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田舎暮らしの本 12月号

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田舎暮らしの本 12月号

11月1日(金)
890円(税込)

© TAKARAJIMASHA,Inc. All Rights Reserved.

洗面所の施工【予算200万円】DIY経験しかないスタッフが廃材で家を建ててみた【30】

今回から作業は洗面所の施工に入る。しかし「失敗の神様」に好かれる和田は、またしても大大大失敗をしでかすことに!

掲載:2018年10月号

2100円のイタリー製は大丈夫か!?
 
和田「いやー! 暑いね!」
中山「奥多摩でも連日30℃オーバーですよ」
阪口「熊谷(阪口が住む埼玉県長瀞町の近く)なんて、日本新記録叩き出しちゃったからね!」
水野「41℃って……。体温なら重症ですよ」
中山「どんな感じだったの?」
阪口「なんかね、発狂しそうな感じ」
一同「……」
阪口「外に一歩出た瞬間、喉が焼けそうになるの」
中山「……ここは日本か?」
和田「この暑さは熱帯だな。十数年前、海外をぶらぶら旅していたとき、コンゴの密林で道に迷って汗だくになったのを思い出すよ。マジ、遭難寸前だった」
中山「俺も昔、サハラ砂漠でヒッチハイクした車がエンコしちゃってさ、死ぬかと思ったな」
阪口「俺もオーストラリアの砂漠のなかで熱中症になったよ。自転車で走るところじゃないな」
中山「水野さんは?」
水野「アタシはエアコン付き快適マンションしか知らないもん!」

ヤフ○クで購入したという巨大シンク。モップ洗い用ではないかという疑問も……。

 というわけで本日の作業は「洗面シンクの据え付け工事」である。
 和田が入手したという洗面シンクは一抱えほどもある巨大な梱包で、見ると見慣れない言語が。
水野「これ、何語なの?」
和田「イタリーですよ! イタリー!」
 どうやらイタリアからの輸入品らしい。
阪口「聞くまでもありませんが、ヤフ〇クなんだよね?」
和田「もちろん!」
中山「いくらだったの?」
和田「2100円!」
一同「安!」
水野「ホントうれしそうだよね。安物買いしたときの和田さんって」
 さっそく梱包を解いてみる。
一同「デカくね!?」
阪口「健伸(2歳の和田家次男)の風呂になりそうだな」
中山「公共トイレとかの掃除道具をしまうところにあるモップ洗うヤツなんじゃないの?」
和田「洗面シンクですから!!」

トリセツはないがヒビは入っている!

 さっそく施工に入ろう。
 格安品だけに、トリセツ(取扱説明書)らしきモノはいっさいナシ。付属品は径20㎜、長さ300㎜ほどもある特殊なビスと、プラスチックの部品が数点だ。しかし付属部品がすべて揃っているとは限らない。何しろ格安品なのだ。
阪口「これさ、部品が足りなかったら、やっぱりイタリーから取り寄せることになるのかな」
水野「ずいぶん気の長い話よね」
 とりあえず揃っている部品から類推して取り付けをシミュレートしてみる。
和田「たぶん、この2本のでっかいビスを壁にねじ込んで、反対側を本体に差し込んで支える構造と見た!」
阪口「まあそうだろうね」
水野「あれ? ここヒビ入っているみたい?」
 よく見ると背面部分に、補修したような形跡があるではないか。
阪口「出たー! 不良品!」
中山「今度はイタリア人にだまされたか?」
和田「そういえば前に買った強化ガラスの洗面シンクがC国製だったんだけど、取り付けてしばらくしたら突然、粉々に砕け散ったんだよね! なにもしてないのに」
中山「……洗面台形の時限爆弾だったんじゃないの?」
一同「そんなのあるかよ!」
和田「しかも悔しいことに、『いいね!』しちゃったあとでさ!」
阪口「C国人、今ごろ大笑いしているんだろなあ」
 恐るべしC国人……。

巨大洗面シンクに比べて、あまりにもアンバランスな小さな蛇口。この水栓もヤフ○ク。

和田邸失敗ダービーの勝者は!?

