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5月2日(木)
890円(税込)

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アスパラガスは根に養分を蓄え、10年にもわたって収穫可能!/竹内孝功さんに教わる自然菜園のスゴ技【第21回】

掲載:2023年12月号

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根に養分を蓄えて
10年収穫できる多年草野菜

アスパラガスはヨーロッパ原産の多年草。冷涼を好み、冬に充分な低温に当たって休眠の後に発芽します。収穫して食べるのは地面から伸びる若茎です。茎をそのまま伸ばすと枝を出して親株に育ち、貯蔵根に養分を蓄えます。蓄えた養分を使って翌年の茎が生長するため、定植後1~2年は収穫せずに貯蔵根を太らせましょう。その後は毎年収穫の後、茎葉を茂らせて養分を蓄えさせれば、10年にもわたって収穫できます。

1 土づくり

初めての菜園では畝を準備
連作と水やりが可能な場所に

 長年連作できる場所を選びます。水はけよく涼しい畝が適地。また、5月~6月に降雨のない場合に備え、水やりのしやすさも考えておきましょう。多年にわたり栽培するので、庭や耕作放棄地などを畑にする場合は多年生雑草の根を除いておくなど、前もって畝の準備をしてください。

2 種蒔きと育苗

種を蒔いたら暖かい場所に
発芽まで15~20日ほど

 アスパラガスは苗でも購入できますが、品種を選び、ポットに種を蒔いて育苗もできます。種から育てる場合、春蒔きして収穫は翌々年の春からです。発芽適温が高いうえ、適温を保っても発芽まで15~20日かかります。低温では発芽しないため、暖かい室内に置き、乾燥させないように気をつけて、気長に発芽させましょう。発芽後も遅霜の当たらない暖かい場所で育ててください。

ポットの大きさは3号(直径9cm)。培養土※1をしっかり詰め、2カ所に蒔き穴をつける

1つの蒔き穴に2~3粒ずつ、1ポットに計4~6粒ずつ種を蒔く

種の直径の2倍ほどの厚さに覆土し、しっかりと鎮圧して発芽を促す

たっぷり水やりした後、乾燥防止と保温のため不織布をかけておく。発芽まで日数がかかるため、土の表面が乾いたら水やりを

3 定植

①種蒔き育苗した苗は
草丈15cmに育ったら定植

 種蒔きから3カ月ほどで苗が草丈15cm、本葉3~4枚まで育ったら畑に定植します。その後、収穫は翌々年の春からです。

15cmほどに育った苗は間引きをせずそのまま植え付ける

②市販の中苗、大苗はタコ足状に広げて植える

 アスパラガスは1~2年育てた中苗や、3~4年育てた大苗の根も市販されています。この場合の植え付け時期は晩秋か春先。その後の収穫開始はポット苗よりも早く、中株なら1年後、大株は半年後から収穫可能です。

植え穴の底の中央に畑土を盛る。畑土には水はけがよくなるよう赤玉土と腐葉土を混ぜておく

根が太く多い株ほど太い茎をたくさん収穫できる

植え穴の底に盛った土に被せるようにして、根を広げて苗を置く

4 お世話

①草マルチで乾燥を防ぐ

 定植後、茎葉が伸び始めたら周囲の草を刈って株元まで草マルチし、乾燥を防ぎます。その後は生長に合わせて草マルチを重ね、範囲も広げて梅雨明けごろには畝全体を草マルチで覆いましょう。

周囲の草を刈り、株元に敷いて草マルチする

②倒れないよう支柱に誘引

 伸びた茎葉が倒れないよう、支柱を立てて茎を垂直に誘引します。茎葉を上に伸ばすと植物ホルモンが活性化してよく育ちます。大きく育てるため、支柱は長さ150cm以上のものを選んで、30cmほど土に刺します。誘引後も生長に合わせて数カ所縛ってください。

垂直に立てた支柱にひもで誘引

③雨がなければストチュウ水※2

 降雨がなければ10日に一度、ストチュウ水でたっぷり水やりしてください。

※2ストチュウ水…雨水に似た野菜の栄養ドリンク。酢・木酢液・焼酎を1:1:1で混ぜたストチュウ原液をペットボトルにつくり置き、300倍以上に薄めて使う。7Lのジョウロの水には、ペットボトルキャップ(約7mL )3杯の原液を混ぜる。

土中の根に届くよう、株元にたっぷりと水やりする

④2週に一度ほど米ぬかを補う

 2週間に一度ほど草マルチの上から米ぬかを補います。米ぬかに棲む麹菌や乳酸菌は病害を抑えるのにも役立ちます。補いすぎは病気を招くので、油かすや堆肥などは施しません。

米ぬかを一握り、株の周りにぐるりと補う

⑤茎葉を茂らせ
根に養分を蓄えさせる

 春の収穫に向けてのいちばんのポイントは、前年の夏に茎葉を繁茂させ、光合成によって貯蔵根に養分をたっぷり蓄えさせることです。気を抜かずに草マルチなどお世話を続けてください。

定植後、株が充実するまでは収穫せずに茎葉を茂らせる

⑥晩秋に枯れ始めた
茎葉を刈る

 茂った茎葉は冬にいったん枯れて、春に再び芽を出します。晩秋には、枯れ始めた茎葉を刈り、30cmほどの長さにしてその場に敷き、草マルチしましょう。

秋に茎葉が枯れ始めたら刈って敷く

刈り敷いた茎葉の上から米ぬかを補う。病気予防と春の生育促進に役立つ

土中のネズミを避けるため、畝のところどころに支柱を刺し込んでおく

5 収穫

①春先に
15~20cmの茎を穫る

 前年に充分な養分を蓄えた根は、春に茎を萌芽させます。茎が15~20cmに伸びたら収穫です。穫ったらその場で切り口を水に浸し、立てて持ち帰ると鮮度が保たれ、やわらかくおいしいアスパラガスが食べられます。

春先に出る太い茎を根元から手で折り取る

②収穫中も草マルチ・水やり・米ぬかを

 1カ月ほどの収穫期間中には、茎を刈らないように注意して草マルチし、1週間雨がなければストチュウ水で水やりしてください。さらに10日に一度ほどのペースで米ぬかを補います。

米ぬかは草マルチの上から一株に一握りをぐるりと補う

③鉛筆より細くなったら収穫終了

 出てくる茎を順次収穫すると、出る茎はだんだん細くなります。鉛筆より細くなったら収穫は終わり。その後は茎をそのまま育てて葉を茂らせ、定植後と同様にお世話して根に養分を蓄えさせるのが、毎年収穫を続けるコツです。

収穫を終えて伸ばした茎は夏に葉を茂らせ、翌年に向けて根に養分を蓄えさせる

 

監修/竹内孝功

たけうち・あつのり1977年生まれ。長野県を拠点に菜園教室「自然菜園スクール」などを開催。著書に『自然菜園で育てる健康野菜ゼロから始める無農薬栽培』『完全版 自給自足の自然菜園12カ月 野菜・米・卵のある暮らしのつくり方』、最新刊・新装版『無農薬「自然菜園」で育てる人気野菜』(すべて宝島社)ほか多数。

WEBサイト「@自給自足Life」https://39zzlife.jimdofree.com/

 

文・写真/新田穂高 イラスト/関上絵美・晴香

 

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