L字型をした昔ながらの家屋「曲り家(まがりや)」などの日本の原風景が残り、カッパや座敷童子などの民話が伝承されている岩手県遠野市。カッパが目撃されたという「カッパ淵」など、市内各所に柳田國男の『遠野物語』の舞台となった場所があり、人と妖怪が同居していたと思わせる雰囲気を感じることができる。馬事文化の歴史は古く、現在も市内で馬の生産が行われ、本州で唯一の乗用馬市場が開催されている。
遠野市の中心市街から数キロ離れたところにあるのが、カッパが人々を驚かせたという伝説が残る「カッパ淵」。常堅寺という寺の脇を流れる小川で、夏になるとキュウリが結ばれた釣り竿が設置され、カッパの捕獲に挑戦できる。ただし、カッパを捕獲するためには遠野市観光協会で販売している「カッパ捕獲許可証」の購入が必要だ。
母屋と馬小屋を直角に連結した「曲り家」。遠野ふるさと村にある南部曲り家では、馬を大切に扱っていた遠野の生活を体験することができる。
高清水展望台から望む雲海。遠野市は盆地になっており、霧が発生した早朝に高清水展望台に上ると、平地を覆いつくした霧が雲海として姿を現す。
国道沿いでアクセス良好。L字の平屋で、近くを景観良好な川が流れる
物件は市の東側にあり、釜石自動車道遠野住田ICに近いため、釜石市などの沿岸部へアクセスしやすい。また山や川などが車で15分以内と豊かな自然が楽しめる一方、大型スーパーや総合病院も車で15分以内。保育園と小学校は1.5㎞圏内、産地直売所は4㎞圏内、中学校とスキー場は7㎞圏内にある。盆地のため昼夜の寒暖差が大きく、夏場でも夜は涼しくなる日が多い。
瓦屋根が目を引く平屋で、母屋と通路を隔ててトイレなどが設置されたL字の建物。
室内の家財道具は、ほとんどが撤去済み。雨漏りがあること、水回り(風呂、トイレ、台所など)は使用できない状態ですべて入れ替えが必要なこと、傷みの激しい一部の床板は撤去されていることなどから、全体的に大幅な改修が必要となる。都市計画区域内で接道幅員が3m以下のため再建築不可なので注意したい。
遠野市では、家の改修や取得に対して補助を用意している。
①リフォーム事業助成金:空き家バンクに登録されている物件を対象に、リフォーム工事費用の半額、または家財道具の整理の費用の半額を助成(補助の上限はリフォーム工事が40万円、家財道具整理が10万円。活用はどちらか一方のみ。市外からの移住者の方が対象)。
②木づかい事業費補助金:遠野市産木材を使用して行ったリフォーム工事に対して、2万5000円/㎥を補助。補助上限は100万円。
③空き家取得奨励金:県外からの移住者または39歳以下の若者が空き家バンクに登録されている物件を購入した場合に、30万円の奨励金を交付。
【物件データ】
岩手県遠野市
120万円
土地:169坪・561㎡
延床:56坪・185㎡
菜園:あり
取得費補助:最大30万円
改修費補助:最大40万円
処分費補助:最大10万円
●4K●宅地●平坦地●都市計画区域内非線引き●築年数不詳●汲み取り式トイレ●釜石自動車道遠野住田ICより約3.2km●市の東側に位置しており釜石市や大船渡市、陸前高田市、宮古市など沿岸部へのアクセス良好。盆地のため昼夜の寒暖差が大きく、夏でも夜は涼しくなる。車で保育園、小学校、コンビニ、産地直売所へ3〜5分、中学校、スキー場、スーパー、総合病院へ9〜12分。屋外に3台駐車可。
●問い合わせ先:で・くらす遠野 ☎0198-62-2111
母屋と小屋をつなぐL字部分の中心に玄関がある。
和室は続き間になっていて、襖を取り外せば広く使える。ここは畳は残っているが、へこみ(写真奥)などが見られ、基礎の状態の確認が必要だ。
傷みの激しい一部の床板は撤去されている。リフォーム事業助成金をうまく活用して改修したい。
廊下は一面の窓で、日当たりはいい。窓の向こう(写真左上)に見えるのがトイレなどがある建物。
台所と手前右が板間。写真の左側に玄関がある。
キッチンの隣に洗面台があるレイアウト。ダイニングキッチンは、天井や壁の状態がよくないので要改修。
バスルームも壁のひび割れやタイルのはがれが見受けられるので、大幅な改修が必要だ。
トイレは汲み取り式のため、こちらも要改修。遠野市には浄化槽設置整備事業費補助金があるので、合併処理浄化槽を設置して対応したい。
敷地内に菜園スペースがある。
付属する物置。農作業の防具を収納するのにとても便利だ。
【岩手県 遠野市の魅力】
ホップ栽培日本一とどぶろく特区。関連イベントが数多く開催
遠野市は、全国に先駆けて構造改革特別区域制度の「どぶろく特区」に認定された市であり、近年は、ホップの栽培面積日本一で、ホップの里にもなっている。それらにかかわるイベントも多く開催され、盛り上がっている。市では、移住専門の相談窓口として「で・くらす遠野(観光交流課事務局)」を設置し、移住希望者の相談対応をはじめ、ポータルサイトでの情報発信や移住フェアへの参加などを行っている。
【ホップ栽培】
遠野市は、ホップの栽培面積日本一。写真はホップの球果で、これがビールの原料となる。近年では、「遠野ホップ収穫祭」や「遠野ビアツーリズム」といったビールに関するイベントなどを企画し、盛り上がっている。
【どぶろく特区】
遠野市は、全国に先駆けて平成15年に「どぶろく特区」に認定され。、市内各所でどぶろくが楽しめる。冬には、茅葺き屋根の南部曲り家(母屋と馬小屋を直角に連結した家)で、どぶろくを楽しむイベントが開催される。
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