首都圏の暮らしにストレスを感じ、宮崎県日向市の海辺へ移住した横倉さん。趣味のサーフィンの楽園で農業に就き、新生活へスムーズにテイクオフした。
都会のデスクワークから、アウトドア主体の生活へ
全長約4kmにおよぶ白砂青松の海岸が広がるお倉ヶ浜は、大小さまざまな波が絶えず打ち寄せ、全国有数のサーフポイントとして親しまれる。国際大会や全日本大会の舞台になることも珍しくないこの浜を中心に、40年来の趣味であるサーフィンを楽しむのが横倉雅弘(よこくらまさひろ)さん(59歳)。2020年4月、神奈川県茅ヶ崎市(ちがさきし)から移住した。
「自宅から車で5〜15分の範囲に金ヶ浜(かねがはま)、お倉ヶ浜、伊勢ヶ浜という3つのサーフポイントがあり、その日の波を見て行き分けています。いずれも波が大き過ぎることはあっても、小さ過ぎて入れないということはありませんし、首都圏と違って人が多過ぎないのも魅力です」
そう話す横倉さんは、長年にわたって予備校や介護施設の事務員として働いていたが、元気なうちに太陽の下で汗を流す仕事がしたいと考え、農業に携わろうと決意。サーフィンができる場所で検討し、候補地の1つだった宮崎県の移住相談窓口で日向市をすすめられた。
「まずは現地を見てみようとお試し滞在施設を利用しましたが、まちがコンパクトなので日常生活の利便性は都会と遜色ない印象でした。いい波が入るきれいな海が目の前にあり、落ち着いたビーチの雰囲気を含めて理想的。事前に宮崎県の就農セミナーなどに参加してJAの方とお話をしていたこともあり、滞在中に今の仕事を紹介してもらうことができ、住まいもすぐに見つかりました」
農業が半分、海が半分のスローライフを目指す
現在は、市内南部の美々津(みみつ)にある農業研修施設JAファームひゅうがトレーニングセンターの社員として、ミニトマトの栽培管理を担当。農業初心者のため日々学びながらの作業に悪戦苦闘しながらも、ハウスを一歩出ると青空や吹く風が気持ちよく、気さくな場長や仲間との仕事にやりがいを感じている。
そして、プライベートな時間の過ごし方は波乗りが中心。
「休みの日はもちろん、ようやく仕事にも少し慣れてきたので、作業が早めに切り上げられたときには午後からサーフィンをしに行くことも。こんなに気軽に海に入れるなんて、移住前の生活では考えられなかったこと。また、日向市は水温が比較的高く、冬場に着用するウエットスーツは茅ヶ崎にいたときよりも1〜2㍉薄くでき、からだへの負担も少なくなりました」
海の外では、サーフィンを通じたコミュニティも広がった。例えば、お試し滞在時に知り合ったプロサーファーの海埜士(うみのあきら)さんのサーフショップへは、今もことあるごとに立ち寄って情報交換をしている。その店の常連として出会った黒木彩乃(くろぎあやの)さんのコーヒーショップを訪ねたときには、居合わせた客に職場近くの転居先を紹介してもらえるという幸運もあった。
「このまちの人たちとの交流を含めて、働いていても遊んでいても楽しいことばかり。住み心地は最高です。ゆくゆくはどこかビーチが見える小高い丘に家を建てて、農業半分、海半分という生活ができたら」
と、横倉さん。まずはミニトマトをしっかりとつくれるよう仕事に打ち込みながら、スローライフの度合いを少しずつ深めていく計画だ。
担当者イチオシ!日向市で楽しめる趣味&スポット
海を中心とする遊びが満載
「広くて美しい海と空が一番の魅力。サーフィンはもちろん、SUP、磯釣り、パラグライダー、海辺でのゴルフなど、多彩なアクティビティを満喫できます」と、総合政策課の松岡雅仁さん。手軽な登山スポットの冠岳(かんむりだけ)、安くておいしい海産物が揃う店など、豊かな自然の楽しみが尽きない。
日向市移住支援情報
お試し滞在施設2棟を用意
日向市での暮らし体験、住まいや仕事探しの拠点として活用できるのが、市内2カ所に設置されたお試し滞在施設。1棟は市内中心部や人気の海水浴場に近く、もう1棟は近年問い合わせが増えているという南部エリアに位置している。どちらも3DKの平屋で、駐車場や基本的な家具・家電付き。1日当たり1棟1000円で、最長14日間まで滞在可能だ。
問い合わせ先:総合政策課 ☎0982-66-1001 https://phew-hyuga-iju.jp/
文/笹木博幸 写真/樋渡新一
この記事のタグ
田舎暮らしの記事をシェアする