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田舎暮らしの本 1月号

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田舎暮らしの本 1月号

12月3日(火)
890円(税込)

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浴槽の設置【予算200万円】DIY経験しかないスタッフが廃材で家を建ててみた【35】

湯量はイマイチながらも、お湯が出るようになった和田邸。今回はようやく浴槽の設置工事だ。追い焚き配管の穴開け工事は一発勝負。テキトー施主の大失敗は起こるのか!?

掲載:2019年4月号

オークションには、同じ浴槽がほかに何件も出品されていたらしい。どこかの旅館が廃業したのか?

やっとヒノキの浴槽が登場! 底面は黒カビがぎっしり

 今回はさっそく作業開始である。ヤフ○クで落札したヒノキの浴槽が和田邸に到着したのは半年近く前のこと。確かに見た目はそこそこきれいだが、ひっくり返してみると、底面に黒カビがビッシリ……! そこで、和田お得意のサンダーで研磨して表面をきれいにし、さらに仕上げにエゴマ油を塗る。
中山「ところでそのエゴマ油って、どんな効果があるの?」
和田「木質保護だね! あとツヤが出て見た目が美しい!」
阪口「いくらしたの?」
和田「500mLで2290円!」
一同「高!」
和田「うちは自然素材にはコダワリがあるからね!」
水野「そのわりには見えるところにしか塗らないのね(失笑)」
和田「もったいないから!」
中山「保護剤なんだから全体に塗らないと意味ないのでは?」
阪口「腐って買い替えるほうがよっぽど高い気がするんだが」
和田「そのときはまた考えればいいよ! 木なんだから、どっちにしてもいずれは腐るんだしさ」
中山「この底なしのポジティブシンキング……。うらやましすぎる」

まずはサンダーに紙やすりを装着して表面のカビを削り落とす。からだに悪そうなホコリが舞い上がる……。

高級品のエゴマ油を塗るのは見えるところだけ。壁に接する部分や底部はそのままだ。

「無計画的刹那主義」はもしかしたらDIYの王道!?

 エゴマ油を塗り終わったら、さっそく浴室に運び込んでみる。ここで「浴槽がでかすぎて運び込めない」というオチを想定していた一同だが、さすがにそれは期待ハズレに終わり……、無事、所定の場所に設置された。
 そして懸案の追い焚き配管の穴開け工事である。浴室の壁に穴を開けて給湯器から温冷2本の給水ホースを配管し、さらに浴槽本体にも穴を開けて、追い焚き用の循環金具を取り付けるのである。特に浴槽の穴開けは一発勝負。失敗は許されない。
 まずは比較的ラクな家の壁の穴開けから。意気揚々と和田が取り出したのは、ドライバドリルに取り付ける延長ソケット。
和田「じゃじゃーん! これを装着すれば、どんなにぶ厚い壁でも一発で穴開け可能!」
阪口「そういえば建前のときも丸太に穴を開けるのにそれを使ってたな」
中山「好きだよね。こういうDIYグッズ」
水野「ていうか壁に対して長すぎなんじゃないの?」
和田「……もう! みんなうるさい! こういう緊張する仕事は1人でやらせてくれ! 外野がいると気が散るから!」
阪口「だって見ていて気が気じゃないんだもん」
中山「そうそう。無計画過ぎて、なんか言わずにはいられなくなっちゃうんだよね」
和田「先のこと考えるから面倒なんだよ! 今のことしか考えなければ楽しく生きられるの!」
 出たー! 和田お得意の「無計画的刹那主義」! これぞテキトー星人の面目躍如と言うべきか。
 しかしここでフト立ち止まって考えてみる……。もしかしたら、これこそDIY本来の楽しみなのではないだろうか?
阪口「はあ? 何言ってんの?」
中山「つまりですよ。後先考えずインパクトでジャンジャンビス留めしていくのって楽しいよね。それでできあがったのが使用に耐えられるなら充分で、しばらく使ったら、ぶっ壊してまたイチからつくり直せばいいんじゃないかと」
和田「そう! その通り! たまにはいいこと言うねえ!」
中山「もしかしてコイツのスタンスこそ、DIYの王道では?」
阪口「いや! オレはそんなの絶対認めんぞ!」(←完璧主義者)
中山「でも、プロではないわけだからさ。完成度よりも作業自体を楽しむのが、本来のDIYなんじゃないのかな」
和田「そうそう、失敗しったっていいじゃん。今この瞬間を楽しまないとね!」
一同「オマエは楽しみすぎだっちゅーの!」

浴室に運び込んで設置。ここまではたいした問題もなく順調である。

外野のツッコミに思わず立ち上がる和田。

長すぎる延長ソケットを装着したドリルで壁に穴を開ける。

建前時も同様の延長ソケットを使用。こうして見るとまるで釣り竿みたい。

 

配管と壁のすき間の処理に、中山がナイスアイデア!

