今回から作業は洗面所の施工に入る。しかし「失敗の神様」に好かれる和田は、またしても大大大失敗をしでかすことに!
掲載:2018年10月号
2100円のイタリー製は大丈夫か!?
和田「いやー! 暑いね!」
中山「奥多摩でも連日30℃オーバーですよ」
阪口「熊谷(阪口が住む埼玉県長瀞町の近く)なんて、日本新記録叩き出しちゃったからね!」
水野「41℃って……。体温なら重症ですよ」
中山「どんな感じだったの?」
阪口「なんかね、発狂しそうな感じ」
一同「……」
阪口「外に一歩出た瞬間、喉が焼けそうになるの」
中山「……ここは日本か?」
和田「この暑さは熱帯だな。十数年前、海外をぶらぶら旅していたとき、コンゴの密林で道に迷って汗だくになったのを思い出すよ。マジ、遭難寸前だった」
中山「俺も昔、サハラ砂漠でヒッチハイクした車がエンコしちゃってさ、死ぬかと思ったな」
阪口「俺もオーストラリアの砂漠のなかで熱中症になったよ。自転車で走るところじゃないな」
中山「水野さんは?」
水野「アタシはエアコン付き快適マンションしか知らないもん!」
というわけで本日の作業は「洗面シンクの据え付け工事」である。
和田が入手したという洗面シンクは一抱えほどもある巨大な梱包で、見ると見慣れない言語が。
水野「これ、何語なの?」
和田「イタリーですよ! イタリー!」
どうやらイタリアからの輸入品らしい。
阪口「聞くまでもありませんが、ヤフ〇クなんだよね?」
和田「もちろん!」
中山「いくらだったの?」
和田「2100円!」
一同「安!」
水野「ホントうれしそうだよね。安物買いしたときの和田さんって」
さっそく梱包を解いてみる。
一同「デカくね!?」
阪口「健伸(2歳の和田家次男)の風呂になりそうだな」
中山「公共トイレとかの掃除道具をしまうところにあるモップ洗うヤツなんじゃないの?」
和田「洗面シンクですから!!」
トリセツはないがヒビは入っている!
さっそく施工に入ろう。
格安品だけに、トリセツ(取扱説明書)らしきモノはいっさいナシ。付属品は径20㎜、長さ300㎜ほどもある特殊なビスと、プラスチックの部品が数点だ。しかし付属部品がすべて揃っているとは限らない。何しろ格安品なのだ。
阪口「これさ、部品が足りなかったら、やっぱりイタリーから取り寄せることになるのかな」
水野「ずいぶん気の長い話よね」
とりあえず揃っている部品から類推して取り付けをシミュレートしてみる。
和田「たぶん、この2本のでっかいビスを壁にねじ込んで、反対側を本体に差し込んで支える構造と見た!」
阪口「まあそうだろうね」
水野「あれ? ここヒビ入っているみたい?」
よく見ると背面部分に、補修したような形跡があるではないか。
阪口「出たー! 不良品!」
中山「今度はイタリア人にだまされたか?」
和田「そういえば前に買った強化ガラスの洗面シンクがC国製だったんだけど、取り付けてしばらくしたら突然、粉々に砕け散ったんだよね! なにもしてないのに」
中山「……洗面台形の時限爆弾だったんじゃないの?」
一同「そんなのあるかよ!」
和田「しかも悔しいことに、『いいね!』しちゃったあとでさ!」
阪口「C国人、今ごろ大笑いしているんだろなあ」
恐るべしC国人……。
和田邸失敗ダービーの勝者は!?
