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田舎暮らしの本 12月号

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田舎暮らしの本 12月号

11月1日(金)
890円(税込)

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サッシ窓の取り付け【予算200万円】DIY経験しかないスタッフが廃材で家を建ててみた【36】

前回までに浴室の施工が完了して、竣工が目前に迫った和田邸である。今回は待望のサッシ窓の取り付け。しかし、ここでもテキトー施主のあり得ない施工が問題に!

掲載:2019年5月号

大きなサッシ枠を持ってポーズをとる3人。

サッシ窓が間口より大きく丸太柱を削る!?

 連載時には、大きなサッシ窓を誌面で公募していた。だが、編集部への申し出は1件もなく、結局、新品で購入したサッシ窓を取り付けることに。
阪口「そりゃそうだよな。発送するだけでも大変だもの」
中山「割れる恐れもあるしね」
水野「で、いくらだったの?」
和田「高級ペアガラスの掃き出し窓4枚建てと2枚建て、ともに網戸付きで総計15万1500円!」
一同「……高くね?」
阪口「うちなんか、ウッドデッキに通じる掃き出し窓3つと普通の窓が11。もちろん全部ペアガラス。おまけに勝手口ドアも付いて40万円だったよ。相ミツとったけど」
「相ミツ」とは複数の業者に見積もりを出させて比較することで、より安価な業者を選べるのだ。
和田「ぐ……。そっちが異常に安いんだよ、きっと!」
水野「あくまで損したとは認めたくないわけね」
阪口「結局、ペアガラスにしたんだね」
和田「なにしろ断熱効果が違うからね!」(えっへん!)
 しかし、ほかのサッシ窓がすべて単板(たんばん)ガラス(1枚ガラスのこと)なのに、ここだけペアガラスにしても意味がないのでは……?
 一同の素朴な疑問もなんのそので、前もって組み立てておいたサッシ枠を運んでくるテキトー星人であった。
 しかし、そのサッシ枠を間口に合わせてみると……。
阪口「合わないんですけど」
 そう。間口に比べてサッシ枠の横幅が微妙に大きいのである。
中山「寸法間違えたのか?」
和田「いや! わざと大きいのにしたの!」
阪口「意味わかんないよ」
中山「なんでひと回り小さいのにしなかったんだよ」
和田「ひと回り小さいサイズだと、幅が660㎜も狭くなって壁をつくらなくちゃならないんだよ。そんな壁でこの開放感を殺したくないんだよね」
 そもそも、一般的な住宅の規格で家を建てていれば、サッシのサイズが合わないなんてことはないのだが、和田の家は丸太柱で無駄に太いため、標準規格のサッシではピッタリはまらないのである。サッシはオーダーメードもできるが、かなり割高である。一方で既製品は安価だが規格が決まっている。そこで和田としては開口部分を広く取るために、「間口のほうをでかくする」という選択をしたわけである。
和田「というわけで柱を削ることにしました! サッシの左右にくる柱を、それぞれ2㎝ずつ削るから!」
水野「なんか、柱がどんどん細くなっていくよね」
阪口「床材をはめ込む切り欠きも入れたし、差し鴨居入れるのにも、すんごい欠いてたよな」
中山「どんどん家の耐久度が落ちていってる気がするんだけど」
和田「大丈夫大丈夫! もともと太すぎるくらいの柱なんだから!」
 まあ、施主が言うんだから、いいか……。ということで作業開始である。

組み立てた掃き出し窓用のサッシ枠は、でかいうえにアルミ製なので柔らかく、1人で運ぶのは絶対ムリ。

サッシ枠をはめてみる。しかし、でかすぎてはまらない。

クソ面倒な手間はすべて「丸太柱の呪い」?

 丸ノコを構えた和田が、丸太柱に切り込みを入れていく。いつキックバックが起こるかハラハラしていたが、なんとか無事に完了。次に切り込みにバールを突っ込んで端材をはがそうと試みる。しかし、うまくいかない。柱の正面と側面から入れた切り込みが必要な深さに達していないのである。
阪口「壁の施工といい、サッシの取り付けといい、これはまさに『丸太柱の呪い』だな」
 結局、チェーンソーでさらに深く切り込みを入れ、なんとか切り欠きに成功。反対側の柱にも同じように切り欠きを入れる。よくもまあ、こんなクソ面倒な作業を選択したものだとあきれて見ている。
 一同を「ヒマしている」と判断したらしい和田から指示が飛んだ。柱の上下の端っこの欠き残しを手ノミでさらう作業である。
和田「中山さん、切り欠き、『夜・露・死・苦(よろしく)』!」
水野「なんで暴走族風なの?(失笑)」
中山「なにしろ昭和世代ですからねえ」
和田「いいから仕事して!」

