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田舎暮らしの本 6月号

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田舎暮らしの本 6月号

5月2日(木)
890円(税込)

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日々是好日/自給自足を夢見て脱サラ農家37年(51)【千葉県八街市】

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 2月22日「農業はきちんとやると体が鍛えられて頭も回るようになる」。

 ズシリと体が重い朝。雨音で目が覚める。そして・・・おお、テレビが言っていた通りキビシイ、ぶるっと来る空模様だ。朝の日課、部屋の中で、毛布をすっぽり掛けて育てている苗物のカバーを取り外してやる。晴天ならば、その箱を外に出して日光を当ててやるが、今日は無理。LEDのライトを灯してやる。次にヒヨコたちを庭に出してやる。ヒヨコたちにとって今朝の冷たい雨は辛いはずだが、箱の中から出たい、出たいと鳴き声をいっせいに発している。それから、朝食をすませ、軽トラで市役所に向かった。昨日も雨で、その雨を利用し、4時間ほど部屋にこもって確定申告書を仕上げたのだ。今はスマホで簡単に出来るとテレビなんかでしきりと伝えられている。でも、僕にはほんとに簡単なのかよと信じがたい。パソコン操作が苦手なせいでもあるが、僕は毎年7枚の用紙にビッシリ数字を書き込み、何枚もの添付書類を台紙に貼り付ける。それがパソコン画面で出来るのかい、ホントに・・・そうとは思えないのだ。雨の中に軽トラを走らせる。市役所までは7キロ。近くて遠い道。途中、踏切のカンカンカンに行く手を阻まれた。我が家は田舎の町の、そのまた田舎。まさに田舎暮らしなのである。

 気温4度。出荷のための生姜、大根、人参、タアサイ、ヤーコン、サトイモを洗う。ひとつ洗うごとに手のしびれ感がます。包み紙の新聞がうまくめくれない。ポリ袋の口がなかなか開けない。最後はお客さんあての手紙の文字がちゃんと書けなかった。でもな・・・マイナス30度まで下がる富良野に比べたらチョロイものだ。朝日新聞「人生の贈りもの」。昨日から始まった連載の主人公は写真家・操上和美氏である。操上さんは方角さえわからなくなるホワイトアウトの中を歩いて学校に通った。家は7ヘクタールのコメ農家。両親が病気だったせいで学校が終わると走って帰り、家の手伝いをしたという。7人兄弟で、親代わりに弟妹の面倒も見たというからすごい方だ。そしてこう語る。

風呂の薪を割ったり、冬のストーブの石炭を運んだり、農作業に欠かせない馬の世話も僕の役目でした。うちはこういう環境だと思って育ったし他を知らないから、つらいと感じたことはなかったですね。農業はきちんとやると体が鍛えられて頭も回るようになる。日々変わる天気や気温を気にしながら、こうしたほうがいいなと機転をきかす。これは写真家になってすごく役立ちました・・・。

 ちなみに、中学を出てからの操上さんは農業、土木作業員、ばんえい競馬の騎手、さまざまな仕事をして家計を助けた。お叱りの言葉もあろうが、ひるがえって、今の都会の暮らしのなんというラクさ加減であろうか。もちろん、家計のやりくり、職場でのストレス、都会生活者も難題に囲まれてはいるけれど、操上さんの苦労とパワーとはおそらく比較にならない。さてこの下の写真、ジャガイモに土寄せをしているところだ。このビニールハウスの主たる作物はジャガイモなのだが、スペースを有効利用するため種ジャガの周辺によそからタアサイを移植しておいた。午前中、出荷用のタアサイを取りに行って、このジャガイモの葉の成長が著しいこと、かつ、土寄せが必要なことに気が付いた。荷造り作業を終えた午後4時半、スコップを手にしてすぐ向かったのである。晴れていればビニールハウスの中はすぐさま汗をかくくらい暑い。しかし今日はいくら体を動かしても汗は出ない。しかし、ジャガイモの喜びが僕の喜びとなる、その満足がこのハウスの中に充満する。農業は体が鍛えられ、頭も回るようになる・・・今日の厳しい天候の中、この言葉を実感するのである。

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