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田舎暮らしの本 5月号

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田舎暮らしの本 5月号

3月1日(金)
890円(税込)

© TAKARAJIMASHA,Inc. All Rights Reserved.

荒地からでもOK! 家庭菜園で野菜を自給する5つのポイント

掲載:2021年7月号

空いたスペースを菜園にして、小さく自給を始めてみましょう。自給菜園を上手にスタートさせる5つのポイントを、自然菜園コンサルタントの竹内孝功(あつのり)さんに伺いました。

 

【ポイント1】小さい面積から始める

 田舎暮らしの菜園は、毎年同じ場所で続けられるのがいちばんのメリットです。お世話が行き届くと野菜が年々よく育つようになります。ですから無理をせず、長く続けるのがコツ。最初のポイントは小さい面積から始めることです。

 小さく始めると、①お世話が行き届いて野菜がよく育ち、収量が多くなります。②草刈りが楽で、「よく手入れしている」と、地域からの信頼が得られ、③年齢が上がっても無理なくできます。数年続けると作業にも慣れ、菜園の風土への理解も進み、徐々に面積を広げられます。

 菜園の面積は小さいほうがよく、菜園初体験の方や、畑ではない庭を開墾する場合などは、まずは20㎡以下から始めてみてください。

 

週に1日お世話ができるなら、20〜30㎡

夏の果菜類の畝(夏畝、なつうね)と葉菜類の畝(冬畝)を同じ面積でつくり、年ごとに場所を入れ替えます。ジャガイモはネギとセットで固定畝を決め、交互に場所を入れ替えて育てます。

 

菜園に慣れて週2〜3日お世話ができるなら、〜50㎡

ネギとジャガイモ、サツマイモ、カボチャなど、収穫を含めたお世話に比較的手がかからない野菜の連作畝を増やします。この面積でも慣れてくれば夫婦で食べる野菜の8割がたを自給できるようになります。

 

【ポイント2】菜園にする場所のタイプを知る

 一口に菜園のできる田舎物件といっても、土地の状況はさまざまです。空き家バンクの物件などによくある例について見ていきましょう。

 

[庭]培土(ばいど)を入れて畑に変える

 1日のうちの日当たりが半日以上あれば畑にできますが、庭の土は畑の土とは異なるため、菜園として使っていた場所でなければ、しっかり準備してから始めましょう。種蒔きや定植の1カ月前までに、プランター用培土を混ぜて畝をつくります。石やササの根などは取り除いてください。まずは、野菜が育つ土にすることが大切です。

1m²当たりプランタ ー用培土を20L以上、さらに堆肥3~5L 、もみ殻燻炭1~2L、苦土石灰100g、バットグアノ100gを加えて畝立てするとよい。

 

[放置された畑]多年草の根を取り除いて開墾

 一年草に覆われた放置期間の短い元耕作地なら、草を除いて畝を立てるだけで菜園になります。ススキやセイタカアワダチソウ、スギナ、ヨモギ、ササなど多年草が生えていたら、土を掘り起こして根を除く必要があります。菜園にできずに残したところは、草を大きくしないようこまめに刈ると、しだいに草勢が弱まります。

 

[元水田の休耕地]サトイモや大豆を育てて徐々に畑化

 元水田を菜園にする場合は、水口を閉じて浸水を防ぎ、水がたまるなら溝を掘るなどして排水します。畝は高くして過湿を防ぎ、サトイモ、ショウガ、大豆など水田の周辺を好む作物を育てます。畝の準備に完熟堆肥を施したり、草を厚めに敷くなどして数年栽培を続けると、徐々にいろいろな野菜も育つ畑になります。

 

【ポイント3】育てやすい野菜から始める

 野菜には比較的畑を選ばず育 つものと、よい畑を求めるものとがあります。まずは育てやすい野菜から始めましょう。

ミニトマトは野生に近く、初めての畑でも育てやすいうえ、完熟は味もよい。

 

【ポイント4】緑肥作物で草刈りラクラク

 菜園以外の土地の手入れも大切です。草はこまめに刈りましょう。地域での信用がアップし、お付き合いしやすくなります。

 空いた畑には緑肥作物を。イネ科のエンバクとマメ科のクリムソンクローバーを蒔くと、草刈りの手間が減らせ、景観が保たれ、土もよくなります。種蒔きは3月〜4月か9月〜10月。草を刈って耕してから蒔き、再度浅く耕してください。その後は種ができてから刈ると、翌年から種蒔きなしで生えてきます。

 畦には多年草の白クローバーと芝生の種を交ぜて蒔きます。ほかの草の生育が抑えられ、草刈りが楽になります。種蒔きは草が乾いているとき、草の上からばら蒔いてから、草を刈ってください。

赤い花の咲くクリムソンクローバーは、景観を保つのにも役立つ。畑には200g/100㎡をエンバク600g/100㎡と交ぜて蒔く。

 

【ポイント5】ご近所にあいさつ&情報収集

 菜園を始めたら、周囲の家や田畑の人、通りかかって足を止める人には声をかけてあいさつしましょう。どんな野菜が向いているかや、種蒔きの適期、鳥獣害の実態などのほか、田舎暮らしを豊かにする地域のさまざまな情報も得やすくなります。

 

アドバイス◎獣害対策はしっかりと!

田舎暮らしではハクビシン、イノシシ、シカ、サルなどの獣害が増えています。周囲をネットやトタン、電気柵で囲われている田畑が見られるなら、獣害のある地域です、どんな動物の被害があるのか地元の人に尋ねて、柵を設置する、狙われやすい作物をつくらないなど必ず対策してください 。放置すると餌付けになり、年々個体数が増えて被害が広がり 、ついには栽培ができなくなってしまいます。

 

アドバイス◎空きスペースの管理は刈り払い機で

草刈りは4月から10月まで、最盛期には半月に1度ほど行う必要があるため、100㎡以上にもなれば、刈り払い機を使うのが現実的です。パワーのあるエンジン式のほか、庭プラスアルファ程度なら扱いやすい充電式も選べます。

 

監修/竹内孝功(たけうち・あつのり)

1977年生まれ。長野県を拠点に菜園教室「自然菜園スクール」などを開催。著書に『 完全版 自給自足の自然菜園12カ月 野菜・米・卵のある暮らしのつくり方』『ゼロから始める無農薬栽培 自然菜園で育てる健康野菜』(宝島社)、『これならできる! 自然菜園』(農文協)、『自然菜園で野菜づくり』(家の光協会)、『1 m²からはじめる自然菜園』(学研パブリッシング)など。

WEBサイト「@自給自足Life」https://39zzlife.jimdofree.com/

自然菜園スクール http://www.shizensaien.net/

オンライン自然菜園 Q & A セミナ ー「自然菜園 LifeStyle」 https://shizensaien.stores.jp

 

文・写真/新田穂高 イラスト/関上絵美・晴香

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