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田舎暮らしの本 10月号

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田舎暮らしの本 10月号

9月3日(水)
890円(税込)

© TAKARAJIMASHA,Inc. All Rights Reserved.

人口問題を考える/自給自足を夢見て脱サラ農家37年(50)【千葉県八街市】

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 1月20日「バース・ストライキ」。全く光のない、全身しびれる1日だった。出荷用のサトイモ、生姜を掘り、大根、人参、ネギを抜く。それを水洗いし、袋に詰めて新聞でくるむ。こんな日に現れる症状は自分の意志通りに指先が動いてくれないしびれだ。だから晴天の日に比べると余計な時間がかかる。しかし長年の経験でカバーする。いやそれよりも、これがオレの天職だ、自分で選んだ道だ、その心意気が力になっている。人口減少は力仕事、汚れ仕事の分野に真っ先に影響を与える、そう上に書いたが、農業もそうかもしれないと思う。農業従事者が大幅に減少していることは周知だが、残っている人の多くは65歳以上の高齢者。新規参入という事例もあるにはあるが、それも、若者の数がどんどん減るとなれば日本の農業を担う力になるのかどうかは疑問である。

 昨夜、寝床に入ってNHK「ドキュランドにようこそ」を見た。2022年、カナダの90th Parallel Productions 制作。子どもを産みたくない、産みたくても今のままでは産めない!!  石油は飲めない、土の中に埋めておけ・・・若い女性たちがデモ行進しながらそう叫ぶ。プラカードには「バース・ストライキ」との文字が見える。あとで書くことになるだろうが、子どもを産めない、産みたくないという理由は、収入であったり、仕事の継続であったりするが、気候変動、環境汚染を理由として、今のままでは子どもを産みたくないと主張するのは、たぶん日本にはまだない新しい視点と行動である。たしかに気候変動がもたらす異常気象はすさまじい。今の時期、僕が畑から部屋に戻るのは午後6時頃だ。戻ったらテレビをつける。明日の天気を確認するためなのだが、テレビ朝日が伝える世界の惨状にはいつも目を見張る。大洪水があったかと思えば家畜も死ぬほどの大干ばつがある。昨日までは穏やかだったのに、今日は一転、マイナス30度まで下がるという国もある。世界の人口の約5%がいるアメリカのCO2排泄量は25%、対してアフリカは2.5%に過ぎない・・・あのグレタ・トゥーンベリが壇上にたち、呼びかける。この危機のさらなる悪化を全力で食い止めましょう・・。

 このような環境では子どもを産み、育てることなど出来ない。世界は壊れつつある。前の世代の責任だ・・・。そう主張するカナダの女性たちとは逆の立場を取る女性もいる。少数民族の女性。彼女は言うのだ。私たちは存在を脅かされている。消え去る運命にある。だから・・・私は子どもを産む。子どもの未来のために闘うの。「子供を持つことは倫理的テーマである」というナレーションが僕には強い印象として残った。

 梅が開花し始めた。例年より10日くらい早い。この寒さの中で・・・ほめてあげよう。

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この記事を書いた人

中村顕治

中村顕治

【なかむら・けんじ】1947年山口県祝島(いわいじま、上関町・かみのせきちょう)生まれ。医学雑誌編集者として出版社に勤務しながら、31歳で茨城県取手市(とりでし)に築50年の農家跡を購入して最初の田舎暮らしを始める。その7年後(1984年)の38歳のとき、現在地(千葉県八街市・やちまたし)に50a(50アール、5000㎡)の土地と新築同様の家屋を入手して移住。往復4時間という長距離通勤を1年半続けたのちに会社を退職して農家になる。現在は有機無農薬で栽培した野菜の宅配が主で、放し飼いしている鶏の卵も扱う。太陽光発電で電力の自給にも取り組む。

Website:https://ameblo.jp/inakagurasi31nen/

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