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田舎暮らしの本 12月号

最新号のご案内

田舎暮らしの本 12月号

11月1日(金)
890円(税込)

© TAKARAJIMASHA,Inc. All Rights Reserved.

50坪の菜園付き住宅を400万円で購入し大改修。野菜と花が彩る第二の人生 京都府舞鶴市

掲載:2021年7月号

波穏やかな舞鶴湾を中心に美しいリアス海岸が広がる舞鶴市は、京都府北東部の港湾都市。海辺に形成された2つの市街地を少し離れると、のどかな山里の風景に包まれる。ここへ京都市から移住した女性は、大好きな野菜と花々の潤いに満ちた暮らしを満喫中!

「移住前は貸農園を利用していましたが、今は自宅の菜園で野菜づくりを思いきり楽しんでいます」と島田文子(しまだふみこ)さん。

菜園スペースは約50坪。作物に応じて獣害対策のネットを2重に施している。

あこがれだった縁側のある暮らし。「庭のお花や山を眺めながらのコーヒータイムは最高です」。

日本海が深く入り込んだ舞鶴湾に面する舞鶴市。市街地は軍港として栄えた東舞鶴地区と、城下町や漁港の風情が漂う西舞鶴地区からなる。特産の野菜 は「万願寺甘とう」「佐波賀だいこん」など。舞鶴若狭自動車道を経由して大阪から2時間弱。

大型クルーズ船も寄港する舞鶴西港はお気に入りのスポット。近くに朝獲れた魚が並ぶ道の駅「舞鶴港とれとれセンター」も。

 

花壇で縁取った菜園に、食べたい野菜が満載 

 西舞鶴から車で約15分の山辺で暮らしながら、無農薬で季節の野菜づくりに励むのは、京都市の実家から昨年11月に移り住んだ島田文子さん(73歳)。「たくさんの種類を植えたいので、カボチャのような場所をとる野菜は植えません。サラダや天ぷらなどいろいろな料理で食べたいですから」と笑う。

 移住のきっかけは孫の世話。舞鶴へ嫁いだ娘に頼まれ京都市から通っていたが、負担が大きく、近くに住もうと決めた。

「ずっとウナギの寝床の町家暮らしだったので、菜園付きで広い縁側がある田舎の家にあこがれていました」

 空き家バンクで見つけた400万円の家は、約50坪の菜園付き。所有者が野菜づくりを続けていたため、状態よく保たれていた点も気に入った。

「ただ、母屋は傷みが激しく、すぐには住めない状態。手を入れるうち、400万円の予定の改修費が800万円に膨らみ、実家を手放すことに」

娘さん夫婦や孫たちにも手伝ってもらいながら、DIYで壁や天井を塗り替えた。

壁の塗装を手伝った記念に孫たちの手形が階段まわりに。

【玄関・Before】扉や壁が老朽化でボロボロだった玄関まわりは一度解体。

【玄関・After】玄関ドアを取り換えるとともに、ホール内の壁は珪藻土でピンクに塗り替えた。

縁側のある和室は、もとの雰囲気を残しつつ畳・襖・ 障子を交換。

流し台を取り換え、Pタイルの床やクロスの壁に一新したダイニングキッチン。

 並行して菜園の整備に着手。まずは周囲に茂っていた雑草を除去して、京都から持ち込んだ花々で花壇をしつらえ、野菜や果樹も少しずつ植えた。

「葉物には油かすの液肥をつくり、葉の色を見ながら水代わりに与えているんですが、このあいだは驚くほど色のよいホウレンソウができました」

 多く収穫できた野菜は、以前なら遊びに来た友人や親類にあげていたが、コロナ禍の今は持て余すこともあり、農協の直売所へ卸す許可をもらった。何より一番の喜びは、そのおいしさを自分自身が日々実感できること。育った野菜を毎朝少しずつ収穫しながら、フレッシュなサラダやジュースなどで味わい、元気の源にしているという。

菜園の周囲はアストロメリアやアガパンサス、キョウカノコなど、大好きな花々で彩った。

キャベツのほか、パセリ 、キクナ 、ミツバ などは島田家の食卓の定番。毎日の食事に取り入れている。

その日に収穫した野菜に果物とカルピスや豆乳を加えて野菜ジュースに。毎朝飲むのが健康の秘けつだそう。

まちの役員として移住を歓迎してくれたという鉄尾富士男さん。現在は区長を務めている。

【改修にかかった費用(概算)…約800万円】

キッチン・浴室交換、トイレ水洗化、玄関改修、床・壁張り替え、 アプローチ舗装など。

【地域でかかる費用】

区費…月2000円

テレビ共同アンテナ費...月2000円

【参加予定の行事】

草刈り、神社の管理、秋祭り、不燃ゴミの日の当番など。 

 

技あり!島田さんの菜園の工夫

環境に合わせた畝の形状に

 土を軟らかく保つとともに、肥料流出防止や保温・保湿のため、畝の覆材として黒色マルチやワラを採用。想定外だったのが冬の栽培の厳しさで、野菜に被せたビニールカバーが強風にあおられたり、とけた雪の水はけが悪かったり。そのため畝の長さを半分にして間隔を空け、風の影響を受けにくい向きに変更した。

冬の強風を受け流して水はけをよくするため、畝を短くするとともに向きも変更中。

 

舞鶴市“ 農 ”topics

農家としての独立を応援

 舞鶴市では京都府と連携して、就農希望者向けの研修の場として「担い手養成実践農場」の取り組みを推進している。1年間で独立・自営就農を目指す営農開始型のほか、2年間で栽培や営農の実践的な技術を身につける就農準備型を選ぶことも可能。研修の受け入れ先から農地探しまで市が一貫してサポートする。

新規就農希望者を受け入れ、就農に必要な技術の習得をサポート。お問い合わせ:農林課 ☎︎0773-66-1023

文・写真/笹木博幸 

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