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田舎暮らしの本 12月号

最新号のご案内

田舎暮らしの本 12月号

11月1日(金)
890円(税込)

© TAKARAJIMASHA,Inc. All Rights Reserved.

玄関づくり-組み上げ【予算200万円】DIY経験しかないスタッフが廃材で家を建ててみた【43】

番外編第2回。すでに基礎工事、刻みが終了したというので、今回の目標は構造材を組み上げて棟上げまで完成させることだ。

掲載:2019年12月号

今回初導入されたドローンからの画像。

前回、カナヅチで潰した和田の左手親指は、写真のような状況に……。けがには気をつけようね。

ドロドロのぬかるみに、ちょっと埋めただけの基礎

 さっそく下屋部分を見物してみると、独立基礎が4つ、一間四方に埋設されている。
中山「……4つだけ?」
和田「そうだけどなにか?」
阪口「……少なくね?」
和田「大丈夫! どうせ柱を載せるだけだしね!」
阪口「『載せるだけ』って基礎と緊結しないってこと?」
和田「そう! 別にいいかなと思ってさ!」
 要するに市販の物置と同じで、基礎の上に載っけるだけということらしい。確かに固定資産税がかからないなど、いいこともあるようだが……。
中山「このところの台風被害を目の当たりにしても、まったく教訓にしないという、この大胆さ」
阪口「じつは、ここの家の屋根も吹き飛ばされたんじゃないかと気が気じゃなかったんだよね」
和田「ぜんっぜん大丈夫だったし! それに台風って反時計回りに回転するからさ! ウチの場合、北から吹き込むんだよね! 北側は軒の張り出しが小さいから!」
中山「まるでそれを見越して建てたかのような言い方だな」
阪口「台風が日本海側を通ったら南から吹き込むじゃん」
和田「そ、そうだっけ……(汗)」
阪口「しかしホントに『置くだけ』で大丈夫なのか? 知り合いの小屋が『置くだけ』なんだけど、歩くとすごい揺れるんだよね」
和田「大丈夫大丈夫! 床はウッドデッキのようなもので、厚板使うから」
中山「そのウッドデッキもナゾなんだけどさ。壁で囲うのに床はウッドデッキなの?」
和田「その通り!」
中山「なんかおかしくね?」
水野「虫とか入ってきそう」
和田「大丈夫大丈夫! みんな心配性なんだから!」
阪口「じゃあウッドデッキにする理由は?」
和田「土間的に使いたいのよ。でも三和土(たたき)だと埃っぽいじゃん」
一同「うーむ……」
 イマイチ納得のいかない一同である。疑念&ツッコミはさらに続く。
中山「それにしても雨の後だとはいえひどいぬかるみなんだけど、基礎は大丈夫なのか?」
和田「もちろん!」
阪口「ちなみにどのくらい埋めたの?」
和田「10㎝くらいかな!」
一同「少ねー!」
和田「大丈夫! 捨てコンちゃんと打ってるし!」
中山「どれくらい打ったのよ?」
和田「3㎝くらいかな!」
一同「少ねー!」
和田「まあね! 動かそうと思えば動いちゃうから!」
阪口「そこ自慢するところじゃないから」
水野「水平はちゃんと出てるの?」
中山「出てるわけないじゃん」
和田「出てるってば!」
 じゃあということで、土台材を仮置きして水準器を当ててみた。
中山「ホラ、やっぱりナナメって……って、あれ?」
阪口「ウソ……。水平だ! 信じられない!」
和田「だから言ったでしょ!」
水野「雪でも降るんじゃない?」
和田「降らないから! そろそろ作業始めて!」
 あらゆる疑念&ツッコミを封印して、いよいよ作業に突入である。

前日来の大雨で地盤はドロドロ。底なし沼のような様相を呈する(写真右)。さっそく泥んこになって遊ぶカズさんの息子・陸矢(りくや)くん。建築関係の仕事をしているカズさんは、今回も大活躍してくれた助っ人さんだ。

息子と2人で基礎を掘り出してみる。すぐに捨てコン(基礎の下に打つコンクリ)が露出した。

実際に土台を基礎に置いて水平を見てみることに。

あくまでも水平を強調する和田。しかしズブズブの地盤はどうなんだ?

ずさんな刻みのオトシマエは腕力!?

和田「中山さん! そっち持って!」
 意気揚々と棟上げを始める和田である。じつはこのとき、助っ人カズさんから、もっともな提案があった。
カズ「組む前にホゾ、測ってみたほうがいいんじゃないの?」
 しかしそれは、面倒な作業をすっ飛ばして、さっさと建前を進めたいという和田の思惑によって、完全にスルーされてしまった。そして案の定というべきか。さっぱりホゾがはまらないのである。
中山「全然入らないんだけど」
和田「どれ!」
 駆け寄ってきた和田が、ホゾとホゾ穴を見比べて言い放つ。
和田「これなら入る!」
中山「いや、無理でしょ」
カズ「やっぱり測ったほうが……」
和田「貸して!」
 カズさんからカケヤを奪い取った和田が、ものすごいイキオイでホゾを叩き込みはじめた。
 ドカッ! ドカッ! ドカッ!
和田「ホラ入った!」(ぜえぜえ)
 ずさんな刻みのオトシマエは腕力でつける……。それがテキトー星人のやり方なのである。

