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田舎暮らしの本 6月号

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田舎暮らしの本 6月号

5月2日(木)
890円(税込)

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人口問題を考える/自給自足を夢見て脱サラ農家37年(50)【千葉県八街市】

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 1月26日「婚活市場“3高”要求は変わらず」。昨日、そして今日、強烈な冷え込み。かつ、憎たらしい北西の風が吹きまくる。この下の写真は、凍結した金魚の池から黒いチャボがなんとか水は飲めないかと奮闘している場面だ。ずいぶん頑張ったが、飲めそうにないねえ・・・。畑を移動する僕の靴底からはバリバリバリという音が連続する。坂では滑って転倒するかもしれないので慎重に。そこで目にしたのがもうひとつ下の写真。ガリガリの土の上に横たわったエンドウだ。すごいねえ、エンドウはこれでも生きている。人間ならアウト。いや同じ野菜でも、この氷の上では生きていられないものは多い。

 ああ、懐かしい言葉だ。そう思ったのは、婚活市場「3高」要求変わらず、そう題された読売新聞の記事を目にした時だ。高収入、高学歴、高身長・・・僕はすっかり忘れていたが、これが流行したのは1990年ころ、バブルに沸いた時代だという。収入も学歴も身長も、すべてハズレ。僕が婚活会場に行っても目もくれられないはずだ。思えば、どんな男も、どんな女も、99%結婚できた50年前は人間にとって幸せな時代だった。特に3低のダメ男にはラッキーな時代だった。

 女性の活躍が広がる現在、婚活男性に求められる条件は以前よりさらに厳しくなっているという。女性が、男性に求めるのは経済力、そう答えたのは37%。具体的には年収500万から600万とした人が29%、6割の女性は500万以上を求めているらしい。しかし、年収500万以上の未婚男性は4人に1人しかいないのが現実らしい。ましてや、「結婚相手の収入は自分と同じかそれ以上ほしい。働き続けたいから、家事や育児をしてくれる人がいい・・・」こう言う都内に住む商社勤務38歳女性の要望を叶えられる男性は、もしかしたら限りなくゼロに近いかも・・・記事を読みながら僕はそんな気がしたのだが、現実はどうなんだろう。記事には東京都立大の准教授・高橋勅徳さんという方の経験が紹介される。現在44歳になる高橋さんは2年半前に婚活に挑戦した。当時の年収は1000万円。立派なものだ。だが、「自分より若くイケメンの前に女性の列ができた。年収が同じなら年齢や容姿で選別が決まる。勝ち目はなかった。ファッションも変え、数多くの女性と会ったが見向きもさされず、婚活市場を退く決意をしました・・・。」学歴、お金、身長・・・さらにその上に見てくれも要求される。婚活市場とはなんと、男にとって残酷な場所であることか。たしかに、人間以外でも、見てくれは大事なファクターだ。メスよりもオスのほうがきらびやか、美しいという動物の例は多い。メスの前でオス同士が対決し、戦いに敗れたオスはすごすごと退散し、交尾、ひいては子孫を残すチャンスを失う。力のあるイケメンアニマルだけが我が子孫を残せる・・・そうか、メスが見ている前で戦わなくてすむ人間の方がまだシアワセなのか・・・。

 午前8時半。いつも、ランニングから帰ってすぐやるのが野菜の防寒を取り外す作業である。この上の写真、「真っ当な」農家の人が見たらアンビリーバブルと言うだろう。ビニールトンネルの中にはエンドウとソラマメがある。そこに、布団、カーペット、毛布、ブルーネット、使えるものはなんでいい、夕刻にかぶせて夜間の冷えを防ぐのである。上に掲げたエンドウは寒さの中で丸裸だったが、ここでのエンドウは手厚い保護を受けている。何ゆえか。農家にとってこれから4月初めまでは端境期、品物が最も少なくなる。少品種多量生産という農家は影響ないが、品数を勝負ポイントとする僕はそうはいかない。その落ち込みを可能な限り減らすためにこのような苦労をするのだ。この下の写真、ビニール越しなので少しボケているが、すでに赤と白の花が咲いているのがおわかりだろう。毎夕、毎朝の苦労、特にここ数日の強風では、せっかく掛けた布団や毛布がズリ落ちないよう固定する手間もさらに増えるのでけっこう大変だ。で、このエンドウの花がいま僕に別な思いを抱かせる。エンドウの花はやがて実になる。それをちぎって人間が食べるわけだが、エンドウは人間に食べさせるために花を咲かせ、実をつけるわけではない。いずれの植物もそうだ。自然に任せておくと、熟した実は地上に落下し、その何%かがやがて発芽し、花を咲かせ、結実。自分の親と同じ経過をたどる。単純である。特別な思考はない。他の生物に食われるかもしれないという懸念と、ふだんの年とは大きく違う気象条件、それだけが彼らの戦う相手である。

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