湯量はイマイチながらも、お湯が出るようになった和田邸。今回はようやく浴槽の設置工事だ。追い焚き配管の穴開け工事は一発勝負。テキトー施主の大失敗は起こるのか!?
掲載:2019年4月号
やっとヒノキの浴槽が登場! 底面は黒カビがぎっしり
今回はさっそく作業開始である。ヤフ○クで落札したヒノキの浴槽が和田邸に到着したのは半年近く前のこと。確かに見た目はそこそこきれいだが、ひっくり返してみると、底面に黒カビがビッシリ……! そこで、和田お得意のサンダーで研磨して表面をきれいにし、さらに仕上げにエゴマ油を塗る。
中山「ところでそのエゴマ油って、どんな効果があるの?」
和田「木質保護だね! あとツヤが出て見た目が美しい!」
阪口「いくらしたの?」
和田「500mLで2290円!」
一同「高!」
和田「うちは自然素材にはコダワリがあるからね!」
水野「そのわりには見えるところにしか塗らないのね(失笑)」
和田「もったいないから!」
中山「保護剤なんだから全体に塗らないと意味ないのでは?」
阪口「腐って買い替えるほうがよっぽど高い気がするんだが」
和田「そのときはまた考えればいいよ! 木なんだから、どっちにしてもいずれは腐るんだしさ」
中山「この底なしのポジティブシンキング……。うらやましすぎる」
「無計画的刹那主義」はもしかしたらDIYの王道!?
エゴマ油を塗り終わったら、さっそく浴室に運び込んでみる。ここで「浴槽がでかすぎて運び込めない」というオチを想定していた一同だが、さすがにそれは期待ハズレに終わり……、無事、所定の場所に設置された。
そして懸案の追い焚き配管の穴開け工事である。浴室の壁に穴を開けて給湯器から温冷2本の給水ホースを配管し、さらに浴槽本体にも穴を開けて、追い焚き用の循環金具を取り付けるのである。特に浴槽の穴開けは一発勝負。失敗は許されない。
まずは比較的ラクな家の壁の穴開けから。意気揚々と和田が取り出したのは、ドライバドリルに取り付ける延長ソケット。
和田「じゃじゃーん! これを装着すれば、どんなにぶ厚い壁でも一発で穴開け可能!」
阪口「そういえば建前のときも丸太に穴を開けるのにそれを使ってたな」
中山「好きだよね。こういうDIYグッズ」
水野「ていうか壁に対して長すぎなんじゃないの?」
和田「……もう! みんなうるさい! こういう緊張する仕事は1人でやらせてくれ! 外野がいると気が散るから!」
阪口「だって見ていて気が気じゃないんだもん」
中山「そうそう。無計画過ぎて、なんか言わずにはいられなくなっちゃうんだよね」
和田「先のこと考えるから面倒なんだよ! 今のことしか考えなければ楽しく生きられるの!」
出たー! 和田お得意の「無計画的刹那主義」! これぞテキトー星人の面目躍如と言うべきか。
しかしここでフト立ち止まって考えてみる……。もしかしたら、これこそDIY本来の楽しみなのではないだろうか?
阪口「はあ? 何言ってんの?」
中山「つまりですよ。後先考えずインパクトでジャンジャンビス留めしていくのって楽しいよね。それでできあがったのが使用に耐えられるなら充分で、しばらく使ったら、ぶっ壊してまたイチからつくり直せばいいんじゃないかと」
和田「そう! その通り! たまにはいいこと言うねえ!」
中山「もしかしてコイツのスタンスこそ、DIYの王道では?」
阪口「いや! オレはそんなの絶対認めんぞ!」(←完璧主義者)
中山「でも、プロではないわけだからさ。完成度よりも作業自体を楽しむのが、本来のDIYなんじゃないのかな」
和田「そうそう、失敗しったっていいじゃん。今この瞬間を楽しまないとね!」
一同「オマエは楽しみすぎだっちゅーの!」
配管と壁のすき間の処理に、中山がナイスアイデア!
