行き当たりばったりで家を建てている施主・和田。洗面所に続き、風呂の施工だが、案の定、カビだらけの浴槽にボロボロのルーフィング。果たしてちゃんとできるのか。
掲載:2018年12月号
ヒノキだが、底がカビだらけの浴槽
引き続き水回りの施工である。今回は風呂。風呂はタイル仕上げで、腰から上は板張りらしい。和田によれば、ユニットバスなどは邪道であるという。
和田「ユニットじゃ本のネタにならないからね! それに、あの樹脂に囲まれた空間が好きじゃないのよ」
水野「この間、ホームセンターで最新のユニットバスを見て、はしゃいでいたくせに」
和田「ぐ……。ホラ! もう湯船買っちゃったし!」
そう言って和田が示したのは、なんとヒノキの浴槽である。
和田「ヤフ○クでたくさん売りに出ていたの!」
見た目はまずまずキレイだが、ひっくり返してみると案の定カビだらけである。
阪口「想像どおりの汚さだな」
和田「これからサンダーかけてキレイにするから!」
阪口「しかし床がタイル張りだと冬寒いんじゃないの?」
和田「スノコ敷くから大丈夫!」
水野「ホームセンターで『お風呂の床はスノコがマスト』って言ったら笑われてたよね(失笑)」
和田「ウチはスノコがいいの!」
阪口「樹脂製でキュッキュッ鳴るマットあったよね。アレにしたら?」
和田「アレはないね」
中山「さすがにウチもないよ」
阪口「ないない」
水野「ウチ使ってるけど。浴室マットといえばアレでしょう」
一同「……うそ!」
ボロボロのルーフィングで壁の防水処理
そんなことで施工に入ろう。
まずは下地のコンクリ打ちだが、その前に底上げをする。庭の隅っこに転がっているガレを運んで敷き詰めるのだ。しかしそれでも足りずに、今度は造園屋に不用品を譲ってもらったというブロックを運び込む。
阪口「こんなキレイなのとってあったんだね」
中山「ガレにするのはもったいないよな」
和田「そう? こういうキッチリしたのはあまり好きじゃないんだよ。見えるところに使うなら、もっと味わいがあるものにしたいんだよね」
およそ適材適所というにはほど遠い和田の好みに、改めてあきれる一同である。まあ他人の家のことだし、いいか……。ということでガレを敷き詰め、そのすき間に土砂を流し込んで突き固める。次の作業は壁の防水処理だ。どうするのかというと……。
和田「余っているアスファルトルーフィングがあるから!」
そして和田が取り出してきたのは、アチコチが破れたり、溶けて固着していたりして、ほとんど産業廃棄物に近いシロモノであった。
阪口「これ捨てるだろフツー」
水野「汚すぎて触りたくないんですけど」
和田「まだ使えるし!」
中山「だって破れてるよ」
和田「大丈夫大丈夫!」
ボロ雑巾のようなルーフィングを張ったところで、この日の作業は終了した。
偶然にも和田と中山が同じタイルをセレクト
ひと月後……。
風呂の施工はかなり進んでいた。すでにコンクリも打ち終わり、壁全面にアスファルトルーフィングが張り詰めてある。しかも新しいヤツだ。
阪口「へええ。けっこう進んだじゃないの」
水野「ルーフィング新しいのにしたんだね」
和田「結局足りなくて買い足したの!」
中山「ところでこのコンクリ、ずいぶん白くね?」
和田「これね! 前に近所の人からもらった目地モルタルが大量に余っていたから使っちゃった!」
中山「目地モルタルって目地以外に使っても大丈夫なのかな」
阪口「……知らない」
水野「で、今日の作業は?」
和田「タイル張ります! 水野さんも手伝って!」
タイルはシートになっており、接着剤を塗って張り付けていくだけなので、作業は楽ちんだ。
中山「このタイル見たことあるなあ。うちのと同じかも」
水野「中山さんとこのお風呂もリフォームしたんだよね」
中山「そうそう。見て見てホラ!」
阪口「なんか……、似てね?」
水野「中山さんと和田さんってじつは相思相愛!?」
和田「2人ともネットで一番安いのを買った結果だと思う……」
作業は順調に進んだかに見えたが、ついに恒例の失敗が。
和田「あれ? おかしい! タイル足りないかも!」
阪口「ちゃんと計算したのかよ」
和田「もちろん、したんだけどさ……。あ、わかった!」
和田の説明によると、「タイル45角」という商品を買ったらしいのだが、これを商品名だけ見てシートの大きさが45㎝四方だと思い込んでいたのが原因だという。実際は45×45㎜の小さなタイルが36個で1シートになっており1辺は目地を入れて30㎝だったのだ。
中山「これはオレは気づいたぞ」
阪口「珍しいな」
中山「でもウチの場合、なぜか大量に余っちゃったんだよね!」
水野「なんでピッタリにならないのよ、アンタたちは!」
というわけで壁の腰下と床のタイル張りは中途半端なまま、作業は腰上の板張りへ。和田が自慢げに壁板を運んできた。
和田「壁板用にヒノキの床材を買いました!」
なんとドケチの和田にしては珍しくヒノキを用意したらしいのだ。しかし床材は重さに耐える必要があるので、普通の壁材よりも厚みがある。はっきり言って壁に使うのはモッタイナイ……。
和田「いいの! 風呂はヒノキにこだわりたかったの。でも、ヒノキの壁材が売ってなくてさ。で、床材買っちゃった」
次回作業は、ヒノキの浴槽と給湯器(解体現場から拾ってきたゴミ)の取り付けである。果たして、お湯は出るのか……。
文/中山茂大 写真/阪口 克
過去記事はこちら!
第1回 基礎工事
第2回 墨付け、刻み
第3回 柱、梁、桁の刻み
第4回 棟上げ目前
第5回 棟上げ
第6回 棟上げ
第7回 棟上げ
第8回 足場組み、家起こし
第9回 屋根
第10回 屋根材張り&プロによる中間チェック
第11回 壁の施工、窓の取り付け
第12回 差し鴨居
第13回 外壁
第14回 はめ殺し窓、下見板
第15回 床の施工
第16回 荒床張りと電気の引き込み
第17回 ウッドデッキ
第18回 天井張り
第19回 内装工事
第20回 水回りの施工
第21回 トイレの設置
第22回 下水管の接続
第23回 下水管の接続
第24回 キッチンの施工
第25回 トイレ後日談
第26回 キッチンの施工
第27回 土壁塗り
第28回 内装&焼き杉
第29回 漆喰塗り
第30回 洗面所の施工
第31回 洗面所の施工
人力社
ライター中山とカメラマン阪口、 ライター和田の旅とDIYを得意とする3人組トリオ。「人力山荘」シリーズでは中山の母屋リフォーム、中山のアネックス新築DIY、和田の自宅新築DIYを連載。阪口も自宅をDIYで新築している。
人力社HP➡www.jinriki.net
阪口HP➡https://www.sakaguti.org
和田HP➡http://www.wadayoshi.com
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