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田舎暮らしの本 1月号

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田舎暮らしの本 1月号

12月3日(火)
890円(税込)

© TAKARAJIMASHA,Inc. All Rights Reserved.

農業や釣りを一年中楽しめるまちで、セカンドライフをアクティブに満喫!【大分県佐伯市】

掲載:2022年3月号

大分県内で最も南に位置し、黒潮の流れ込む豊後水道に面してリアス海岸が広がる佐伯市(さいきし)。温暖な気候の下でアクティブに暮らせる拠点を探し求めていた夫妻は、年間を通じて農業や釣りを満喫できるこのまちが気に入り、理想のセカンドライフをスタートさせた。

暖かな楽園を求めて佐伯市に行き着いた松田さん夫妻。自宅は4DKの平屋で、合計100万円の取得費補助・改修費補助を利用した。

佐伯市は日豊海岸国定公園や祖母傾国定公園、祖母・傾・大崩ユネスコエコパークの大自然に囲まれた、東九州随一の水産都市。釣りはもちろん、サンゴの海でのマリンレジャーも盛ん。大分空港から車で約1時間30分。

冬も家の中にこもらず、農作業を続けたかった

 昔から漁業で栄えてきた佐伯市蒲江(かまえ)は、市内最南端のまち。そのため蒲江に限ると年間平均気温17.1度と特に温暖で農業も盛ん。このまちで畑仕事に精を出すのが、熊本県出身の松田芳久(よしひさ)さん(71歳)・さとみさん(62歳)夫妻だ。港を見晴らせる高台の物件を2020年12月に50万円で購入した。

「もともと住んでいた山都町(やまとちょう)でも趣味で農業をしていましたが、冬は冷え込むので畑ができず、遊びに出かけるのも困難。仕事を引退したあと、冬になるたびに暖房の効いた部屋にずっと閉じこもる生活でいいのかなと夫に話していたんです」

 そこで新たな拠点を探し、行き着いたのが今の場所だ。

「最初は宮崎県の延岡市(のべおかし)や日向市(ひゅうがし)で考えていましたが、調べてみると蒲江のほうが年間平均気温は高いんです。憧れていた海が見える物件も見つかったので、 購入を決めました」

 と、芳久さん。畑は家の前に付属していた約70坪に加え、近隣の遊休地を任され、合計約1200坪に。ナスやトマトはハウスで12月ごろまで栽培し、近所の人たちから驚かれたというが、「これだけ温暖なのに育てないのはもったいないですから」と、さとみさんは話す。

 芳久さんは、しばらく遠ざかっていた趣味の釣りの再開も決意。漁が趣味の木許恵規(きもとよしのり)さんとの出会いがきっかけだった。

「釣った魚を頂くうちに釣り船もいいなとひかれ、船舶免許を取って中古の小型船を買いました。船を持つなんて考えてもいませんでしたが、購入後の船の面倒を見てくれる会社を木許さんが紹介してくださり、それなら安心だと思って」

 新天地での暮らしを満喫する夫妻だが、さとみさんが山都町で続けているボランティア活動もあり、当初は半分ずつ行き来する計画だったとか。ところが今はほとんどの時間を温暖な佐伯市で過ごし、山都町の家は主に夏の避暑で利用。双方のイイトコ取りを楽しんでいる。

Before  各和室の畳はすべて撤去され、下地だけの状態になっていた。

After  来客時に使う床の間付きの和室には上質な和紙畳を採用。壊れた建具も補修した。

Before  DKの床はそのまま使える状態だったものの、流し台は取り外されていた。

After  シンプルな流し台を新たに設置し、給湯ができるように給湯器と配管を整備。

Before  青いタイルで統一された浴室。薪直焚きの五右衛門風呂スタイルでお湯の配管はなく、浴槽は小さめ。

After  ガス給湯器を設置し、浴槽を入れ替え、シャワーを新設。タイルは補修を兼ねてカラフルに。

「しばらく釣りはやめていましたが移住に合わせて道具を改めて買いました」と芳久さん。 今後本格的に再開予定だ。

自宅の敷地内や近隣の畑で季節の野菜を栽培。完全無農薬にこだわっているという。

温暖な気候を生かして、ドラゴンフル ーツとバンレイシのハウス栽培にも挑戦中。

中央右が船を買うきっかけになった木許さん、同左は畑をお借りしている髙羽千代恵さん。

収穫した農産物を卸している、地元産の野菜や鮮魚の直売所「かまえインターパーク」。 http://kamae-amabe.com

船のある暮らしも!

 芳久さんは受講料約13万円で船舶免許を取得し、運送費を含めて約40万円で小型の釣り船を手に入れた。

「現在漁協へ加入申請中で、認められて船の漁船登録などの手続きが完了すれば、係留費は免除されるようです。仮に遊漁船登録でも係留費は年3万1200円と、佐伯市は安いですね」と芳久さん。

 

文・写真/笹木博幸

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