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田舎暮らしの本 5月号

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田舎暮らしの本 5月号

3月1日(金)
890円(税込)

© TAKARAJIMASHA,Inc. All Rights Reserved.

内装や配管など【予算200万円】DIY経験しかないスタッフが廃材で家を建ててみた【37】

いよいよ完成間近の和田邸。今回は、今まで触れなかった床板張り、内壁、電気配線、水道配管を振り返ってみよう。

掲載:2019年6月号

見た目はそれなり、隠れた場所はずさん⁉

水野「ついに完成が近づいてきましたね! 今の感想は?」
和田「冬が来る前に今の古民家から移りたいね(2018年、秋の話)。とにかく寒いのよ」
中山「よくわかるよ。それに早くしないと住む前に新居のほうが崩壊しそうだからな」
和田「そんなことないから!」
水野「でも、見た目はそれなりにカッコよくできているよね」
阪口「外からは見えない数々のずさんな施工を目の当たりにしてきた身としては、怖くて絶対住めないよ」
和田「そんなことないって!」
中山「ともあれ今まで触れなかった床、内壁、電気の配線などを、ざっと見ていきましょうか」
阪口「電気か……。また心配のタネが増えるなあ」
和田「大丈夫だってば!」

床板張り
和田が1人でコツコツ作業。基礎に開口を忘れたため点検口が4つも。

水野「月イチの作業に来たら、床はほとんど張り終わっていたんだよね」
阪口「撮影するんだから待てよな」
和田「仕上げだからね。こういうところは外野の声を気にせずに1人でコツコツやりたいの」
中山「とはいえ一部だけ残してあったのが、床下点検口なんだけど」
水野「そうそう。和田さんちって点検口が4つもあるんだよね。こんなに必要なの?」
和田「基礎に人通口(基礎の中を行き来するため立ち上がりに設ける開口)を設けるのを忘れちゃって、基礎が4つに完全に区切られているから、それぞれに点検口をつくったの。それに床下はもみ殻断熱だから、そのチェックも欠かせない」
一同「出たー! もみ殻断熱!」
水野「昨年の夏に発生していた虫はどうなったの?」
中山「うじゃうじゃいたよね。確かこのへん……」
和田「大丈夫! 荒床も張ったし!」
阪口「また、暖かくなったら出てくるんじゃない?」
和田「大丈夫大丈夫!」

見栄っ張りの施主・和田は、床材は新品を購入。

施工の終わった床下点検口を開けてみる……が、なかなか開かない(写真右)。やっと開いたと思ったらゴミがたまって汚い。点検口だけはもみ殻ではなく市販の断熱材を使用。

きつくはまった断熱材を取ろうとしたら、割れてしまった(失笑)。

内壁の施工
見えるところは下地処理もていねいだが、内壁の板張りに大きなすき間が!

阪口「石膏ボードの継ぎ目にはちゃんとメッシュテープを下張りしてパテまで塗ったんだね」
和田「下地処理しないで漆喰を塗ると、継ぎ目が浮き出るからね」
水野「相変わらず見えるところは手抜きしないね」
中山「しかし板張りした壁のすき間はいただけませんな」
水野「裏の筋交いが丸見えだし」
和田「ここはタンスを置いて見えなくなるから、いいの!」
阪口「その割には真鍮釘、使っているよね」
中山「野地板にもプレーナーかかっているし」
和田「……間違えたの!」

メッシュテープを張らされているのは、おなじみの助っ人、柴田さん。

本来はメッシュテープを張ってからパテを塗るのだが、間違って先にパテを塗ってしまった(写真左)。パテを取り除き、改めてメッシュテープを張り、パテを塗ることに(写真右)。

建築が始まったときは幼稚園児だった和田家の長男・康陽も、小学3年生(当時)。充分戦力になる。

妻壁の漆喰を塗る担当・水野。コテ使いもだいぶ上達した。

風呂場との境となる内壁。タンスで隠れるからか、やたらに張り方が粗く、すき間だらけ。

洗面所と部屋の境の内壁。こちらはよく見える位置にあるため、張り方がていねいだ。低すぎるコンセントに注目。

電気の配線
電気工事士への依頼も労力交換ですませ、照明器具はほとんどもらいもの!

