掲載:2021年7月号
波穏やかな舞鶴湾を中心に美しいリアス海岸が広がる舞鶴市は、京都府北東部の港湾都市。海辺に形成された2つの市街地を少し離れると、のどかな山里の風景に包まれる。ここへ京都市から移住した女性は、大好きな野菜と花々の潤いに満ちた暮らしを満喫中!
花壇で縁取った菜園に、食べたい野菜が満載
西舞鶴から車で約15分の山辺で暮らしながら、無農薬で季節の野菜づくりに励むのは、京都市の実家から昨年11月に移り住んだ島田文子さん(73歳)。「たくさんの種類を植えたいので、カボチャのような場所をとる野菜は植えません。サラダや天ぷらなどいろいろな料理で食べたいですから」と笑う。
移住のきっかけは孫の世話。舞鶴へ嫁いだ娘に頼まれ京都市から通っていたが、負担が大きく、近くに住もうと決めた。
「ずっとウナギの寝床の町家暮らしだったので、菜園付きで広い縁側がある田舎の家にあこがれていました」
空き家バンクで見つけた400万円の家は、約50坪の菜園付き。所有者が野菜づくりを続けていたため、状態よく保たれていた点も気に入った。
「ただ、母屋は傷みが激しく、すぐには住めない状態。手を入れるうち、400万円の予定の改修費が800万円に膨らみ、実家を手放すことに」
並行して菜園の整備に着手。まずは周囲に茂っていた雑草を除去して、京都から持ち込んだ花々で花壇をしつらえ、野菜や果樹も少しずつ植えた。
「葉物には油かすの液肥をつくり、葉の色を見ながら水代わりに与えているんですが、このあいだは驚くほど色のよいホウレンソウができました」
多く収穫できた野菜は、以前なら遊びに来た友人や親類にあげていたが、コロナ禍の今は持て余すこともあり、農協の直売所へ卸す許可をもらった。何より一番の喜びは、そのおいしさを自分自身が日々実感できること。育った野菜を毎朝少しずつ収穫しながら、フレッシュなサラダやジュースなどで味わい、元気の源にしているという。
【改修にかかった費用(概算)…約800万円】
キッチン・浴室交換、トイレ水洗化、玄関改修、床・壁張り替え、 アプローチ舗装など。
【地域でかかる費用】
区費…月2000円
テレビ共同アンテナ費...月2000円
【参加予定の行事】
草刈り、神社の管理、秋祭り、不燃ゴミの日の当番など。
技あり!島田さんの菜園の工夫
環境に合わせた畝の形状に
土を軟らかく保つとともに、肥料流出防止や保温・保湿のため、畝の覆材として黒色マルチやワラを採用。想定外だったのが冬の栽培の厳しさで、野菜に被せたビニールカバーが強風にあおられたり、とけた雪の水はけが悪かったり。そのため畝の長さを半分にして間隔を空け、風の影響を受けにくい向きに変更した。
舞鶴市“ 農 ”topics
農家としての独立を応援
舞鶴市では京都府と連携して、就農希望者向けの研修の場として「担い手養成実践農場」の取り組みを推進している。1年間で独立・自営就農を目指す営農開始型のほか、2年間で栽培や営農の実践的な技術を身につける就農準備型を選ぶことも可能。研修の受け入れ先から農地探しまで市が一貫してサポートする。
文・写真/笹木博幸
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