」から提示された条件に合う人を紹介するわけです。
マイホーム、隠れ家、賃貸など0円物件をほしい人のニーズは多彩
「ほしい人」のニーズはじつにさまざまです。タイプは大きく2つあります。
①譲渡された物件を自分で使う。
②自分ではなく他人が使うために入手する。
①は空き家の場合、転居や二地域居住がわかりやすいケースです。いまは賃貸に住んでいるけれど、物件を入手できたら戸建てのマイホームにしたい人。DIYを目的に遊びの家を手に入れたい人。私が相続して譲渡した物件のように、店舗など事業に使うニーズもあります。
②は大家さんになるのを目的に物件を取得し、リフォームして貸し出すケース。人口の少ないまちでも、賃貸物件が少ないなど需給のバランスによっては事業が成り立つわけです。0円物件なら、リフォームに多少の費用がかかっても初期投資のコストを抑えられますから。
サイトに寄せられる物件には、空き家だけでなく土地も少なくありません。ほしい人のニーズは空き家のほうが多いですが、土地を探す人もいます。いわゆる“山ブーム”は数年前から続いていて、キャンプのできる山林を求めたり、別荘地にコンテナハウスを置いて隠れ家的に使ったり。タケノコを採りたいと竹林の譲渡を受けた人もいます。建物付きに比べて、土地を求めるのは、よりアクティブな人が多いですね。
なかには将来の値上がりを期待して土地を持っておきたいという人もいます。時代の流れを見れば、期待どおり進むのは難しいとは思いますけれども。
応募は個人だけでなく法人からもあります。海外から日本に来た方も申し込まれますね。海外から来た方は総じて知識と理解力が高いうえ、バイタリティーが感じられます。たいていの人が尻込みするような荒れた空き家でも、自分たちで直して住んだり。その空き家に住めるかどうかの基準は人によって違うので、こちらではジャッジできないと思いましたよ。
先入観をはるかに超えたユニークなニーズとしては、廃業したパチンコ店の店舗に寄せられた2つです。ビットコインのマイニング(仮想通貨の売買取引を記録する作業。高性能なコンピューターを稼働できる設備投資が求められる)をしたい。イスラム教のモスクにしたい。いずれもマッチングには至りませんでしたが、全国を見るとパチンコ店をモスクに改装した事例はあるそうです。
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