【移住者に聞いた 田舎だからこそできる仕事】
ずっと使っていた4輪駆動車を移住先でも使っている。
SUBARUの車があると便利
東京に暮らしつつ、2014年から鴨川に通い始め、同地での農業を開始した井上さん。「都内から通える範囲で農地を探していたときに鴨川を見つけることができました。いまでも1978年式のジープに乗っていますが、この車に乗り、週5で通っていました。しばらくの間、そのようなスタイルで通っていましたが、2015年に子どもが生まれたので、こちらに移住しました。2018年に設立した農地所有適格法人の苗目で、現在、ハーブとエディブルフラワーの生産を中心とした栽培、里山の環境再生をしながら、そこに生えている植物を採り、加工またはそのままの形で販売する採取、飲食店や一般の方とつくるシェアファームの3本柱で仕事をしています」と語る。
シェアファームがある井上さんの農園は、2021年の6月に購入した約3000坪の土地で、2022年の4月から本格的に運用しているもの。建物の2階でファームステイを受け入れている。シェアファームは15坪が12区画、30坪が5区画存在。今後、オーガニックスーパーの展開も考えているそうだ。
「鴨川市にある野原のような畑、もしくは在来種や広葉樹が茂る里山のどちらかに私たちはいます。半島ならではの温暖な気候と都内へ即日配送可能という地の利を活かし、高品質で稀少性が高い、食材としてのハーブやエディブルフラワーの栽培、自生植物の採取を行っています。そういった鴨川だからこそ可能となるメリットがある点も、私に移住を決意させた要因のひとつです」と語る井上さん。
2022年9月末から、農家が運営するオーガニックグローサリーとコミュニティファームのクラウドファンディングをやっており、そういうものも移住生活の中で活用しているそうだ。棚田で古代米の黒米と赤米を育てており、10月末に収穫するという。
無農薬、無化学肥料で育てている「苗目」のハーブやエディブルフラワーは、力強い味と香りが特徴。一流レストランの料理人やバーテンダーから、飾りではなく食材として高い評価を得ており、常時100種類以上の生産を行っている。また、在来種や広葉樹などが茂る里山から四季を通じて自然からの恵みを採取している。森の植物の葉、花、根など、あらゆる部位を使い、ときに蜜蜂の力を借りながら、植物の新たな可能性を提案。その場で加工するからできる、フレッシュな植物の香りや味を凝縮した加工品の生産も行っている。植物を使ったリキュールなどを製造するmitosaya薬草園蒸留所(千葉県大多喜町)と連携し、フルーツ、ハーブなどを用いた蒸留酒の原料供給、開発も行っているという。
「シェアファームメンバーとして、来年の春から一般会員の募集を開始します。クルマを持っていない方もいるので、こちらでの移動時にシェアファームの人が使う車としてスバル レガシィ アウトバックがあるといいですね。というのも、うちにはジープと軽トラしかないので、運転できない人もいますから」と語る。
次ページ:「編集部も実際に体感」
この記事のタグ
田舎暮らしの記事をシェアする