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田舎暮らしの本 3月号

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田舎暮らしの本 3月号

2月3日(火)
990円(税込)

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人口問題を考える/自給自足を夢見て脱サラ農家37年(50)【千葉県八街市】

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 今回のテーマは人口問題である。最近のニュースで僕は驚愕した。2100年、日本の人口は現在の半分、6300万人まで減少するというのだ。民間有識者で構成される「人口戦略会議」は少子化対策などで8000万人で安定させるとの目標を掲げているらしいのだが、その思惑通りに行ったとしても現在の日本人3人のうち1人はいなくなってしまう計算だ。もうひとつ、我が胸に響いたのは、県内唯一の百貨店が閉店したという島根県松江発のニュースだった。これで、百貨店のない県は山形、徳島と合わせて3県になったという。ネット通販の影響で販売不振、あるいはコロナ禍、テナントの撤退、理由はいろいろあるようだが、その背景に大きく存在するのは人口減少だ。山形、徳島、島根と並べてみると日本の過疎県の姿が浮かび上がってくる。

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 僕は1947年1月生まれの77歳。いわゆる第一次ベビーブームのしょっぱなに誕生した。当然ながら、周囲に人間が多いのは当たり前の時代を生きて来た。サラリーマンになってからは通勤のために山手線と中央線を使ったが、そこのホームには「押し屋」と呼ばれる人たちがいた。もう入りきらない車内。小さなうめき声さえ聞こえる車内に、自力では乗れずに焦っているサラリーマンを何としてでも乗せる、力ずくで押し込む・・・それが押し屋である。今すでにその押し屋は東京には存在しないと思うが、76年後の2100年、押し屋どころか、痴漢なんて活動しようもないほどのゆったり通勤電車が走っているのかもしれない。さらにもしかしたら、内回り、外回り、ふたつある山手線が、どっちかひとつに間引き運転されているかもしれない。

 人口減少は国力の低下を招くというのが主たる論だが、いや逆に、むしろ心地よい生活につながるという楽観論もある。どちらの論に着地するか、見定めるにはまだ何十年という時間を要する。ただし、ごく目先の問題として、人口減少はじわじわと社会に影響を及ぼしている。例えば僕の仕事と縁の深いトラック、あるいはバス、そのドライバー不足。また介護職員の不足。トラックドライバーの不足は高度な技術でカバーされる可能性はあるようだ。しかし、体を拭く、排泄や入浴の手助けをする、体温を測る、マッサージをする、細かい直接的な接触を要する介護職は事情が違うだろう。介護施設では、新規就職者を離職者が上回ると聞く。ある介護職員の言葉が僕の記憶に残っている。自分の時給は1000円ちょっと。よく買い物に行く近くのコンビニのレジ打ちの時給は1300円です・・・。人の心の根本は、力仕事、汚れ仕事を避けようとするものだ。結果、人口減少は真っ先にそうした職種での人手不足になって現れる。我がふるさと祝島。僕の少年時代3600人だった人口は今300人にも満たないらしい。今回の原稿、人間の姿がすっかり消えた故郷の島を想像しつつ書く。

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この記事を書いた人

中村顕治

中村顕治

【なかむら・けんじ】1947年山口県祝島(いわいじま、上関町・かみのせきちょう)生まれ。医学雑誌編集者として出版社に勤務しながら、31歳で茨城県取手市(とりでし)に築50年の農家跡を購入して最初の田舎暮らしを始める。その7年後(1984年)の38歳のとき、現在地(千葉県八街市・やちまたし)に50a(50アール、5000㎡)の土地と新築同様の家屋を入手して移住。往復4時間という長距離通勤を1年半続けたのちに会社を退職して農家になる。現在は有機無農薬で栽培した野菜の宅配が主で、放し飼いしている鶏の卵も扱う。太陽光発電で電力の自給にも取り組む。

Website:https://ameblo.jp/inakagurasi31nen/

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