水野「ところで、電気の配線はどうやって持ってきたの?」
阪口「仮設のときには工房からVVFケーブルを引っ張ってきたよね」
和田「仮設配線は撤去しました。改めて母屋の分電盤から直接1回路を取って、きちんと地中を通して配線し直しました。電気工事士さんとやったから完璧です!」

母屋から引っ張る配線を地面に埋めるため、ショベルカーで深さ約30㎝の溝を掘る。

母屋から引っ張る配線は、防護管を通して新居まで約25m地中を這わせた。

配線を地面にある程度埋めた後、そこに配線があることを示すためにアルミテープを引いてから仕上げの土をかける。こうしておくことで、再度、土を掘り起こすようなときに配線を切ってしまう心配が少なくなる。

水野「電気の配線も、電気工事士に頼んだんだよね?」
和田「もちろん! 近所の電気工事士にお願いしました。兼業農家さんなんだけど、ジャガイモ掘りの手伝いをする代わりにタダでやっていただきました」
水野「労力交換ね」
阪口「コンセントの差し込み口が異常に低いのが気になるんだけど」
和田「適当な位置がわからなくてさ」
中山「床面から3㎝だよ(笑)、低いにもほどがあるだろ!」(部屋のコンセントは上の写真、洗面所のコンセントは下の写真)
阪口「普通は床面から20cm程度です」
和田「あとコンセントをたくさん付けたのはいいんだけど、うちにはテレビも掃除機も電子レンジも空気清浄機もないからさ、じつは全然使ってない」
一同「意味ねー!(失笑)」

兼業農家の電気工事士、島野さん。洗面所に分電盤を設置する。こういうものはなるべく目立たない場所に設置するのがよい。

母屋の分電盤(30A)から1回路(20A)を引っ張ってきて、新居にも新たな分電盤を設置。漏電ブレーカーも付けた。系統を間違えないようにメモしておくのは鉄則である。

分電盤から延ばした配線は梁の上を通して各部屋に回路を設ける。

洗濯機用のコンセントだというが低すぎ! 水回りは高い位置に配線するのが鉄則だろうに……。

中山「それにしても、うらやましいのがアンティークな照明器具」
和田「ほとんどもらいものだね」
水野「相変わらずもらうの上手だよね、和田さんって」
中山「コツはなんなの?」
和田「とりあえず言ってみること。解体現場でも声をかけるし、必要なものがあったら知り合いにも『○○ありませんか?』って一斉メールで聞いてみるの。案外、みんな使っていないものとかあるんだよ」
阪口「そこまで図々しくはなれないかな」
和田「逆に誰かが必要としているもので、それがうちにあれば譲ることもあるし」
水野「物々交換ね」
和田「労力もそうだけど、地域で助け合えるのは田舎のいいところじゃない」
阪口「物は言いようだな」
中山「ライターで食えなくなったら、リサイクルショップのオヤジになれば?」
和田「……ならないから!」

再々度水漏れした水道配管
またまた水漏れ発覚! 原因は拾ってきた止水栓。

和田「何度も修理している水道配管ですが! またしても問題が出ました!」
中山「今度はどこがいかれたの?」
和田「母屋と新居の分岐に埋めた止水栓の周りの地面がなんか湿っていてさ、掘り起こしたら水漏れしていました……」
水野「もらいものの止水栓だったんじゃないの?」
和田「もらったんじゃなく、解体現場で拾った」
中山「解体現場から拾ってきた止水栓なんて、ふつう使わないだろ!」
阪口「無駄な労力を浪費しまくっている気がしてならないんだけど」
和田「いいの! タダだから!」
中山「タダほど高いものはないって、いい加減気づけよ」
阪口「で、取り替える止水栓も、どうせ中古なんだろ?」
和田「うぐ……」
一同「……懲りないヤツ!」

水道配管の失敗で土を掘り起こすのは3度目か??

水漏れする止水栓は、助っ人に来ていた柴田さんの車にこっそり忍ばせた。まるでババ抜きのババである。

 

 

文/中山茂大 写真/阪口 克

過去記事はこちら!
第1回 基礎工事
第2回 墨付け、刻み
第3回 柱、梁、桁の刻み
第4回 棟上げ目前
第5回 棟上げ
第6回 棟上げ
第7回 棟上げ
第8回 足場組み、家起こし
第9回 屋根
第10回 屋根材張り&プロによる中間チェック
第11回  壁の施工、窓の取り付け
第12回  差し鴨居 
第13回  外壁
第14回  はめ殺し窓、下見板
第15回 床の施工
第16回 荒床張りと電気の引き込み
第17回 ウッドデッキ
第18回 天井張り
第19回 内装工事
第20回 水回りの施工
第21回 トイレの設置
第22回 下水管の接続
第23回 下水管の接続
第24回 キッチンの施工
第25回 トイレ後日談
第26回 キッチンの施工
第27回 土壁塗り
第28回 内装&焼き杉
第29回 漆喰塗り
第30回 洗面所の施工
第31回 洗面所の施工
第32回 風呂の施工
第33回 給湯器の取り付け
第34回 混合栓の取り付け
第35回 浴槽の設置
第36回 サッシ窓の取り付け

人力社
ライター中山とカメラマン阪口、 ライター和田の旅とDIYを得意とする3人組トリオ。「人力山荘」シリーズでは中山の母屋リフォーム、中山のアネックス新築DIY、和田の自宅新築DIYを連載。阪口も自宅をDIYで新築している。
人力社HP➡www.jinriki.net
阪口HP➡https://www.sakaguti.org
和田HP➡http://www.wadayoshi.com

 

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