柱のホゾ穴に土台を差し込んでカケヤで叩き込む。普通の人なら入らないが、和田が叩くと、なぜか入ってしまう。

前回に引き続き、わけのわからない和田の注意書き。

 とはいえ、やっぱり組む前にちゃんと測っておいたほうが作業はスムーズなので、カズさんの助言どおり、ホゾとホゾ穴を一つひとつ測ることにした。そしたら次々に誤差が見つかった。長さ、太さ、幅に至るまで、あらゆる部分がテキトーなのである。なかでも圧巻だったのが、前回、珍しくほめてやったチェンソーで開けたホゾ穴で、よく見ると刃が流れて、斜めに貫通しているのだ。しかもホゾ穴自体がゆがんでメチャクチャである。オスのほうも太すぎて、どうにも入らないのがいくつもある。その誤差は1~2㎜どころではなく、もはやセンチレベルなのであった。
阪口「DIY歴11年にして、この程度かよ……(泣)」
中山「なぜこういうことになるのか、一度ちゃんと考えてみたほうがいいと思うよ」
和田「……そ、そうかな!?」
阪口「これで『刻みは終わってるから!』とか堂々と言っていたんだから始末に負えんな」
中山「前々から言ってるけど、ここの現場の徒労感はハンパないからな。組んで、ダメで、下ろして、修正して、また組んで、ダメで」
和田「それを言うなら奥多摩の現場も相当ひどかったけどね! いったい何回上げ下ろしさせられたことか!」
中山「アレはオマエ、7年も前のことだろ? 問題は今現在のこの体たらくは、どうなのよってことでさ」
和田「いや! アレはひどかった! 忘れられない!」
中山「しつこいね、オマエも」

どうしても入らないホゾが続出したので計測してみると……。

ずさんすぎる施工にも、なにも言わずに黙々と手伝ってくれたカズさんには感謝しかないのである。

カケヤで叩く担当・水野。だが、カケヤの重みでふらふら。

そのようなわけで、ここまで作業が進んだにもかかわらず、いったん材木を下ろして修正することに。

 しかし和田には、我われが勝手に「消しゴム」と呼んでいる、ディスクグラインダーがあるのだった。
 研削用のサンダーを装着すると、ホゾの修正には抜群の威力を発揮して、数ミリ程度の誤差なんぞ、ほんの数秒で真っ平ら。バリも取れてツルツルに仕上がるのだ。
和田「やっぱり現場合わせが一番だよね!」
一同「……」
中山「どうですかカズさん。このセリフ、ムカつきませんか?」
カズ「いやー、ははは……(困惑)」
阪口「テキトーなことばっかりやっているとリカバリー方法も確立してくるもんだな」
水野「逆にこういう便利なものがあるから、刻みがテキトーになっちゃうんじゃないの?」
 そんなことでいちいちホゾを修正しながら組み上げていくわけだが、今度はまた別の問題が明るみになった。土台の木口同士が干渉して、ホゾがはまらないのだ。これもまた現場合わせで、邪魔な部分を手ノコで切り落としながら組んでいく。しかもこの作業がほとんどすべての土台、梁(はり)、桁(けた)で行われるので、遅々として作業が進まない。
阪口「まったく……、今日で棟上げ終わるんじゃなかったのかよ!」
和田「ぐ……。まあホラ! 明日があるから!」
中山「トルコの遊牧民のことわざに、『明日できることは今日やるな』ってのがあるんだよね」
水野「何が言いたいわけ?」
中山「つまり不毛な作業は明日に回して、早くビール飲みたいなっていう」
和田「仕事して仕事!」
 不毛な作業は次号に続く……。

計測した結果、明らかに絶対入らないと思われるホゾを修正する中山とカズさん。こうして余計な手間ばかりが増えていくのだ。

現場合わせの修正あれこれ

「現場合わせが一番!」と豪語する和田の「現場合わせ」の数々。
 なぜここまで狂いが生じるのか。
 それは要するに、このテキトー星人が「細かいところは現場で合わせりゃいいや」と考えているからにほかならないのである。
和田「それとネタを提供してるってのも、あるね!」
一同「提供しすぎだっつーの!」

 

 

文/中山茂大 写真/阪口 克 イラスト/和田義弥

過去記事はこちら!
第1回 基礎工事
第2回 墨付け、刻み
第3回 柱、梁、桁の刻み
第4回 棟上げ目前
第5回 棟上げ
第6回 棟上げ
第7回 棟上げ
第8回 足場組み、家起こし
第9回 屋根
第10回 屋根材張り&プロによる中間チェック
第11回  壁の施工、窓の取り付け
第12回  差し鴨居 
第13回  外壁
第14回  はめ殺し窓、下見板
第15回 床の施工
第16回 荒床張りと電気の引き込み
第17回 ウッドデッキ
第18回 天井張り
第19回 内装工事
第20回 水回りの施工
第21回 トイレの設置
第22回 下水管の接続
第23回 下水管の接続
第24回 キッチンの施工
第25回 トイレ後日談
第26回 キッチンの施工
第27回 土壁塗り
第28回 内装&焼き杉
第29回 漆喰塗り
第30回 洗面所の施工
第31回 洗面所の施工
第32回 風呂の施工
第33回 給湯器の取り付け
第34回 混合栓の取り付け
第35回 浴槽の設置
第36回 サッシ窓の取り付け
第37回 内装や配管など
第38回 薪ストーブの設置
第39回 薪ストーブの設置
第40回 出来栄えチェック
第41回 DIY座談会&和田邸プレイバック
第42回 玄関づくり-刻み

人力社
ライター中山とカメラマン阪口、 ライター和田の旅とDIYを得意とする3人組トリオ。「人力山荘」シリーズでは中山の母屋リフォーム、中山のアネックス新築DIY、和田の自宅新築DIYを連載。阪口も自宅をDIYで新築している。
人力社HP➡www.jinriki.net
阪口HP➡https://www.sakaguti.org
和田HP➡http://www.wadayoshi.com

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