薪ストーブが設置され、引っ越しも無事に完了した和田邸。今回は恒例の、プロの大工による「出来栄えチェック」だ! さて、いったい何点なのか!?
掲載:2019年9月号
DIYならではの施工に“自由すぎてうらやましい”
ではまずは外観から。
白土「予想していたよりオシャレな家ですね」
一同「おおー!」
中山「ダメ出しから始まるかと思いきや、意外にも肯定的」
白土「でもこれ、なんのシミ?」
白土さんが指さしたのは、柱直下の土台に広がるシミである(A)。
和田「わかんない!」
阪口「明らかに柱から垂れてきた雨水だろ」
ゆき「なんか、悪いことが起こりそうな気がする」
中山「……死人が出るとか?」
和田「やめて!」(←怖い話苦手)
白土「まあ、土台が腐ってくるとかですかね」
この部分は将来的に下屋を増築し、屋内になる予定ということで一応、問題は解決。次に北側に回ってみる(B)。
白土「へええ。焼き杉で仕上げたんですね」
中山「これね、板を張ってから焼いたんですよ。だからホラ、網戸が溶けてる」
白土「……(失笑)」
水野「しかもサッシの種類がすべて違うんですよー」
白土「……(再度失笑)」
阪口「あとね、サッシのフチに防水テープ貼ってないんですよ」
ゆき「まあ……、コーキングしとけば、いいんじゃない?」
和田「ホラ! やっぱり困ったときはコーキングだね!」
一同「完全に開き直ってるし!」
家の周囲をグルリと1周して、屋根などの仕上がりをチェックしつつ、再び正面へ。そこでふと、桁(けた)に目をやる白土さん。
白土「こんなに飛び出した桁、見たことないね(C)」
和田「カッコよくない? ダメ? もとは屋根から飛び出すくらい長かったんだけど、さすがに雨に濡れて腐ると思って、妥協してここまでぶった切りました」
阪口「あの棟木、先っぽだけ継いであるんですよ(D)」
白土「……(再再度失笑)」
中山「それよりも、このウッドデッキ見てくださいよ。完成前にすでに腐ってるっていう(E)」
水野「穴とか開いていて危ないし!」
白土「いやー、ここまで自由にできて、うらやましいですよ」
和田「今のはホメ言葉だよね!?」
一同「違うっつーの!」
ウッドデッキから掃き出し窓へ。話題は当然、ムリヤリ切り欠きを入れた丸太柱に及ぶ(F)。説明を受けて開口一番。
白土「うわー、最悪の仕事だ!」
阪口「この柱、都合が悪くなるたびに切り欠きしているから、どんどん細くなってるんですよ」
ゆき「一回バラして、どうなってるか見てみたい」
意味不明の窓や変な細工に失笑が止まらない!?
そして一同は家の中へ。
まず目に飛び込んでくるのが、長大な丸太の桁である(G)。
白土「すごいね。一本モノだね」
中山「柱の上に引っかかってる、あのキャンプ用コンロはなに?(H)」
和田「アレね! 羽子板金物を隠したかったの!」
阪口「そういえば金物、減ってね?」
和田「美しくないから、取っちゃった!」
一同「えー、大丈夫なのか!?」
和田「大丈夫大丈夫!」
白土「きちんとホゾを組んであれば、まぁ、大丈夫ですよ」
阪口「ゆるゆるだったような」
中山「しかも、ホゾが短かったような」
和田「大丈夫大丈夫!」
次に水回りへ。まずは自作のキッチンシンクから(I)。
ゆき「このキッチンの棚、ちゃんと開くのかなあ」
和田「もちろん! ホラ!」
ゆき「すごいね。全部、スライドレールなんだ。よくやったね」
しかしそのレールがお隣の「C国製」で、重量がかかるとレールがゆがみ、引き出せなくなる……、というのは以前に既報の通り。とはいえ、今までで一番の高評価に鼻高々の和田である。
次に一行は脱衣場へ。
和田「見てくださいよ! この古材を活かした棚!(J)」
確かに前回には存在しなかったつくり付けの棚板がアチコチに。
それよりも気になるのは、やはり意味不明の窓だ(K)。
白土「この窓は?」
和田「筋交いの関係でこうなったんだよね!」
白土「ていうか、なんのため?」
和田「通気をよくしようと思って!」
白土「……(再再再度失笑)」
阪口「大失敗といえば、洗面所の引き戸の合わせだよね。引き戸を受け材で受けられないという(L)」
ゆき「まあ……かろうじて閉まるから、いいんじゃないですか?」
そして一同の関心は浴室へ。
和田「ここさ、風呂の敷居が低すぎたみたいで! レールまで水が来ちゃうんだよね!(M)」
白土「柱の下に水が入るのが心配だね」
一同「やっぱり!」
ゆき「もうね、シロアリがてんこ盛りのゴハンみたいになるよ」
一同「怖すぎる!」
中山「ていうか、それまでもてばいいけどねえ」
