掲載:2021年12月号
大江山をはじめとする「福知山親名山(しんめいざん)十選」の山々が囲む盆地に、城下町としての歴史から鬼伝説まで多彩な魅力があふれる福知山市。夫の転勤を機にセカンドハウス購入を決めた家族は、週末を中心に、以前から興味があった農業に取り組み始めた。

京都市からの転勤を機に福知山市でセカンドハウスを購入した松本さん(左)。右の佐藤さんはJA退職後農業を営み、松本さんの米づくりの師匠でもある。

天気がよければ庭から三岳山(みたけさん)まで一望。ここで飲むコーヒーは最高!

由良川流域の福知山盆地に広がる京都府北西部の福知山市。市街地に都市基盤が整っている一方、近隣に農地や美しい山並みが広がり、日本海やスキー場へも車で約1時間。大阪市内から車やJR特急で約1時間30分。
農業や虫捕りなどで身も心もリフレッシュ
田畑が広がる山里にゆったりとたたずむのは、築約100年の平屋。高台に位置し、集落や山々の見晴らしが気持ちいい。
「空気が澄んでいて、都会と違って空が広いんです」
そう話すのは、京都市に住む妻や子どもたち3人とともに、福知山市との二地域居住を始めた松本貴史(まつもとたかし)さん(59歳)。きっかけは京都市から福知山市への転勤で、車で片道約1時間30分の通勤が苦になった。
「福知山は日本海の新鮮な魚がスーパーで安く手に入ることも決断の理由。当初は単身用のアパートも考えましたが、せっかくなら家族一緒に楽しもうと今の古民家を選びました」
2020年5月に500万円で購入した3DKは、室内を現代的に改修済み。特に、約30 a(約900坪)の田畑が付くことが気に入った。
現在は妻が京都市内のマンションで育てた苗を持ち込み、毎週末に野菜づくりに精を出す。松本さんは、地域の集まりで出会った農家の佐藤耕三(さとうこうぞう)さんの協力を得て、今年から米づくりに挑戦。ほかにもセカンドハウスでの楽しみは数多い。
「夏は庭にプールを出して子どもたちと遊び、満天の星の下でバーベキューや花火も。玄関先でカブトムシが捕まえられるなど、都会のマンション生活ではできない経験ばかりです」
と、松本さん。すっかり気に入った福知山の魅力を知ってもらうため、最近はウェブを通じたまちのグルメや伝統文化の情報発信にも力を注ぐ。

掘りごたつ付きの和室。隣のキッチンには床暖房を備え、古民家でありながら設備が充実。

約20畳の倉庫。今後はフローリングにして子どもたちのピアノ室などにする計画も。

L字型のシステムキッチンはそのまま使えたが、ガラストップのガスコンロに交換した。

「米づくりの“新米”がつくった新米です(笑)」と松本さん。今年は天候不順もあり、収穫は約300kg。

この日はナスビを収穫。主に妻が苗づくりから行い、松本さんは手入れをサポート。

「子どもたちが玄関先で見つけたカブトムシを飼育しているんです」と松本さん。

農地付きという点もこの物件に決めた理由の1つ。家の前に約30aの田畑がある。

今年は念願の米づくりに挑戦した。「野菜はほとんど妻がつくっていて、自分が何もつくらないと立場がないので(笑)」と松本さん。

子どもたちも京都市内から遊びに来ると農作業を手伝い、収穫した野菜でバーベキューを楽しんでいる。

オススメスポット
親子で訪れて楽しんだ「日本の鬼の交流博物館」。大江山の鬼伝説のほか国内外の鬼にまつわる資料を展示。https://www.city.fukuchiyama.lg.jp/onihaku
福知山市移住支援情報
相談員5人が細やかに対応
市役所本庁舎2階に開設した移住定住サポートセンターでは、移住専門の相談員5人を配置し、空き家や地域の情報提供、先輩移住者の紹介をはじめ、きめ細かなサポートを行っている。そのほか、セミオーダースタイルの「福知山暮らし体感ツアー」、オンラインでの移住相談や空き家内覧なども受け付け中。
問い合わせ先:まちづくり推進課 ☎0773-24-7225 https://www.welcomeiju.city.fukuchiyama.lg.jp

オフラインやオンラインで移住に関する疑問や不安を解消。

「ときは今! 移住するなら明智光秀が築いた城下町、福知山へ。」と、 まちづくり推進課の田倉佑夏さん。
文・写真/笹木博幸
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