作業に戻ろう。
浴槽設置工事の工程は、次のようなものである。
室内の壁の、タイルを張らずに残してあるモルタル部分に、小径ドリルで穴を貫通させる
↓
浴槽を所定の位置に置いて、今度は外壁からドリルを挿入
↓
浴槽の壁面に軽く穴を開けてマーキングする
↓
これを目印にホールソーで循環金具を取り付けるための穴を開ける
↓
壁面の配管穴は、ドリルをズボズボ突っ込んでジグソーで削り落とすなどして、「なんとなく円形」に切り取る
阪口「決して美しくはないが、順当なやり方だな」
水野「配管と壁のすき間は?」
和田「もちろんコーキングべた塗りですよ!」
阪口「やっぱり……。困ったときのコーキングですか」
和田「どうせ見えないからね!」
水野「外からは丸見えじゃない」
和田「ぐ……。まあホラ! ほかに方法ないし!」
中山「ちょっと待って。それさ、100㎜径のVU管を突っ込めば仕上がりが美しいんじゃないの?」
和田「お! いいアイデア! たまにはいいこと言うねえ!」
本日のメインイベント「浴槽の穴開け」は慎重に
作業は工程どおりに進んでいき、ついに本日のメインイベント「浴槽の穴開け」である。
和田「このために金具の径に合うホールソーちゃんと買ったから!」
和田がホールソーをインパクトドライバーに装着し、浴槽壁にあてがう。
いざ穿孔(せんこう)。
そのまま貫通させるのかと思ったら、さすがにそれはなくて、途中で反対側から穿孔。両側から施工することで作業がしやすいのだ。
和田「今回、試行錯誤したのが、この循環金具ね。一般的なFRPの浴槽は壁厚が15㎜以下で金具もそれに対応しているんだけど、ヒノキの浴槽は壁厚が30㎜以上あるから届かないのよ。調べたら厚壁用のアダプターが必要で、単なる樹脂の筒なんだけど3840円もしちゃった」
阪口「それは必要経費だわな」
問題の金具はホールソーを使用したおかげでピッタリ装着。仕上がりも美しい。
さらに金具の背部に温冷それぞれの給水ホースを接続して、浴室の壁に開けた穴に通し、反対側を給湯器に取り付けて完了である。
こうして念願の浴室がついに完成した……はずであったが、給湯器のリモコンスイッチを押そうとして「自動お湯張り」ボタンがないことに気づく。
和田「まあ、シャワーでお湯を入れればいいんだし。それよりも、どう? この完成度!」
阪口「ま、ウチのユニットのほうが完成度は高いかな」
中山「そうそう。ウチの風呂小屋もリフォームしたんですよ。見て見て」
一同「へえー。キレイになったじゃないの」
中山「だけど仕上がりが、なんとなく和田家と似てるんだよね。床のタイルも同じメーカーだし」
水野「確かに板張りとか似てる」
阪口「なんとなく不本意そうだな」
水野「で、どっちが完成度高いの?」
中山「そりゃウチに決まってるでしょ」
和田「うちはヒノキだから!」
中山「ウチなんか、ひと手間かけた焼きスギだし!」
和田「シャワーあるから!」
中山「ウチだってシャワー付けたわい!」
和田「照明がオシャレだから!」(←これも解体現場からの戦利品)
中山「ウチのもシャレオツ! しかも新品だし!」
……みなさん、どっちが完成度高いと思いますか!?
文/中山茂大 写真/阪口 克
過去記事はこちら!
第1回 基礎工事
第2回 墨付け、刻み
第3回 柱、梁、桁の刻み
第4回 棟上げ目前
第5回 棟上げ
第6回 棟上げ
第7回 棟上げ
第8回 足場組み、家起こし
第9回 屋根
第10回 屋根材張り&プロによる中間チェック
第11回 壁の施工、窓の取り付け
第12回 差し鴨居
第13回 外壁
第14回 はめ殺し窓、下見板
第15回 床の施工
第16回 荒床張りと電気の引き込み
第17回 ウッドデッキ
第18回 天井張り
第19回 内装工事
第20回 水回りの施工
第21回 トイレの設置
第22回 下水管の接続
第23回 下水管の接続
第24回 キッチンの施工
第25回 トイレ後日談
第26回 キッチンの施工
第27回 土壁塗り
第28回 内装&焼き杉
第29回 漆喰塗り
第30回 洗面所の施工
第31回 洗面所の施工
第32回 風呂の施工
第33回 給湯器の取り付け
第34回 混合栓の取り付け
人力社
ライター中山とカメラマン阪口、 ライター和田の旅とDIYを得意とする3人組トリオ。「人力山荘」シリーズでは中山の母屋リフォーム、中山のアネックス新築DIY、和田の自宅新築DIYを連載。阪口も自宅をDIYで新築している。
人力社HP➡www.jinriki.net
阪口HP➡https://www.sakaguti.org
和田HP➡http://www.wadayoshi.com
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