水野「シロアリが繁殖する以前に倒壊するってことね(笑)」
中山「そうそう。あと火事ね」
和田「……大丈夫だから!」
見栄っ張り星人の面目躍如! 薪ストーブ周りは高評価
次に薪ストーブへ(N)。
白土「炉台すごいよね。あんまり熱くなってないね」
和田「おっほっほ!(←鼻高々)」
阪口「そうそう。断熱材がもみ殻なんですよ、ここの家。どう思います?」
白土「まあ……、個人の自由ですから」
和田「そういえば最近、暖かくなったからコクゾウムシがはい出てきてさ! シュロ製のハエ叩きで潰してるんだけど、これが使いやすいんだよね!」
自作のハエ叩きの自慢を始める和田であったが、それは本旨と無関係なので割愛。
せっかくなので床下も点検してもらうことに。懐中電灯片手に点検口をのぞき込む白土さん(O)。
白土「あーでも、大丈夫じゃないですかね。欠陥住宅だと、束がブラブラしていたりするんだけど」
中山「前にログビルダーの熊谷さんに見てもらったときは、奥の部屋の束が腐って床が落ちるって話だったよな」
水野「束が土に埋まってたもんね。あれそのままだよね」
阪口「ここからじゃ見えないよ。奥の点検口は?」
和田「タンス置いちゃったから開けられない!」
一同「意味ねーじゃんよ!」
一通りのチェックを終えて居間に集まる一同である。
中山「住みはじめて気になったことはないの?」
和田「そうそう! 薪ストーブを焚いてるとさ、突然パキーンって大きな音がするのよ。柱や梁が乾燥して割れるんだよね(P)」
阪口「こんな古材でも、まだ乾燥しきってないんだね」
白土「強度には問題ないですよ」
やったという心意気と工夫に、高い点数いただきました!
最後にプロの感想を。
白土「これだけのものを組み上げたのは大したものですよ(笑)」
阪口「お客さんに納品できるレベルですかね?」
白土「こういう、ある意味ザツなのは……。ないですね(笑)」
中山「そりゃそうだ」
白土「でも細々とした工夫が面白いですね。間仕切り壁に窓付けちゃうとかね」
中山「改善点としては?」
白土「雨仕舞いと風呂が怪しいですね」
水野「では総合評価をお願いします!」
白土「シロウトがつくったことを考えると80点。大工なら……、20点かな」
一同「出たー80点! ……ってちょっと高すぎね?」
白土「これをつくろうと思った心意気がほとんどです」
中山「つまりこういうことですかね」
和田「内訳はともかく、80点もらえたし!」
こうして引っ越しが終わった和田邸で完成披露パーティーが開かれた。これまで建築を手伝ってくれた助っ人さんや地元の友人ら、大人子ども約30人が集まり、賑やかな宴会となりましたとさ。
次号、最終回は大御所ライター山本一典さんをお迎えしてセルフビルド対談だ!
文/中山茂大 写真/阪口 克 イラスト/和田義弥
過去記事はこちら!
第1回 基礎工事
第2回 墨付け、刻み
第3回 柱、梁、桁の刻み
第4回 棟上げ目前
第5回 棟上げ
第6回 棟上げ
第7回 棟上げ
第8回 足場組み、家起こし
第9回 屋根
第10回 屋根材張り&プロによる中間チェック
第11回 壁の施工、窓の取り付け
第12回 差し鴨居
第13回 外壁
第14回 はめ殺し窓、下見板
第15回 床の施工
第16回 荒床張りと電気の引き込み
第17回 ウッドデッキ
第18回 天井張り
第19回 内装工事
第20回 水回りの施工
第21回 トイレの設置
第22回 下水管の接続
第23回 下水管の接続
第24回 キッチンの施工
第25回 トイレ後日談
第26回 キッチンの施工
第27回 土壁塗り
第28回 内装&焼き杉
第29回 漆喰塗り
第30回 洗面所の施工
第31回 洗面所の施工
第32回 風呂の施工
第33回 給湯器の取り付け
第34回 混合栓の取り付け
第35回 浴槽の設置
第36回 サッシ窓の取り付け
第37回 内装や配管など
第38回 薪ストーブの設置
第39回 薪ストーブの設置
人力社
ライター中山とカメラマン阪口、 ライター和田の旅とDIYを得意とする3人組トリオ。「人力山荘」シリーズでは中山の母屋リフォーム、中山のアネックス新築DIY、和田の自宅新築DIYを連載。阪口も自宅をDIYで新築している。
人力社HP➡www.jinriki.net
阪口HP➡https://www.sakaguti.org
和田HP➡http://www.wadayoshi.com
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