のどかな離島の雰囲気に浸りつつ、適度な生活利便性も享受できるのが、中島の大浦港からほど近い、味わいのある古民家。離れを含めると9DKKという大型物件で、値段は50万円と破格。屋根裏スペースや複数の倉庫を備え、アイデア次第で幅広く活用できそう。
車で約7分の宿泊施設「ほしふるテラス姫ケ浜」。レジャーや観光の拠点としてはもちろん、ワーケーションにも利用できる。https://www.himegahamasou.com
大浦港から徒歩圏内の離れ付き古民家は6DK+3K
「敷地は推定120坪ほどで菜園や駐車場も充分確保可能」とNPO法人農音の田中佑樹さん(左)。中央は同法人の新メンバーの安永将樹さん、右はまちづくり推進課の山﨑泰平さん。
島の中心地区にたたずむ
伝統的な日本家屋
中島の全人口の約3分の1が集中する大浦地区。主要な生活関連施設へ徒歩5分前後の場所に、築約100年という平屋が立つ。県道から少し路地を入った敷地は静かな空気に包まれ、裏に広がるミカン畑がこの島らしいのどかな風情を添える。
「一番のオススメは重厚感あふれる古民家のつくり。太い大黒柱や軒桁をはじめ、各所に立派な部材が使われています」
そう話すのは、忽那諸島の空き家バンク物件を管理し、中島の地域活性化活動も行うNPO法人農音(のうおん)代表の田中佑樹(たなかゆうき)さん。
母屋は田の字形に並ぶ和室4部屋に加えて、洋室も2部屋ある6DK。廊下を設けず各部屋が直接つながる間取りは、建具や間仕切り壁を撤去して空間の再構築がしやすい。建物の状態を田中さんはこう説明する。
「母屋のダイニングキッチン、浴室、トイレなどは、過去に改修され、そのままでも使える状況です。全体に経年による傾きがありますが、無理に直すと別の場所に支障をきたす可能性があるので、ある程度の傾きを残しての改修が最善策でしょう」
母屋の東側には、大小4つの倉庫とともに、3Kの居住スペースを備えた2階建ての離れが付属。自宅プラスアルファの空間として重宝しそう。一方、敷地内の牛舎は倒壊寸前なので、取り壊すのが賢明だろう。
【物件データ】
愛媛県松山市
50万円
土地:不明
延床:不明
菜園:あり
改修費補助:最大400万円
家財処分費補助:最大20万円
●6DK+3K●宅地●平坦地●都市計画区域外●約100年●水洗●大浦港フェリー・高速船乗り場より徒歩約8分●中島の大浦に立つ木造家屋。西側に幅約2mの舗装公道。駐車スペースは屋外2台分程度と車庫1台分。こども園へ徒歩約5分、小学校や中学校へは車で約10分。中島総合文化センターへ徒歩約3分、松山市役所中島支所へ徒歩約5分。
●問い合わせ先:NPO法人農音 ☎089-997-0255
ゆったりと土間スペースが広がる玄関。周囲に並ぶ建具も味わい深い。
ココがオススメ!
床の間と書院付きの和室は8畳とゆったりした広さ。この部屋には縁側も付いている。
和室4部屋が田の字形に並び、広く使える間取り。色あせた襖や障子が家の歴史を物語る。
立派な構造が見られる屋根裏スペース。倉庫としてはもちろん、趣味の部屋にするのもいい。
ガスコンロ2口とグリルを備えたL字形のシステムキッチン。2面の窓から光が入る。
浴室は赤茶色のタイルなどシックな色使い。ステンレス浴槽、シャワー付き。
周辺環境
元地域おこし協力隊の移住者夫婦が開業した「しまのぱんかふtetote」。車で約8分。
徒歩約8分のなかじま中央病院は松山市島しょ部の医療を支え、介護サービスも実施。
ファミリープラザ「トミナガ」は徒歩約5分のところにあるスーパー。隣にホームセンターを併設している。
NPO法人農音の田中さんに聞く
ココがGOOD
現代では貴重で豪華な部材を使った古民家です。部屋数は多いものの平屋なので管理しやすく、DIYで手を入れながら住むのもオススメ。隙間風なども風情として楽しめる、精神的にゆとりのある方に使っていただきたいと思います。
松山市の魅力紹介
美しい島々と多彩な食文化
瀬戸内海の温暖な気候に恵まれた松山市。沖合に有人9島と多数の無人島からなる忽那諸島があり、「紅まどんな」「せとか」「カラマンダリン」など、全国的にも有数の柑橘産地として知られ、美しいビーチや釣りのスポットが豊富。「鯛めし」「鍋焼きうどん」など市内の食文化も多様だ。
約500mにわたって白い砂浜が広がる姫ヶ浜ビーチ。夏は中島を代表する海水浴場としてにぎわい、トライアスロン中島大会のスイム会場にも。
オススメグルメ「三津浜焼き」
大正時代の一銭洋食に始まる三津浜焼きは、紅白のちくわなどを使い、 半月形という独自のスタイルで提供。三津浜地区に専門店が20軒程度。
松山市(中島)での物件探しのアドバイス
島の相場は0~100万円前後で高くても200万円程度。平屋も2階建ても価格は変わらないが平屋は物件自体が少なめ。いずれもそれなりの改修費は必要だ。
松山市移住支援情報
希望に応じたツアーを実施
松山市への移住を考えている人を対象として、希望の日時や訪問先に応じてオリジナルの行程を組む「まつやまオーダーメイド型移住体感ツアー」を実施。当日は移住コンシェルジュの案内で市内の様子を見て回れる。ツアー参加者には交通費、宿泊費など最大1人5万円の補助金を用意(条件あり)。また、市内2つの島に定住促進住宅を整備している。
問い合わせ先:まちづくり推進課 ☎089-948-6816 https://matsuyama-kurashi.com/
コロナ禍で見送っていた対面での移住者交流会「まつやま日和」も再開。
「田舎と都会のよさを兼ね備えた松山市への移住を全力で応援します!」と、まちづくり推進課の白石修介さん。
文・写真/笹木博幸 写真提供/松山市、山根雅之さん
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田舎暮らしの本編集部
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