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田舎暮らしの本 5月号

最新号のご案内

田舎暮らしの本 5月号

3月1日(金)
890円(税込)

© TAKARAJIMASHA,Inc. All Rights Reserved.

玄関づくり-草屋根【予算200万円】DIY経験しかないスタッフが廃材で家を建ててみた【48】

前回までに、だいたいの屋根の下地が完成した和田邸。今回は残りの屋根材張りなどを施工。屋根に土を盛るためには、下準備が大変なのだ。

掲載:2020年5月号

たまたま遊びに来ただけなのに手伝わされるご近所の柴田さん(右端)。一緒に高級防水シートを張る。

面倒な煙突の雨仕舞い。後先考えずにやっちゃった!?

 今回もまた屋根施工の続きだが、その前に懸案だった煙突の立ち上がりをなんとかしないといけない。
 既製品の「フラッシング」という金属製の部材を取り付ければ簡単なのだが、価格は5万円以上! そこでケチって自作したわけであった。
水野「自作だと、おいくら?」
和田「下地の合板は廃材で、化粧のトタン代が1698円!」
中山「おお。市価の30分の1か。それなら自作する価値はあるかも」
阪口「ウチはないな。火事が怖い」
水野「低温発火、怖いよね」
和田「大丈夫! 大丈夫!」 
 相変わらず何が大丈夫なのかわからないが、ここでの問題は別にあった。すなわち「雨仕舞い」である。煙突の立ち上がりと屋根との取り合いが議論の的となったのであった。まずは和田の説明を聞いてみよう。
和田「屋根から粘着層付きのアスファルトルーフィングと塩ビシートを立ち上げて防水する! 仕上げは、立ち上がりの周りはアスファルトシングルで、立ち上がりはトタン。すき間ができたらコーキングで何とかする!」
阪口「ルーフィングと塩ビシートを立ち上げて、その上にトタンを被せると」
中山「シングルはトタンの下に収めるってことか」
和田「そう! その通り! さすがわかってるね!」
中山「でもさ、ルーフィングの上に釘でシングル張っちゃうと、すき間から水入ってくるよね?」
阪口「そもそもシングル張らなくてもいいんじゃないの? しかも屋根の途中から」
和田「……そうかな!?」
阪口「だって結局、ルーフィングで防水するんだから、意味ないじゃんよ」
和田「もう遅い! シングル打っちゃった!」
 そう。すでに立ち上がりの周りには一部シングル材を釘打ちしてしまっているのだ。下手に取り外せば釘穴から水漏れすること必定である。
和田「先に言ってよ!」
阪口「知らなかったし!」
中山「後先考えずにやっちゃうからだよ。段取りガン無視。さすがテキトー星人」
和田「オレ、常に何かして動いてないとだめなの。マグロと一緒で止まると死んじゃうんだよね!」 
水野「自分で言ってるし!」

煙突の立ち上がり部分は入念にする。防水性はバッチリ……だと信じよう。

当初は、上の写真のように立ち上がりにもアスファルトシングルを切り張りしてみたが、途中で「意味がない」ということになり、トタン仕上げに変更。

そして仕上がった煙突の立ち上がり。よく見ると防水テープとコーキング剤がたっぷり塗られている。

雨漏り前提の屋根!? テキトー施主は何を考えてる

 煙突の収まりは、とりあえずなんとかなりそうなので、さっそく屋根材を張っていこう。まずは軒側のアスファルトシングルである。接着剤として専用の「シングルセメント」を使用する。ということで、コーキングガン用のシングルセメントを用意していた和田であったが、たった1本(330 cm³)だけ。案の定というべきか、全然足りないのであった。かといって買い足すには、その取り扱いのある大型ホームセンターまで往復2時間。悩ましいところである。DIY好きな読者なら一度は経験するジレンマだ。
 結局どうしたかといえば施工面積を減らすことでツジツマを合わせたのであった。よってシングル張りは3列でひとまず終了し、残りは後日、和田が1人でやることに。……と、ここで脚立で作業していた中山から質問である。
中山「ここまで作業したのになんなんですが」
和田「なに!? まだなんかあるの!?」
中山「シングルは屋根の途中までしか張らないわけだから、上から流れてきた雨がシングルの下に入り込むよね? 釘穴から雨漏りしないのか?」
和田「大丈夫! そこは軒だから!」
阪口「えーと……。つまり、どういう意味でしょうか?」
和田「室内じゃないから雨漏りしてもいいの!」
一同「ええーっ! いいのか!?」
 まさか雨漏り前提の施工だったとは……。呆然とする一同に対して、余裕綽々(よゆうしゃくしゃく)の和田が言い放つ。
和田「大丈夫、漏ったら漏ったで、なんとかするから!」
中山「もはや故意に仕事を増やしているとしか思えんな」
阪口「死なないようにしてるんじゃないの?」
水野「止まると死んじゃうからね(失笑)」
和田「マグロだから!」

おなじみのアスファルトシングルにシングルセメントを塗り、張っていく。コーキングガン専用のシングルセメントは初めて見た。以前の袋入りのもの(下の写真)と比べて作業性が飛躍的にアップ。

