掲載:2023年3月号
ネギと交互に連作し
2度収穫でおいしさ&保存性アップ
ジャガイモの原産地は南米アンデスからメキシコにかかる標高3000~5000mの高山地帯。日本には慶長3年(1598年)、オランダ人が長崎に持ち込みました。日当たりと水はけのよい畑を好みます。霜と高温で枯れますが、春と秋、年に2回の栽培が可能。食べる部分は「塊茎(かいけい)」と呼ばれ、地下の茎に養分が蓄えられたものです。連作は病虫害を招きますが、前後作にネギを育てる交互連作にすると、同じ畝で毎年植え付けできます。
1 土づくり
初めての菜園では畝を準備
水はけのよい菜園で石灰を入れずに
連作障害を防ぐためナス科の作物の跡地を避けます。pH6.0以上になると、そうか病を招きやすいため、石灰は用いません。初めて菜園にする畑では畝の準備をしますが、堆肥などを施し過ぎると病虫害が出やすいので注意してください。
2 準備
種イモは早めに求めて浴光催芽
種イモが店頭に並んだら早めに買い求め、直射日光を避け、カーテンや障子越しなどの散光が当たり、6~20℃が保たれる場所に20~30日ほど置きましょう。芽は3~5mm出た状態でかたく丈夫に保たれます。この浴光催芽をした種イモを植え付けると、生育をがまんした状態から、太く丈夫な芽を一気に伸ばします。
3 定植
40cm間隔で
芽を南向きに植え付け
春はソメイヨシノが開花したら植え付けます。株間にコンパニオンプランツを植えるので、40cm間隔に。ネギは同時に植え付けます。種イモは芽が多く出ている側を南向きに植えると発芽後の間隔が揃います。
4 お世話
①週に1度ずつこまめな土寄せで収量アップ
芽が出始めたら、芽が少し隠れるくらいに土寄せします。その後は週に1度のペースで、草が生える前に土寄せをこまめに繰り返してください。土寄せはたまにたっぷりではなく、こまめに少しずつするほど収量を増やせます。
②開花したら花を摘み
草マルチを重ねて地温を抑える
花が咲いたら養分をとられないよう、花を摘みます。
土寄せするのは開花まで。その後は草マルチに切り替え、地温の上昇を抑えます。梅雨時の雨による泥はねを防いで病害も避けられます。収穫まで、株の周囲や通路の草が伸びるたびに刈って重ねてください。
5 収穫
①葉と茎が半分以上枯れたら
フレッシュな新ジャガを収穫
葉と茎が半分以上枯れたら新ジャガの収穫です。フレッシュなみずみずしさが楽しみですが、皮が未発達で傷みやすく、保存には向かないため、食べる分だけ株を抜いて収穫します。
②ほとんどの葉と茎が枯れたら、保存できる完熟イモを収穫
保存用のイモの収穫は、ほとんどの葉と茎が枯れるまで待ちます。未熟なイモや傷んだイモは溶けてしまい、皮がしっかりした保存向きの完熟イモだけが残るからです。
保存するためには地面が乾燥しているときに掘ります。3日間雨がないタイミングで収穫してください。掘った後、風通しのよい日陰に広げて1~3日干してから保存します。
③保存は冷暗所で
イモは2段重ねまで
保存は段ボールなどに入れて凍らない冷暗所に置きます。自重で傷むため、イモを重ねるのは2段までです。越冬させると糖化が進んで甘味が増し、おいしくなります。
監修/竹内孝功
たけうち・あつのり●1977年生まれ。長野県を拠点に菜園教室「自然菜園スクール」などを開催。著書に『自然菜園で育てる健康野菜ゼロから始める無農薬栽培』『完全版 自給自足の自然菜園12カ月野菜・米・卵のある暮らしのつくり方』(宝島社)、最新刊『苗で決まる!自然菜園』(農文協)ほか多数。
WEBサイト「@自給自足Life」https://39zzlife.jimdofree.com/
文・写真/新田穂高 イラスト/関上絵美・晴香
この記事のタグ
田舎暮らしの記事をシェアする