自然と触れ合いながら子育てしたいと、移住を決意。趣味のサーフィンもできる環境を求め、巡り合ったのが海も山も近い勝浦だ。朝サーフィンをしてから、飲食店&キャンプ場で働く、夢のような暮らしを送っている。
掲載:2023年5月号
千葉県勝浦市(かつうらし)
千葉県の南東部、南房総国定公園の一角を占め、人口約1万6000人。漁業と観光で栄え、400年以上の歴史を誇る「勝浦朝市」や、東洋一の規模の海中展望塔などを有する。全国有数の水揚げ量を誇るカツオや、ご当地グルメ「勝浦タンタンメン」など、食も豊かだ。東京駅から勝浦駅まで特急で約90分。
アットホームな飲食店&キャンプ場を開業
「勝浦は、海はきれいだし、サーフスポットもリーフ(海底が岩)やビーチ(海底が砂)など、バリエーションに富んでいる。最高の住み心地です」
そう話すのは、勝浦市に2020年8月に移住した齋藤祐之介さん(37歳)だ。妻の侑奈さん(37歳)とともに、海から車で10分ほどの里山で飲食店&キャンプ場「BLACK RAMS(ブラック ラムズ)」を営んでいる。
東京都生まれの祐之介さんは、都内で営業マンをしていたが仕事を辞め、サーフィンやアートを学びたいと、結婚したばかりの侑奈さんとともにハワイへ留学した。
「長男の出産で帰国し、東京でさまざまな仕事をしていましたが、子どもをのびのび育てたいと移住を考えはじめました」
サーフィンが毎日できること、東京に近いことなどの条件から、外房で家を探した。そんな折、千葉県主催の移住イベントで勝浦市の担当者と、地域活性や移住支援などの活動をしている妙海寺の住職に出会う。その住職から街道沿いにある野菜直売所だった店舗を紹介され、近くに賃貸の家も見つかった。
店舗の持ち主から自由にしていいと言われ、アーティストでもある祐之介さんが自分で改修。
「地域の皆さんや友人が手伝ってくれたり、材料や家具を譲ってくださったり。本当に助かりました」
食事のメニューは、手軽に食べられるブリトー。広い敷地にはキャンプサイトのほか、手づくりの遊具があるプレイスペースも設けた。街道に面しているので、森のなかの野趣あふれるキャンプ場とは異なるが、平坦で子どもが安心して遊べるとファミリー層に人気となっている。
子どもたちの学びの場をつくりたい
「勝浦市は100年以上、一度も猛暑日(一日の最高気温が35度以上の日)がないんです。夏は涼しく、冬は暖かくて過ごしやすいんですよ」と祐之介さん。
侑奈さんも「きれいな海があって、山も近くて。子どもをのびのび育てるにはいい環境です。不便なところもありますが、それもまた楽しいです」と笑う。
祐之介さんは、毎朝、サーフィンをしているという。子どもたちも、海で遊ぶのが大好きだ。
近年、勝浦市には若い移住者が増えてきている。「同世代の人たちと仲よくなって、勝浦やサーフィンなどの話をよくします。これから勝浦をもっと盛り上げていきたい」と祐之介さんは話す。さらに子どもたちの教育にもかかわっていきたいと考えている。
「アーティスト活動やものづくり、海での遊びなどを通して、子どもたちの考える力や生きる力を育む〝学びの場〞をつくりたいですね。地域の子どもたちが、人生で大きな波にぶつかっても、乗り越えられるようになってほしいと思っています」
フラダンスのインストラクターの侑奈さんも、「店でフラダンス教室をしたい」と話す。
さらに将来は、勝浦と海外の二拠点生活をしたいと夢は大きくふくらむ。
齋藤さんに聞いた「海暮らし」のここがいい!
①朝夕にサーフィンができる
朝サーフィンをして、昼は働き、夕方も時間があれば海へ行く。そんな暮らしができるのは海が近いからこそ。
②魚が新鮮でおいしい!
水揚げ量が千葉県第2位の勝浦漁港があるので、魚介が新鮮。友人の漁師さんからいただいたカツオが、おいしくてびっくりしました。
③海を眺めるとリラックスできる
海を眺めて波の音を聞いていると、リラックスできます。サーフィン以外でも海に来て、家族でのんびりしています。
勝浦市移住支援情報
夏は涼しく冬は暖かい! 過ごしやすく心地よい勝浦
観測史上一度も猛暑日を記録したことがない勝浦市。近年では、テレワーク移住や、釣り、サーフィン、キャンプなどのアクティビティが身近な暮らしを求め、移住希望者が増えている。市では、40歳以下の夫婦への住宅奨励金(取得・賃貸)や東京圏からの移住者への移住支援金、また高校3年生までの医療費や小・中学校給食費の無償化など子育て支援も充実。
問い合わせ:勝浦市移住・定住相談窓口 ☎0470-73-6654
千葉県勝浦市移住「日々、かつうら」 - 日々、かつうら【千葉県勝浦市公式 移住・定住ポータルサイト】 (katsuura-iju.org)
文/水野昌美 写真/鈴木千佳 写真提供/BLACK RAMS
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