掲載:2023年6月号
2列10本以上育てて実が充実
穫れたてのおいしさは格別!
無農薬で穫れたてのトウモロコシは家庭菜園ならではのおいしさです。中南米原産、高温で降雨のある地域で育ちます。冷涼を好む小麦と比べて7倍の水を使うといわれ、降雨がないときの水やりがポイントです。房の中の各粒に受粉が必要ですが、同じ株の雄花と雌花は同時に咲きません。2列10本以上を育てて確実に受粉させましょう。生育は本葉5~6枚までの初期にある程度決まってしまいます。最初のお世話を大切にしてください。
※雨水に似た野菜の栄養ドリンク。酢・木酢液・焼酎を1:1:1で混ぜたストチュウ原液をペットボトルにつくり置き、300倍以上に薄めて使う。7Lのジョウロの水には、ペットボトルキャップ(約7mL )3杯の原液を混ぜる。
1 土づくり
水はけよく肥沃な畑を用意
初めての菜園では畝を準備
水はけよく肥沃な畑で育ちます。やせ地では生育が振るわないため、初めて菜園にする畑ではしっかりと畝の準備をしてください。
2 準備
鳥害のある畑や寒冷地では
ポットに種蒔きして育苗
トウモロコシの発芽適温は高く、25〜30℃です。寒冷地などではポットに種蒔きして暖かい場所で育苗しておき、降霜の時期後に畑に定植すると、少し早めに収穫できます。また、直蒔きで鳥の食害を受けやすい畑でも、育苗して定植すれば安心です。
3 直蒔きと間引き
①直蒔きは最低気温15℃以上になってから
直蒔きは発芽に必要な地温になるまで待って、最低気温15℃以上、小麦の出穂やフジの花の満開を目安にします。無理して早蒔きすると発芽が揃いません。幅1mの畝の左右2列に蒔き、株間は30cmに。エダマメを混植するときは株間50cmとして中間にエダマメを蒔きます。
②本葉2~3枚で2本
3~4枚で1本立ちに
4粒蒔きしたトウモロコシは協力して発芽した後、すぐに競争を始めます。タイミングを逃さずに間引きをして生長を助けましょう。育ちのよいものを残し、本葉2~3枚で2本、3~4枚で1本にします。
4 定植
遅霜の季節が過ぎてから
本葉2~3枚で定植
苗は霜に当たると枯れるため、遅霜の心配がなくなってから畑に定植します。直蒔き同様、小麦の出穂やフジの満開時期以降です。本葉2~3枚に育った苗を、1本ずつに分けて定植してください。
5 お世話
①雨がなければ
ストチュウ水で水やり
トウモロコシは乾燥し過ぎると育ちが悪くなります。生育の初期段階から、1週間雨がなければストチュウ水で水やりしてください。雄穂、雌穂が出穂する時期にも特に水分が必要です。高温で乾燥しやすいころなので、早朝か夕方にたっぷり水やりして、穂の生育を促しましょう。
②本葉5~6枚と6~8枚で
草マルチ&米ぬかの補いを
乾燥を防いで育てるため、本葉5~6枚のころには株元を草マルチでしっかりと覆います。このとき、葉色が薄く育ちが遅いようなら株の周囲に米ぬかを1株に半握りほど、ぐるりと補ってください。
本葉6~8枚でさらに草マルチを重ね、葉色が薄いようならもう一度米ぬかを補います。この時期を過ぎての補いや、肥沃な畑での過剰な補いは、アブラムシを増やす原因になるため避けましょう。
③雌穂は1株につき1つに
2つ目以降はヤングコーンに
大きい房を収穫できるは1株に1つです。最初の雌穂を充分に太らせるためには、その下に出る2番目、3番目の雌穂を絹糸が出たタイミングで除いてください。
④雄穂が開花したら人工授粉で
歯抜けのない実を付けさせる
トウモロコシは自然のままでも受粉しますが、歯抜けのない実を穫るには人工授粉をします。雄穂が開花して花粉を落としはじめたら、晴れた日に切り取り、白く若い雌穂の先にまんべんなく花粉を付けて受粉させましょう。
6 収穫
①絹糸が焦げ茶色になったら
皮の中を確かめてから収穫
雌穂の先に絹糸が伸びた後、20~25日で収穫適期を迎えます。絹糸が焦げ茶色になり、雌穂が房としてしっかりと膨らんだら、先の皮をめくって実入りを確認してください。同時にアワノメイガの幼虫がいれば除きます。
②日の出前の早朝穫りがベスト
立てたまま運んですぐゆでる
おいしく食べるには日の出前の早朝穫りがベストです。収穫適期の幅は2~5日。穫り遅れると実がかたくなり甘味も抜けてしまいます。
穫った房は寝かせると甘味が抜けやすいため、立てたまま持ち帰ります。穫れたての味は格別です。できるだけ早くゆでましょう。
監修/竹内孝功
たけうち・あつのり●1977年生まれ。長野県を拠点に菜園教室「自然菜園スクール」などを開催。著書に『自然菜園で育てる健康野菜ゼロから始める無農薬栽培』『完全版 自給自足の自然菜園12カ月 野菜・米・卵のある暮らしのつくり方』、最新刊・新装版『無農薬「自然菜園」で育てる人気野菜』(すべて宝島社)ほか多数。
WEBサイト「@自給自足Life」https://39zzlife.jimdofree.com/
文・写真/新田穂高 イラスト/関上絵美・晴香
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