掲載:2023年9月号
結球がうれしい冬野菜の女王
初期のお世話で大きく育てる
地中海沿岸から中央アジアの草原地帯に自生するアブラナ科の一年草。その後、中国でカブやパクチョイの原種と交雑してハクサイができました。春蒔きよりも、夏秋に種蒔きして秋冬の低温期に収穫するのが育てやすいです。過湿に弱いため水はけのよい畝を選んでください。夏野菜がよく育った畝が適地。結球までの生育前半にしっかりとお世話して外葉を大きく育てるのがポイントです。
※ストチュウ水…雨水に似た野菜の栄養ドリンク。酢・木酢液・焼酎を1:1:1で混ぜたストチュウ原液をペットボトルにつくり置き、300倍以上に薄めて使う。7Lのジョウロの水には、ペットボトルキャップ(約7mL )3杯の原液を混ぜる。
※Caストチュウ水… 酢100mLに卵1個分の殻を1日浸し、カルシウム成分を溶解させたCa酢原液をつくり置く。水やりの際は7Lのストチュウ水にペットボトルキャップ1杯のCa酢原液を加えてCaストチュウ水とする。
1 土づくり
初めての菜園では畝を準備
水はけのよい畑で育てる
養分が少ないと結球せず、多過ぎると虫害が増えます。過湿で病気や根腐れを起こすので水はけの悪い畑では高畝に。夏野菜の跡地など適度に肥沃な畝が適地で、そのまま定植できます。初めて菜園にする場合はもみ殻燻炭で水はけを改善し、堆肥に加えて腐葉土も用いると根張りがよくなります。
2 種蒔きと育苗
①虫と暑さを避けるため
ポットで種蒔き・育苗
ポットに種蒔きして虫害を避け、涼しい場所で苗を育てます。2.5号ポット(直径7.5cm)に4粒ずつ種蒔きしてください。種蒔きから3~4日で発芽します。乾燥防止用に包んだ新聞紙は必ず2日後の朝に外しましょう。
②涼しい半日陰で台に載せ、
本葉1~2枚で2本立ちにする
育苗期間は25日ほどです。苗は木陰やよしずの下などの半日陰の涼しい場所に置いてください。台の上に置くのもポイント。直接地面に置くと輻射熱で暑くなり虫害を受けやすいです。
本葉1~2枚で間引いて2本立ちにします。
3 定植
①定植前に底面吸水
本葉3~4枚に育ったら苗を2本立ちのまま畑に定植します。植え付ける前に1~2時間、ストチュウ水を底面吸水させてください。
②夕方に定植して水やりする
暑さの残る時期の定植は植え付けた苗がしおれやすいため、夕方3時以降に行います。その後、日が暮れたらたっぷり水やりしてください。株間は35~40cmとります。
4 お世話
①本葉5~6枚で1本に間引く
定植から7~10日で本葉5~6枚に育ちます。このタイミングで間引いて1本にしてください。
②間引きと同時に草マルチ&補い
結球開始までお世話を1~2度繰り返す
間引きと同時に株元まで草マルチを重ねましょう。株の周囲には草マルチの上から米ぬかを一握り補います。7~10日後には、再度草マルチと米ぬかを。生育が思わしくなければさらに7~10日後に3度目を補ってください。ただし補いは葉が立ち上がって巻きはじめる前まで。その後の補いは病虫害の原因になります。
③7日に一度、Caストチュウ水で水やり
ハクサイは結球を始めるまでに葉をしっかり育てるのがコツ。この時期に乾燥すると生育が滞ります。定植後は7日に一度、夕方にCaストチュウ水をたっぷり水やりして葉の生育を促してください。
④結球時期の適温は15~16℃
寒冷紗や不織布で温度調節
ハクサイの結球時期の適温は15~16℃。気温が高すぎても低すぎても結球しにくいです。暑い場合は寒冷紗、寒い場合は不織布を用いて温度を調節するとよいでしょう。いずれもベタ掛けでかまいません。
5 収穫
①結球してかたく締まったら収穫適期
結球後、頭を押さえて、中がかたく締まっていたら収穫できます。やわらかいうちは葉が少なく味も落ちます。結球が不十分のまま冬になる場合は、寒さが球の中に入りにくいよう、早めに球の頭を縛るか、不織布をベタ掛けすると、多少結球が進みます。
②結球せずに終わった株は
翌春に菜の花で収穫
結球しなかった株はそのまま畑に残しておきましょう。翌春にとう立ちして菜の花を付けるので、つぼみを穫って食べます。
監修/竹内孝功
たけうち・あつのり●1977年生まれ。長野県を拠点に菜園教室「自然菜園スクール」などを開催。著書に『自然菜園で育てる健康野菜ゼロから始める無農薬栽培』『完全版 自給自足の自然菜園12カ月 野菜・米・卵のある暮らしのつくり方』、最新刊・新装版『無農薬「自然菜園」で育てる人気野菜』(すべて宝島社)ほか多数。
WEBサイト「@自給自足Life」https://39zzlife.jimdofree.com/
文・写真/新田穂高 イラスト/関上絵美・晴香
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