掲載:2023年5月号
家庭菜園ならではの完熟イチゴは
甘酸っぱい初夏の味わい
無農薬で完熟穫りのイチゴは、家庭菜園ならではの味わいです。収穫は5月~6月。露地のほかプランター栽培にも向いています。現在の栽培イチゴの発祥は18世紀のオランダで、北米東部原産と南米チリ原産が交雑してできました。寒さに強い多年草で、過湿を嫌います。品種に勝る技術なし。無農薬栽培に向いた品種を選びましょう。苗の植え付けは年2回。春植えは2カ月後に収穫でき、秋植えは収穫時期が長く収量が多くなります。
※ストチュウ水…雨水に似た野菜の栄養ドリンク。酢・木酢液・焼酎を1:1:1で混ぜたストチュウ原液をペットボトルにつくり置き、300倍以上に薄めて使う。7Lのジョウロの水には、ペットボトルキャップ(約7mL )3杯の原液を混ぜる。
1 土づくり
水はけと風通しのよい畑で
完熟堆肥や燻炭を浅くすき込む
水はけのよい場所を好むため、湿り気味の畑では高畝にします。根が浅く張るので、完熟堆肥や燻炭は浅めにすき込んでください。
2 準備
①小さめの苗を選ぶ
苗は葉が3~4枚の小さいもののほうがよく育ち、大きな実を付けます。大き過ぎるもの、花や実の付いた苗は避けてください。葉がきれいで病気がなく、株元の茎(クラウン)が太いものを選びましょう。ランナーや花、実が付いている場合は、すべて切り落としてから植え付けます。
②植え付け前に底面吸水
苗は植え付けの1~2時間ほど前から直前まで、ポットの底をストチュウ水に浸して底面吸水させます。植え付け後は3~4日、水やりしません。こうすると根の活着が促されます。
3 植え付け
ランナーの向きを揃えて浅植えに
苗の植え付けは、根鉢の上面が地面より高くなるように浅く植えます。新しくランナーが伸びる側(古いランナーの逆側)を通路側に向けて植えるのもコツ。花芽も通路側に付き、収穫がしやすくなります。
4 お世話
①開花1週間前まで
草マルチと米ぬかの補いを
植え付け後は草に負けないよう、株の周囲の草丈が15cm以上に伸びたらその都度刈って敷き、草マルチを重ねてください。
開花1週間前までの蕾の時期までに1~2度、米ぬかを補うと実の甘味が増します。ただし、それ以降の時期が遅れた補いは、病虫害の原因になるため避けましょう。
②開花から青い実の時期は
ストチュウ水で水やり
開花から青い実が膨らむ時期、雨がなければ水やりすると実がよく付きます。週に1度、朝か夕方に葉の上からストチュウ水をたっぷりかけてください。ただし実が赤くなったら、水やりはしません。実の糖度が下がり、傷みやすくなってしまうからです。
5 収穫
へたが反った完熟イチゴを穫る
開花後30~40日で実が赤くなります。ヘタが反り返ったら完熟です。次々穫れば穫るほど実を付けるので、遅れずに収穫してください。また、雨に当たると実が傷むため、雨の前日には完熟を待たず、色付いた実をすべて収穫します。
監修/竹内孝功
たけうち・あつのり●1977年生まれ。長野県を拠点に菜園教室「自然菜園スクール」などを開催。著書に『自然菜園で育てる健康野菜ゼロから始める無農薬栽培』『完全版 自給自足の自然菜園12カ月 野菜・米・卵のある暮らしのつくり方』、最新刊 新装版『無農薬「自然菜園」で育てる人気野菜』(すべて宝島社)ほか多数。
WEBサイト「@自給自足Life」https://39zzlife.jimdofree.com/
文・写真/新田穂高 イラスト/関上絵美・晴香
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