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田舎暮らしの本 11月号

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田舎暮らしの本 11月号

10月3日(木)
890円(税込)

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ハクサイは生育前半に外葉を大きく育てるのがポイント/竹内孝功さんに教わる自然菜園のスゴ技【第18回】

掲載:2023年9月号

結球がうれしい冬野菜の女王
初期のお世話で大きく育てる

地中海沿岸から中央アジアの草原地帯に自生するアブラナ科の一年草。その後、中国でカブやパクチョイの原種と交雑してハクサイができました。春蒔きよりも、夏秋に種蒔きして秋冬の低温期に収穫するのが育てやすいです。過湿に弱いため水はけのよい畝を選んでください。夏野菜がよく育った畝が適地。結球までの生育前半にしっかりとお世話して外葉を大きく育てるのがポイントです。

※ストチュウ水…雨水に似た野菜の栄養ドリンク。酢・木酢液・焼酎を1:1:1で混ぜたストチュウ原液をペットボトルにつくり置き、300倍以上に薄めて使う。7Lのジョウロの水には、ペットボトルキャップ(約7mL )3杯の原液を混ぜる。

※Caストチュウ水… 酢100mLに卵1個分の殻を1日浸し、カルシウム成分を溶解させたCa酢原液をつくり置く。水やりの際は7Lのストチュウ水にペットボトルキャップ1杯のCa酢原液を加えてCaストチュウ水とする。

1 土づくり

初めての菜園では畝を準備
水はけのよい畑で育てる

 養分が少ないと結球せず、多過ぎると虫害が増えます。過湿で病気や根腐れを起こすので水はけの悪い畑では高畝に。夏野菜の跡地など適度に肥沃な畝が適地で、そのまま定植できます。初めて菜園にする場合はもみ殻燻炭で水はけを改善し、堆肥に加えて腐葉土も用いると根張りがよくなります。

2 種蒔きと育苗

①虫と暑さを避けるため
ポットで種蒔き・育苗

 ポットに種蒔きして虫害を避け、涼しい場所で苗を育てます。2.5号ポット(直径7.5cm)に4粒ずつ種蒔きしてください。種蒔きから3~4日で発芽します。乾燥防止用に包んだ新聞紙は必ず2日後の朝に外しましょう。

ポットに詰める土は市販の培養土でよいが、培養土・畑の土・もみ殻燻炭を8:1:1の比率で混ぜると、がっちりした根の苗になる。ポットに 詰める前に水を加えてよく混ぜておく。水分量は50~60%、土を握ると固まり、突くと崩れるほどが目安になる

ポットにしっかりと土を詰め、2カ所に蒔き穴をつける

1つの蒔き穴に2粒ずつ、1ポットに計4粒ずつ種を蒔く

種の直径の2倍ほどの厚さに覆土し、しっかりと鎮圧して発芽を促す

たっぷり水やりした後、乾燥防止用に新聞紙で覆い、さらに水をかけて新聞紙を濡らす。その後は翌々日に新聞紙を外すまで水やりしない

②涼しい半日陰で台に載せ、
本葉1~2枚で2本立ちにする

 育苗期間は25日ほどです。苗は木陰やよしずの下などの半日陰の涼しい場所に置いてください。台の上に置くのもポイント。直接地面に置くと輻射熱で暑くなり虫害を受けやすいです。

 本葉1~2枚で間引いて2本立ちにします。

本葉1~2枚でハサミを使って間引き、育ちのよいものを2本残す

3 定植

①定植前に底面吸水

 本葉3~4枚に育ったら苗を2本立ちのまま畑に定植します。植え付ける前に1~2時間、ストチュウ水を底面吸水させてください。

タライなどに3cmほどストチュウ水を張り、ポットの底を浸す

②夕方に定植して水やりする

 暑さの残る時期の定植は植え付けた苗がしおれやすいため、夕方3時以降に行います。その後、日が暮れたらたっぷり水やりしてください。株間は35~40cmとります。

根鉢の上面と地面が同じ高さになるように植え穴を掘る

土中をよく観察し、ネキリムシなどが潜んでいたら除く

2本立ちのまま植え付ける。土を隙間に戻したら、しっかり鎮圧して周囲の土と根鉢を密着させる

周囲に草マルチして乾燥を防ぐ。コオロギなどが寄らないよう株元は空 けておく。さらに日没後に水やりする

4 お世話

①本葉5~6枚で1本に間引く

 定植から7~10日で本葉5~6枚に育ちます。このタイミングで間引いて1本にしてください。

本葉5~6枚でよく育ったものを1本残してハサミで間引く。間引き菜は 持ち帰って食べるか、その場で草マルチにする

②間引きと同時に草マルチ&補い
結球開始までお世話を1~2度繰り返す

 間引きと同時に株元まで草マルチを重ねましょう。株の周囲には草マルチの上から米ぬかを一握り補います。7~10日後には、再度草マルチと米ぬかを。生育が思わしくなければさらに7~10日後に3度目を補ってください。ただし補いは葉が立ち上がって巻きはじめる前まで。その後の補いは病虫害の原因になります。

株元まで草マルチしたら、上から米ぬかを株の周りにぐるりと補う

③7日に一度、Caストチュウ水で水やり

 ハクサイは結球を始めるまでに葉をしっかり育てるのがコツ。この時期に乾燥すると生育が滞ります。定植後は7日に一度、夕方にCaストチュウ水をたっぷり水やりして葉の生育を促してください。

水やりは夕立のように葉の上からたっぷりCaストチュウ水をかける

④結球時期の適温は15~16℃
寒冷紗や不織布で温度調節

 ハクサイの結球時期の適温は15~16℃。気温が高すぎても低すぎても結球しにくいです。暑い場合は寒冷紗、寒い場合は不織布を用いて温度を調節するとよいでしょう。いずれもベタ掛けでかまいません。

結球開始前に寒くなった場合は、不織布をベタ掛けする。ふんわりとかけたら、風で飛ばされないようペグを土に差して固定する

5 収穫

①結球してかたく締まったら収穫適期

 結球後、頭を押さえて、中がかたく締まっていたら収穫できます。やわらかいうちは葉が少なく味も落ちます。結球が不十分のまま冬になる場合は、寒さが球の中に入りにくいよう、早めに球の頭を縛るか、不織布をベタ掛けすると、多少結球が進みます。

球の頭を押さえてかたく締まったものから収穫。鎌を使って切り取る

外葉は持ち帰らず、その場で除いて草マルチにする

②結球せずに終わった株は
翌春に菜の花で収穫

 結球しなかった株はそのまま畑に残しておきましょう。翌春にとう立ちして菜の花を付けるので、つぼみを穫って食べます。

ハクサイの菜の花は大ぶりでやわらかく甘味のある極上の味わい

 

監修/竹内孝功

たけうち・あつのり1977年生まれ。長野県を拠点に菜園教室「自然菜園スクール」などを開催。著書に『自然菜園で育てる健康野菜ゼロから始める無農薬栽培』『完全版 自給自足の自然菜園12カ月 野菜・米・卵のある暮らしのつくり方』、最新刊・新装版『無農薬「自然菜園」で育てる人気野菜』(すべて宝島社)ほか多数。

WEBサイト「@自給自足Life」https://39zzlife.jimdofree.com/

 

文・写真/新田穂高 イラスト/関上絵美・晴香

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