短すぎるビスしかなく、助っ人一同がツッコミ

 次は母屋側のオンデュビラの施工であるが、ここでも一悶着起きた。和田が用意したのは51㎜ビスであったが……。
阪口「ビス短くね?」
和田「天井に突き出ていたら格好悪いからさ!」
阪口「だってオマエ、爪の先っぽくらいしか刺さってないじゃんよ(失笑)」
 そもそも野地板の厚みは4分=12㎜である。突き出させないとすれば10㎜程度しか刺さっていないことになる。
和田「そうかな!? でもビスは絶対、突き出させたくないし!」
中山「ある程度食い込んでないと風で飛ばされちゃうのでは?」
水野「しかもキャップの厚みがあって、さらに屋根材同士が重なる部分もあるよね」
阪口「っていうか、オンデュビラ専用の釘があるだろうよ。なんでそれを用意しとかないんだよ!」
和田「ビスでも代用できるかなと思って……」
中山「じゃあせめて長さくらいチェックしとけよ」
和田「ぐ……、わかった! そこまで言うなら65㎜のビス買ってくる!」
 こうして51㎜ビスひと箱1000本入りがまったく無駄になった。
 昼食を挟んで和田が買ってきた65㎜ビスをメインにオンデュビラをジャンジャン打っていく。屋根材が重なって厚みが増す部分は75㎜を使用する。端部の波形の開口部は専用の面戸クッションでふさぎ、わずかにできたすき間にはコーキング剤を塗り込む。

屋根材のオンデュビラにご満悦。

右が和田が当初用意していた51㎜ビス。爪の先っぽくらいしか届いてない。左は65㎜。屋根材同士の重なりを考えると、これでも短いくらいだ。

さっそくオンデュビラを取り付ける和田。上から何㎝とか、横から何㎝とか測らなくていいのだろうか⁉……いいのである。なぜなら彼の家だから。

みんながやかましく言うので、重なり部分にだけは75㎜ビスを使うことで納得。

しかし下から見れば飛び出したビス頭があちこちに。でも台風で屋根が飛ぶよりいいじゃないか。

隅奥の屋根材をビス留めする担当・水野だが、屋根に挟まれて出られず暴れているように見える。

その後を追ってキャップを閉じていく中山。地味すぎる作業。しかも寒い。

和田と阪口がまだ作業しているのに、中山と担当・水野はフライング気味の昼休み。薪ストーブがホッコリ暖かくて離れられない。

高所恐怖症の中山は、地上でパシリに

 最後に屋根の軒部分に、金属メッシュの土留めを取り付ける。溶接したL字金物は垂木に打たないと強度が出ないが、その垂木は、和田がケチったために幅がたったの36㎜しかない。そこで怖くて屋根に上れない中山が、垂木とL字金物の位置を下から一つひとつチェックしながら慎重にビス留めしていくことに。
中山「ホラ! やっぱり1人、下にいるといろいろ便利だろ? おっほっほ!」
阪口「下で、高所恐怖症の人が遠吠えしてますが……?」
和田「ちょっと! カナヅチとインパクト取ってきて!」
 勝ち誇ったように叫ぶ中山に、テキトー施主から注文が飛んだ。
和田「あと65㎜のビスも! 工具箱の横にあるから!」
水野「ついでにちっちゃいバケツも!」
一同「ヨロシク哀愁!」
中山「ていうかオレ… … パシリ?」
 残念ながら今回は、前号予告の「シャレオツ草屋根」の完成には至らなかったが、次回こそテキトー施主・和田が「ライバルはポール・スミザー!」と豪語する草屋根のお披露目……のはず!?

途中で屋根に上ったものの、しばらくすると降りてしまった中山。それにしても脚立が邪魔だ。

それでも垂木が細いので、それぞれ1カ所だけビスで留めることに……。間違うと穴が開くので、失敗は許されない。ここは慎重に。

 

文/中山茂大 写真/阪口 克 イラスト/和田義弥

過去記事はこちら!
第1回 基礎工事
第2回 墨付け、刻み
第3回 柱、梁、桁の刻み
第4回 棟上げ目前
第5回 棟上げ
第6回 棟上げ
第7回 棟上げ
第8回 足場組み、家起こし
第9回 屋根
第10回 屋根材張り&プロによる中間チェック
第11回  壁の施工、窓の取り付け
第12回  差し鴨居 
第13回  外壁
第14回  はめ殺し窓、下見板
第15回 床の施工
第16回 荒床張りと電気の引き込み
第17回 ウッドデッキ
第18回 天井張り
第19回 内装工事
第20回 水回りの施工
第21回 トイレの設置
第22回 下水管の接続
第23回 下水管の接続
第24回 キッチンの施工
第25回 トイレ後日談
第26回 キッチンの施工
第27回 土壁塗り
第28回 内装&焼き杉
第29回 漆喰塗り
第30回 洗面所の施工
第31回 洗面所の施工
第32回 風呂の施工
第33回 給湯器の取り付け
第34回 混合栓の取り付け
第35回 浴槽の設置
第36回 サッシ窓の取り付け
第37回 内装や配管など
第38回 薪ストーブの設置
第39回 薪ストーブの設置
第40回 出来栄えチェック
第41回 DIY座談会&和田邸プレイバック
第42回 玄関づくり-刻み
第43回 玄関づくり-組み上げ
第44回 玄関づくり-組み上げ
第45回 玄関づくり-床張り
第46回 玄関づくり-小屋組み
第47回 玄関づくり-草屋根

人力社
ライター中山とカメラマン阪口、 ライター和田の旅とDIYを得意とする3人組トリオ。「人力山荘」シリーズでは中山の母屋リフォーム、中山のアネックス新築DIY、和田の自宅新築DIYを連載。阪口も自宅をDIYで新築している。
人力社HP➡www.jinriki.net
阪口HP➡https://www.sakaguti.org
和田HP➡http://www.wadayoshi.com

 

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