まずは丸ノコでタテ切りにチャレンジ。

次に得意のチェーンソーでさらに深く切り込む。

バールを突っ込んで力任せに引きはがし……。

切り欠きが完了。

 ようやく柱の切り欠きができたところで、新たな問題が発生した。床材との取り合いである。
 サッシ窓とひと口にいうが、その構造にはいろいろなタイプがある。古い日本家屋に使われるのは「内付け」という形だが、現在の規格ではほとんど使われていない。代わりに主流なのが壁の外に全体が飛び出す「外付け」や、大壁仕様の現代住宅で多く使われる「半外付け」などだ(図参照)。
阪口「で、どのタイプを買ったの?」
和田「たぶん『半外付け』かな?」
中山「たぶんってなんだよ、たぶんって! 15万円も身銭切ったんだろ!?」
和田「だって、そんなにいろいろなタイプあるって知ったの今だし」
中山「……。ま、いいよ、俺の家じゃないし。ところで問題は、窓台(窓の下の横木)をどの高さにするかだよ」
 掃き出し窓は床の天面と窓サッシの下部が揃っているのが使う人のことを考えた「よい仕事」。ここに段差があると、出入りのときに面倒なのだ。
和田「うちはもう先に床板を張っちゃったからさ。窓台の厚さは窓枠を置いてから考えればいいよ」
中山「また現場合わせかよ!!」
阪口「でも逆にそれで問題なく合うから、なんだか悔しいのよ」

大ざっぱに切り欠いたら、微調整のためにかませる端材をつくる。自作のテーブルソーが活躍。

上端にかませる端材を留める。

木くずまみれの和田をブロワーで清掃。

窓を置いてみて現場合わせで、窓台の高さを決めて取り付け。
阪口「面倒なこの作業は私がやりました」

改めてサッシ枠を運んできて、今回は本留めする。

本留めするまでの間、和田に押さえておいてと言われ、サッシ枠を持つ担当・水野。なぜか『ラ・ラ・ランド』を披露。

ずさんな施工で新品サッシが傷だらけ!

 サッシ枠をビスで柱と鴨居と窓台に取り付ける。アルミのサッシ枠は柔らかいのでインパクトドライバを使う場合は、力を加減しながらビスを打っていく必要があるのだが……。ここでさらなる問題が出来した。
 先ほど柱に切り欠きを入れたが、それが上に行くほど深くなっているのだ。つまり、そのまま切り欠いた面に合わせてサッシ枠をはめると、家の内側に傾いた状態になってしまうのである。これはマズイ……、というわけでサッシがまっすぐになるように上のほうだけ少し浮かした状態でビス留めしておいたんだが。
和田「なにこれ! なんで途中までしか打ってないの!?」
中山「いや、そこは下地が深いからムリヤリ留めないほうが……」
和田「大丈夫大丈夫! 木っ端を挟んで何となくまっすぐにしときゃいいよ」
 ダダダダダ!
 結局ビスの根元までキッチリ留めてしまい、柔らかいアルミサッシはグニャリと曲がってしまった。

本来はドライバドリルのほうが力の加減がしやすくていいのだが、インパクトドライバしかないので仕方ない。

水野「ところで付属のビスが1つ余っているみたいだけど」
和田「それね! どこに打つのかわからないから、いいやと思って!」
一同「だから! トリセツ読めっつーの!」
 トリセツをよく読むと、このビスはサッシ枠の下端内側に打つ「転び止め」と判明する。
阪口「『転び止め』はちゃんと打っておいたほうがいいよ。ホントに窓ごと倒れてくるからね」
和田「いや、いい!」
一同「えー!? そうなの?」
和田「そもそも転び止めって、床板を張る前じゃないと打てないじゃん。いまさら無理」
水野「この重たい窓が倒れてきたら大けがするよ」
和田「大丈夫大丈夫!」
中山「新たな施工不良ですか」
阪口「絶対この家には住みたくないな」
 さらにずさんな施工を、担当・水野が発見。
水野「ああっ! 見てこれ!」
 おお。なんとしたことか。外から打ち付けたビスが長すぎるうえ狙いを外し、見事に内側に貫通しているではないか。
中山「あ! こっちも!」
阪口「ここもだ!」
 なんとその数、合計3カ所。
阪口「あーあ。せっかく新品買ったのに」
中山「これじゃあ解体現場から拾ってきたのと変わらんなあ」
和田「大丈夫大丈夫! グラインダーで削っちゃえばわからないから」
 そう言って笑う和田の顔は、微妙に引きつっていた……。
 次回は、床張り、電気配線など、今まで取り上げなかった細部の施工を一挙に紹介!

なぜか余った付属のビス。

サッシ枠の失敗実例その1。サッシと柱の間にできたすき間と、ムリヤリ留めて曲がったサッシ枠。

サッシ枠の失敗実例その2。狙った受け材から外れて見事に飛び出してしまったビスの先端。

サッシ枠の失敗実例その3。同じくサッシ枠に貫通したビスを抜いたため塗装がはげるの図。

とはいえ、サッシ窓が入ると気分が上がる! 新品にごきげんの和田。

クソ重いペアガラス窓をはめ込む。中央2枚を奥のレールに、左右外側2枚を手前のレールに。

細かい失敗はいろいろあったものの、無事に掃き出し窓の取り付けができた! 家の完成も間近!?

 

文/中山茂大 写真/阪口 克 図/和田義弥

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