 作業に戻ろう。
 浴槽設置工事の工程は、次のようなものである。

室内の壁の、タイルを張らずに残してあるモルタル部分に、小径ドリルで穴を貫通させる
 ↓
浴槽を所定の位置に置いて、今度は外壁からドリルを挿入
 ↓
浴槽の壁面に軽く穴を開けてマーキングする
 ↓
これを目印にホールソーで循環金具を取り付けるための穴を開ける
 ↓
壁面の配管穴は、ドリルをズボズボ突っ込んでジグソーで削り落とすなどして、「なんとなく円形」に切り取る

阪口「決して美しくはないが、順当なやり方だな」
水野「配管と壁のすき間は?」
和田「もちろんコーキングべた塗りですよ!」
阪口「やっぱり……。困ったときのコーキングですか」
和田「どうせ見えないからね!」
水野「外からは丸見えじゃない」
和田「ぐ……。まあホラ! ほかに方法ないし!」
中山「ちょっと待って。それさ、100㎜径のVU管を突っ込めば仕上がりが美しいんじゃないの?」
和田「お! いいアイデア! たまにはいいこと言うねえ!」

外壁に回って直径100㎜程度の穴を開ける。なかなか開かないのに嫌気が差し、手ノミ → ジグソー → チェンソーの順で、工具は次第に大がかりに。

中山のアドバイスを受け入れて100㎜径のVU管を突っ込んでみる。仕上がりはこのとおり。給水ホースもスムーズに通った。

本日のメインイベント「浴槽の穴開け」は慎重に

 作業は工程どおりに進んでいき、ついに本日のメインイベント「浴槽の穴開け」である。
和田「このために金具の径に合うホールソーちゃんと買ったから!」
 和田がホールソーをインパクトドライバーに装着し、浴槽壁にあてがう。
 いざ穿孔(せんこう)。
 そのまま貫通させるのかと思ったら、さすがにそれはなくて、途中で反対側から穿孔。両側から施工することで作業がしやすいのだ。

浴槽の側面に穴を開けようとするが、この体勢では作業しにくく上から作業できるように浴槽を90度回転させた(下の写真)。正解である。

浴槽の穿孔では、慎重を期して、角度を固定するドリルスタンドを装着して小径ドリルを貫通(左)させた後、ホールソーで穴開け。

慎重に反対側からもホールソーで作業。

和田「今回、試行錯誤したのが、この循環金具ね。一般的なFRPの浴槽は壁厚が15㎜以下で金具もそれに対応しているんだけど、ヒノキの浴槽は壁厚が30㎜以上あるから届かないのよ。調べたら厚壁用のアダプターが必要で、単なる樹脂の筒なんだけど3840円もしちゃった」
阪口「それは必要経費だわな」
 問題の金具はホールソーを使用したおかげでピッタリ装着。仕上がりも美しい。
 さらに金具の背部に温冷それぞれの給水ホースを接続して、浴室の壁に開けた穴に通し、反対側を給湯器に取り付けて完了である。
 こうして念願の浴室がついに完成した……はずであったが、給湯器のリモコンスイッチを押そうとして「自動お湯張り」ボタンがないことに気づく。

浴槽に取り付ける循環金具のトリセツを熟読する。一発勝負だけにさすがのテキトー星人も慎重だ。

これが追い焚き用循環金具。

取り付け前に再びトリセツを熟読する。

珍しくトリセツを読んだのでメーカー指定どおりにキッチリ仕上がった……、ハズである。

温冷それぞれの給水ホースを循環金具に装着。

給湯器本体にも接続して、いざ「自動お湯張り」ボタンを押そうとしたが、「あれ? 保温と追い焚きしかない……」。

新しい風呂に、和田家の子どもたちも大喜びだ。

和田「まあ、シャワーでお湯を入れればいいんだし。それよりも、どう? この完成度!」
阪口「ま、ウチのユニットのほうが完成度は高いかな」
中山「そうそう。ウチの風呂小屋もリフォームしたんですよ。見て見て」
一同「へえー。キレイになったじゃないの」
中山「だけど仕上がりが、なんとなく和田家と似てるんだよね。床のタイルも同じメーカーだし」
水野「確かに板張りとか似てる」
阪口「なんとなく不本意そうだな」
水野「で、どっちが完成度高いの?」
中山「そりゃウチに決まってるでしょ」
和田「うちはヒノキだから!」
中山「ウチなんか、ひと手間かけた焼きスギだし!」
和田「シャワーあるから!」
中山「ウチだってシャワー付けたわい!」
和田「照明がオシャレだから!」(←これも解体現場からの戦利品)
中山「ウチのもシャレオツ! しかも新品だし!」
 ……みなさん、どっちが完成度高いと思いますか!?

 

文/中山茂大 写真/阪口 克

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