中山「それはそうと、今回はどんな大失敗をやらかすのやら」
水野「やっぱり落として割るんじゃない?」
阪口「バカ力でビスをねじ込みすぎて割っちゃうとか」
中山「ちょっとオッズを立ててみようか。題して『和田邸失敗ダービー』!!」


阪口「まあ順当に行けば1番か2番だわな」
中山「イタリーだけに3番も捨てがたいけどね」
水野「アタシは4番!」
阪口「……意外と勝負師なのね、水野さんって」
和田「ちょっと! 賭けの対象にしないで!」
中山「いいじゃんよ。IR法案も可決されたことだし」
一同「関係ないし!」
 しかし和田の失敗は、我われの予想の、はるかナナメ上を行くものであった。
和田「まずは壁にビスを取り付けるから!」
 とはいえ、厚さ12㎜の壁板では、重たい洗面台を支えるにはあまりに弱すぎる。壁の中の間柱を探り出して下地にしたいところだが、そこはさすが「テキトー施主」。間柱もテキトーに入れたので、どこにあるか、まったくわからないのだ。とりあえず、ここだと思うところにドリルを突っ込んでみたのだが……。
和田「おかしいな。確かこのあたりに間柱を入れたと思うんだけど。……あ! 手応えあり!」
 そして和田がドリルを引き抜いた瞬間であった。
一同「ああ~~っ!!」
和田「ちょっと!  元栓!  元栓!」
 なんと。和田のドリルは壁の中に配管した上水道のVP管にブチ当てたのであった。
阪口「そうきたか!」
水野「これはさすがに想定外よね」
中山「もはや『失敗の神様』に好かれているとしか思えんな」
阪口「でもさ、賭けでいうと、水野さんが一番近かったのでは?」
一同「おおー!  万馬券キター!」
水野「全然うれしくないし!」

「重要なところは自分でやるから!」と、洗面シンクの受け材を取り付ける。そして次の瞬間、悲劇が訪れる……。

ドリルの穴からピューッと噴き出す水道水。こう見ると、壁に小便をかけられているみたいだ。助っ人一同大爆笑。

おかげで床はビショビショ。床下のもみ殻にカビが生えなければいいが……。

自分でつくって壊して修理ある意味、自給自足!?

 その後の復旧工事は、いったん壁板を引きはがして、上水道のVP管を取り換えるという「しなくてもいい作業」で小一時間ほども費やされ……。
水野「なんか最近、多いよね。このパターン」
中山「自分でつくったものを、自分で壊して、自分で修理するってパターンね」
 気を取り直して洗面シンクの取り付け作業再開である。
 和田の推測通り、でっかい2本のビスで支えるという構造は当たっていたらしい。ただし、上水道の配管が床から立ち上がっているので、洗面シンク本体を壁に密着させることができない。
阪口「せっかく壁ぶっ壊したんだから、ついでに壁の中に配管し直せばよかったのに」
和田「今さらそれを言う!?」
阪口「だって作業の途中で言うと、いつも『小姑みたいだ』とか言われるからさ。ブツブツ……」
 妥協策として、洗面シンクを取り付ける受け材をかませることにした。間柱の切れっ端をヨコに1本、タテに2本打ち付け、いざ洗面シンクを固定する。
和田「よし! ピッタリ収まった!」
 こうして、洗面シンクの本体の据え付けは無事完了したのであった。
 次号から、上水道と排水管の施工に入るのだが、またしてもテキトー施主・和田のドケチが炸裂。そして再びC国製のインチキ商品に泣かされることに……!

復旧工事のために、いったん壁板を引っぱがすことに。ここでようやく配管と間柱の位置がわかる。

穴があいたVP管を切断して新しいものと交換。改めて壁板を張り直す。ちなみに壁板は粗削りの四分板。「ワイルド感を出したかった」らしい。

水道管が床から立ち上がっているため、洗面シンク本体を支える受け材を「口」の字に打ち付けた。

洗面シンクの背面に壁面との固定用のネジを取り付ける。約20㎜径のネジ2本で、この巨大なシンクを保持できるのかちょっと不安。

下に潜り込んでの作業。洗面シンクが外れて落ちてきたら、けっこうやばいんじゃないのか?

危ないので担当・水野が支える。その間に金具でしっかりと固定。

 

文/中山茂大 写真/阪口 克

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