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田舎暮らしの本 1月号

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田舎暮らしの本 1月号

12月3日(火)
890円(税込)

© TAKARAJIMASHA,Inc. All Rights Reserved.

モロヘイヤは暑さに強く、盛夏から秋の初霜まで長期間楽しめる/竹内孝功さんに教わる自然菜園のスゴ技【第17回】

掲載:2023年8月号

暑さに強く真夏から秋まで収穫
7月上旬蒔きでまだ間に合う

エジプトで王様の野菜の意味を持つモロヘイヤ。原産地はインドか中東アフリカとされています。日本への導入は比較的新しく1980年代。カロテンやカルシウム、ビタミンCを多く含み、ゆがくとヌメリの出る健康野菜として広がりました。暑さに強く、真夏に旺盛に育つ1年草で、秋には木のように茂ります。やわらかい若芽を摘み、わき芽を増やして次々に収穫してください。葉物の少ない盛夏から、秋の初霜まで長期間楽しめます。

1 土づくり

風通しがよければどこでも育つが
肥沃な畑でやわらかくおいしくなる

 風通しさえよければ、畑を選ばずどこでも育ちます。とはいえ肥沃な畑ほど、やわらかくおいしくなるので、初めて野菜を育てる畑では、畝の準備をしておきましょう。葉にカルシウムを含むため、土づくりにはリン酸とともにカルシウムを補えるバットグアノを用いると、よく育ちます。

2 種蒔きと育苗

①種蒔きは最低気温15℃以上になってから

 発芽適温、生育適温ともに高く、早蒔きすると育ちません。種蒔きは最低気温15℃以上で。発芽後の生育も夏までは緩慢で、真夏の高温で一気に大きくなります。このため種蒔きできる期間は後ろに長く、温暖地では7月上旬まで可能です。

②草負けしやすいためポットに種蒔きして育苗

 種が小さく、畑に直蒔きすると草負けしやすいため、2.5号ポット(直径7.5cm)に種蒔きして苗を育てます。発芽後は暖かい場所に置き、土の表面が乾いたら、たっぷり水やりしてください。

ポットに詰める土は市販の培養土でよいが、培養土・畑の土・もみ殻燻炭を8:1:1の比率で混ぜると、がっちりした根の苗になる。ポットに詰める前に水を加えてよく混ぜておく。水分量は50~60%、土を握ると固まり、突くと崩れる程度が目安になる

ポットに土を詰めるとき、まずは土を山盛りに入れる

鎮圧してポットの底までしっかりと土を詰める

種の色はエメラルドグリーン。茶色い種は未熟、黒い種はカビているので避ける

浅く蒔き穴をつけ、3~4粒ずつ種を蒔く

7~8mmの厚さに覆土し、しっかりと鎮圧する

充分に水やりした後、ポットを新聞紙で包み、さらに水で濡らして乾燥を防ぐ。新聞紙は2日後の朝に外す

3 定植

本葉4~5枚で植え付ける

 本葉4~5枚に育ったら、畑に定植します。苗は小さいですが、後に大きく茂るので、株間は50cm、間にコンパニオンプランツを育てる場合は1mとってください。2列以上育てる場合、条間は1m開けます。

本葉4~5枚の苗を植え付ける。苗には前日にたっぷり水やりし、当日は植え付け2時間前からトレイの底を深さ3cmほど水に浸して底面吸水させておく

植え穴を掘り、根鉢を崩さずに植え付ける。深さは根鉢の上面と地面が同じ高さになるように。掘った土を天地そのまま根鉢の周囲に戻し、しっかり鎮圧して根鉢と土を密着させる

地温が上がるよう、根鉢の上は草マルチせずに空けておき、その周囲に草マルチをする

植え付けの1週間後に間引いて2本にする

4 お世話

①高さ15cmまで育ったら、間引き収穫して1本立ちに

 背丈が15cmになったら、2本のうち1本を収穫を兼ねて間引きます。残した1本の株元には、たっぷり草マルチしてください。

育ちのよいほうを残し、1本を地際から切り取る

②収穫開始後は2週に1度
草マルチを重ねて米ぬかを補う

 その後、収穫が始まってからは、2週間に1度ほどのペースでたっぷりと草マルチを重ねていきましょう。同時に、一握りの米ぬか、または米のとぎ汁を、草マルチの上から補います。

真夏の高温乾燥に備え、梅雨明け前には畝や通路の草を刈り、株元に草マルチを敷き重ねる

米ぬかや米のとぎ汁は、株の周囲に草マルチの上からぐるりと補う

③7~10日間雨が降らないときや
30℃以上の高温期は夕方に水やり

 乾燥し過ぎると葉や茎がかたくなります。7~10日間も雨が降らないときや、30℃以上の高温が続く真夏には、夕方にたっぷり水やりを。水やりにストチュウ水を使うと葉がやわらかくなり、収穫量が増えます。

※雨水に似た野菜の栄養ドリンク。酢・木酢液・焼酎を1:1:1で混ぜたストチュウ原液をペットボトルにつくり置き、300倍以上に薄めて使う。7Lのジョウロの水には、ペットボトルキャップ(約7mL )3杯の原液を混ぜる。

5 収穫

①高さ30cm以上に育ったらやわらかい先端を摘芯収穫

 収穫は生長する若芽を摘芯します。株の背丈が30cmを超えたら先端の8~10cmほどを摘んでください。

②伸びたわき芽も摘芯収穫を繰り返し
つぼみを付けさせずに長く穫る

 その後に伸びてくるわき芽も、先端の12~15cmを摘芯収穫してください。さらに出てくるわき芽も同様に摘芯収穫。つぼみを付ける前に摘み取りを繰り返すことで、やわらかい若芽が長期間収穫できます。

 

監修/竹内孝功

たけうち・あつのり1977年生まれ。長野県を拠点に菜園教室「自然菜園スクール」などを開催。著書に『自然菜園で育てる健康野菜ゼロから始める無農薬栽培』『完全版 自給自足の自然菜園12カ月 野菜・米・卵のある暮らしのつくり方』、最新刊・新装版『無農薬「自然菜園」で育てる人気野菜』(すべて宝島社)ほか多数。

WEBサイト「@自給自足Life」https://39zzlife.jimdofree.com/

 

文・写真/新田穂高 イラスト/関上絵美・晴香

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