中山「それはそうと、今回はどんな大失敗をやらかすのやら」
水野「やっぱり落として割るんじゃない?」
阪口「バカ力でビスをねじ込みすぎて割っちゃうとか」
中山「ちょっとオッズを立ててみようか。題して『和田邸失敗ダービー』!!」
阪口「まあ順当に行けば1番か2番だわな」
中山「イタリーだけに3番も捨てがたいけどね」
水野「アタシは4番!」
阪口「……意外と勝負師なのね、水野さんって」
和田「ちょっと! 賭けの対象にしないで!」
中山「いいじゃんよ。IR法案も可決されたことだし」
一同「関係ないし!」
しかし和田の失敗は、我われの予想の、はるかナナメ上を行くものであった。
和田「まずは壁にビスを取り付けるから!」
とはいえ、厚さ12㎜の壁板では、重たい洗面台を支えるにはあまりに弱すぎる。壁の中の間柱を探り出して下地にしたいところだが、そこはさすが「テキトー施主」。間柱もテキトーに入れたので、どこにあるか、まったくわからないのだ。とりあえず、ここだと思うところにドリルを突っ込んでみたのだが……。
和田「おかしいな。確かこのあたりに間柱を入れたと思うんだけど。……あ! 手応えあり!」
そして和田がドリルを引き抜いた瞬間であった。
一同「ああ~~っ!!」
和田「ちょっと! 元栓! 元栓!」
なんと。和田のドリルは壁の中に配管した上水道のVP管にブチ当てたのであった。
阪口「そうきたか!」
水野「これはさすがに想定外よね」
中山「もはや『失敗の神様』に好かれているとしか思えんな」
阪口「でもさ、賭けでいうと、水野さんが一番近かったのでは?」
一同「おおー! 万馬券キター!」
水野「全然うれしくないし!」
自分でつくって壊して修理ある意味、自給自足!?
その後の復旧工事は、いったん壁板を引きはがして、上水道のVP管を取り換えるという「しなくてもいい作業」で小一時間ほども費やされ……。
水野「なんか最近、多いよね。このパターン」
中山「自分でつくったものを、自分で壊して、自分で修理するってパターンね」
気を取り直して洗面シンクの取り付け作業再開である。
和田の推測通り、でっかい2本のビスで支えるという構造は当たっていたらしい。ただし、上水道の配管が床から立ち上がっているので、洗面シンク本体を壁に密着させることができない。
阪口「せっかく壁ぶっ壊したんだから、ついでに壁の中に配管し直せばよかったのに」
和田「今さらそれを言う!?」
阪口「だって作業の途中で言うと、いつも『小姑みたいだ』とか言われるからさ。ブツブツ……」
妥協策として、洗面シンクを取り付ける受け材をかませることにした。間柱の切れっ端をヨコに1本、タテに2本打ち付け、いざ洗面シンクを固定する。
和田「よし! ピッタリ収まった!」
こうして、洗面シンクの本体の据え付けは無事完了したのであった。
次号から、上水道と排水管の施工に入るのだが、またしてもテキトー施主・和田のドケチが炸裂。そして再びC国製のインチキ商品に泣かされることに……!
文/中山茂大 写真/阪口 克
過去記事はこちら!
第1回 基礎工事
第2回 墨付け、刻み
第3回 柱、梁、桁の刻み
第4回 棟上げ目前
第5回 棟上げ
第6回 棟上げ
第7回 棟上げ
第8回 足場組み、家起こし
第9回 屋根
第10回 屋根材張り&プロによる中間チェック
第11回 壁の施工、窓の取り付け
第12回 差し鴨居
第13回 外壁
第14回 はめ殺し窓、下見板
第15回 床の施工
第16回 荒床張りと電気の引き込み
第17回 ウッドデッキ
第18回 天井張り
第19回 内装工事
第20回 水回りの施工
第21回 トイレの設置
第22回 下水管の接続
第23回 下水管の接続
第24回 キッチンの施工
第25回 トイレ後日談
第26回 キッチンの施工
第27回 土壁塗り
第28回 内装&焼き杉
第29回 漆喰塗り
人力社
ライター中山とカメラマン阪口、 ライター和田の旅とDIYを得意とする3人組トリオ。「人力山荘」シリーズでは中山の母屋リフォーム、中山のアネックス新築DIY、和田の自宅新築DIYを連載。阪口も自宅をDIYで新築している。
人力社HP➡www.jinriki.net
阪口HP➡https://www.sakaguti.org
和田HP➡http://www.wadayoshi.com
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