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田舎暮らしの本 11月号

最新号のご案内

田舎暮らしの本 11月号

10月3日(木)
890円(税込)

© TAKARAJIMASHA,Inc. All Rights Reserved.

家の敷地は約7500坪! 人気竹細工作家が選んだ温泉のある暮らし【大分県九重町】

掲載:2022年1月号

2021年11月上旬の情報です。
すでに契約済みの場合があります。
最新情報はこちら!→九重町空き家バンク

標高1700m級の名峰が連なる「九州の屋根」こと、くじゅう連山を仰ぎ、町域の多くを山林や原野が覆う山里が九重町(ここのえまち)。なかでも美しい自然を保つ飯田(はんだ)高原への移住を決めた竹細工作家の夫妻は、身近に点在する数々の名湯に癒やされながら日々の制作に精を出す。

山林を含めて敷地約7500坪の物件を購入し、工房兼自宅として暮らしを営む吉田さん夫妻。

吉田竹物の屋号で商品を制作し、福岡や東京の雑貨店などで販売。右が人気のコーヒードリッパー1万5400円。紙フィルターなしで使えて、コーヒーの味がまろやかになるという。

大分県中西部の九重町は、南部にくじゅう連山がそびえ、町域の約半分が国立公園や国定公園に指定。至る所に湧く温泉は九重“夢”温泉郷 として親しまれる。大分空港から町内中心部へ大分自動車道を経由して車で約1時間。

制作環境を追求した結果、いで湯の里へ行き着いた

 阿蘇くじゅう国立公園に含まれる標高1000m前後の丘陵地に、のどかな草原や湿地の風景が広がる飯高原。くじゅう連山の1つである涌蓋山(わいたさん)を望む高台で2021年9月から暮らしているのが、ともに竹細工作家の吉樹(よしだなおき)さん(41歳)・紀子(のりこ)さん(43歳)夫妻だ。

 2人は大分県立竹工芸訓練センターで学び、伝統工芸士の下で修業。結婚後、由布市に住んでいたが、よりよい制作環境を求め九重町への移住を決めた。

「材料のマダケの生産量が日本一の大分県内に絞り、竹が嫌う湿気の少ない高原エリアで物件を探していたんです。趣味の登山が近隣で楽しめる環境や、薪を採取できる山林が付いていることも気に入りました」

 と、直樹さんは話す。購入した物件は2階建ての8DKで、リビングとキッチンを中心に好みの内装へと改修した。広い土間や大きな納屋、気兼ねなく竹材処理の煮炊きができる広い庭は、仕事の面で重宝。編み目が美しいバッグやかごのほか、現在2年待ちというコーヒードリッパーの制作に日々励む。

「今は趣味を楽しむ余裕はありませんが、目の前に広がる雄大な風景や季節の花々に癒やされ、高原野菜はおいしい。手仕事の商品は心の状態が影響しますから、気持ちにゆとりが生まれるのがいいですね」

 と、紀子さん。一方で座ったままの作業が続くと、2人とも全身がガチガチに凝る。そんなときには身近な温泉へ。最寄りの筌の口(うけのくち)温泉をはじめ、長原(ちょうじゃばる)温泉や寒の地獄温泉など飯田高原だけでも複数の温泉がある。

「まだ試している段階ですが、いろいろと選ぶ楽しみがあり、飽きることがありません」

そう口を揃える夫妻は、スキーやスノボも趣味。近くには町民は無料のくじゅう森林公園スキー場があるので、仕事にゆとりができたら再開したいという。

自宅の広縁が竹細工の制作場。長い竹材を扱える広さがあり、庭の眺めに心が落ち着く。

自宅のすぐ上にある畑では、自然農に近い手法で野菜を栽培している。

既存の鶏小屋をアレンジして薪棚に。薪ストーブや薪風呂など火のある暮らしを満喫。

和室だった居間をモダンなリビングへ一新。床はクリ材、窓はペアガラスの幅広サッシにした。

長者原のタデ原(わら)湿原はラムサール条約登録の貴重な動植物の宝庫。秋は木道をススキが彩る。

ほかにも近くに温泉あり!
筌の口温泉の新清館(しんせいかん)へは自宅から車で約2分。ナトリウム・マグネシウム・カルシウム-炭酸水素塩・硫酸塩泉。

牧場直営の農家レストラン「べべんこ」は、移住準備時によく利用した。写真の「豊後牛焼肉丼」1730円などが自慢。http://www.eaglefarm.net/bebenko

九重町オススメスポットグルメ

高原の湯・遊・食の宝庫

「町内12カ所の温泉群『九重“夢”温泉郷』をはじめ、キャンプ場やスキー場など、雄大なくじゅう連山の麓に大自然を体感できるスポットが豊富です」と、企画調整課の香下慎太郎さん。九重“夢”ポークや豊後牛、高原野菜など、豊かな自然が育む美食の宝庫だ。

標高約1000mの湯の里が筋湯(すじゆ)温泉。名物は「日本一のうたせ湯」と称される「うたせ大浴場」で、すぐ裏には風情ある無料の足湯も。

人道吊り橋として高さ日本一を誇るのが「九重“夢”大吊橋」。鳴子川渓谷や震動の滝を眺めながら空中散歩が楽しめる。

オススメグルメ
「九重“夢”ポーク丼」は、九重町のブランド無菌豚と地元産の米や野菜を使い、各店舗が工夫を凝らすご当地グルメ。

九重町移住支援情報

1カ月間まで利用できる移住体験住宅の運用を開始

 移住体験住宅「KOKONOE HOME」を2021年10月から運用開始。住まいや仕事探しの拠点などとして、1日1000円で最長30日間滞在できる。飯田高原にある3DKの平屋で、生活関連の家具・家電や2台分の駐車場を完備。また、空き家バンク利用者を対象に、最大200万円の改修補助金、最大20万円の引っ越し補助金、10万円の移住奨励金などを用意している。

問い合わせ先:企画調整課 ☎0973-76-3807 https://kokonoe-iju.com

「移住ポータルサイト『kokokura(ココクラ)』を新たに開設しました」と、企画調整課の香下慎太郎さん。

 

文・写真/笹木博幸

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