田舎暮らしの本 Web

  • 田舎暮らしの本 公式Facebookはこちら
  • 田舎暮らしの本 メールマガジン 登録はこちらから
  • 田舎暮らしの本 公式Instagramはこちら

最新号のご案内

田舎暮らしの本 1月号

12月2日(金)
850円(税込)

© TAKARAJIMASHA,Inc. All Rights Reserved.

玄関づくり-草屋根【予算200万円】DIY経験しかないスタッフが廃材で家を建ててみた【49】

前回までに屋根の下地が完成した和田邸。今回からはいよいよ「草屋根」づくりだ。大団円まであと少し!

掲載:2020年6月号

ドローンから見た草屋根。悔しいことに、なんかいい感じである。

目指せポール・スミザー! 無事に草屋根はできるのか

 さて今回からは、いよいよ「和田式草屋根」の草屋根部分の製作に入ろう。「ライバルはポール・スミザー! 目指せイングリッシュガーデン!」と豪語するだけに(和田「してないし!」)、いったいどのような出来栄えになるのか興味深いところである。
 しかしじつは、すでに和田邸には草屋根の試作品があるのだ。畑のそばに建っている農具小屋である。屋根の上にはニラやワケギが植わっていて、実用的な「畑屋根」というべきか?
和田「あーアレね! すでに雨漏りしているし!」
中山「雨漏りしているのか」
和田「安い紙製のアスファルトフェルト敷いただけだからね! 5年でダメになっちゃった!」
水野「今回はちゃんとつくったから大丈夫と言いたいわけね」
中山「ところでイングリッシュガーデンって、どんなの?」
水野「イギリス発祥の、植物の自然な感じを楽しむ庭のことです。ポール・スミザーさんの庭は『ナチュラルガーデン』といって、農薬や化学肥料に頼らず、野草を多用するなど、より自然に近い庭になりますね。イングリッシュガーデンだと薔薇(ばら)をよく植えますね。薔薇……、やっぱり薔薇はきれいよね(うっとり)」
和田「薔薇なんて植えないから!」
阪口「シャレオツなガーデンチェアでティータイムみたいな?」
和田「屋根の上だから! 椅子置かないし!」
中山「じゃあ、全然『英国風』じゃないじゃん」
和田「ていうか『イングリッシュガーデン』なんて一言も言ってないし!」

↑ここで再度おさらいを。以前にも掲載したが、和田邸の草屋根の構造は上記の通り。草屋根部分は、施工に釘などを使わない粘着層付きアスファルトルーフィングで防水。塩ビシートで草の根の貫通を防ぐ。あとは庭の土をその上に載せるだけ。

土盛りは吊り上げ方式で拍子抜けの楽チンさ!

 さっそく作業に入ることにして、まずは土盛りから。
 土は重いので、もみ殻を混ぜ込んで、なるべく軽くしたいという和田の意向で、最初に軽トラいっぱいのもみ殻を運び上げる。もちろん「タダ」でもらったものだ。このもみ殻は、水はけを向上させる意味もあるらしい。
 相変わらず屋根に上るのが怖い中山が、軽トラの屋根から、もみ殻をジャンジャン上げる。それを和田と担当・水野が均一に敷き詰めていく。けっこう大量に使うのかと思ったら、意外とそうでもなくて、用意した量の半分くらいしか使わなかった。

土留めの金属メッシュに沿ってシノダケを敷き詰める。これで土が落ちてくるのを食い止めるらしい。

軽トラいっぱいのもみ殻を運び上げる。

レーキでもみ殻を平らにする和田。もみ殻の上はけっこう滑りやすくて、一瞬滑落しそうになる。

もみ殻を敷き詰める担当・水野。

高所恐怖症克服のため、軽トラ荷台のもみ殻の山に飛び降りてみた。危険なのでマネしないでね。

 次に土を運ぶ。以前、土壁をつくったときと同じく、敷地の土というか泥を掘り出して運んでくるのだ。
 最初は人海戦術かと思ったが、そういえば重機があるじゃないかということで、久しぶりに油圧ショベルが出動。ぬかるみの泥を掘り起こしてネコ車に載せ、建設中の下屋の下に運ぶ。ここで、さらに土ともみ殻を混ぜ合わせ、屋根に運び上げるのである。
 この搬入作業も、当初は人海戦術のバケツリレーが有力案だったが、例の「サンタ殺し」の煙突穴から引っ張り上げるのが楽なんじゃないかというので、ロープを垂らしてバケツを引っ掛け、屋根の上で待ち構える和田がばか力で引っ張り上げる……というやり方を選択したところ、これが見事に奏功し、作業は極めて順調に進んだ。
盛り土の量も想像していたほどではなくて、午後2時くらいに作業は完了。くたびれること必至と考えていた助っ人一同であったが、拍子抜けするほど楽チンであった。
中山「こんなに順調なのは和田邸の建築工事始まって以来ではないかな」
阪口「毎度毎度トラブル続出だからな、この現場は」
和田「おかげで連載が50回近くも続いているからね!」
水野「まるで自分のおかげみたいな言い草」
 まさに「失敗は成功の母」ならぬ「失敗はネタの母」である。

油圧ショベルの運転に初挑戦する担当・水野が、ネコ車を押し潰しそうになる。

ネコ車が足りないので和田家次男・健伸の遊び道具の「ミニネコ車」も駆り出される。

こうして運んだ泥ともみ殻をこね合わせる。

こね合わせた土を運び上げる担当・水野と容赦なくこき使う和田。

枝の切れ端を利用したフックに思わず失笑。

これをロープの先に結わえ、バケツに引っ掛ける(写真上)。バケツは煙突穴を通って引っ張り上げられ……(写真中央)。屋根で和田がキャッチするという仕組み(写真下)。

枯れ草のような雑草を植えて草屋根の完成

 最後に、お楽しみのガーデニング。和田が移植用に庭から引っこ抜いてきたハーブは、初春だというのもあるが、単なる枯れ草みたいなのばかりである。
阪口「見たところ単なる雑草なんですけど」
和田「ハーブなんてもともと雑草だからね! しかも、強健だからきっと屋根の上でもよく育つはず」
阪口「この枯れた枝はなんですか?」
和田「枯れてないから! 冬の間、葉を落としているだけ。チェリーセージっていうハーブ」
水野「この小さな球根みたいなのは?」
和田「ニラとワケギ。こいつらも強い。どんどん増殖していく」
中山「これなんかうちの庭にもたくさん生えてるぞ。クローバーだろ」
和田「シロツメクサね。典型的な雑草だけど、葉っぱも花もかわいいし! で、これがオレガノで、これはタイム。それからヤブランに……」
水野「はいはい、もういいから。それより、誌面的に見栄えがいいフォトジェニックな花は? なんかないの!?」
和田「冬だから咲いてないの! それにどうせ見えないから! 屋根だし!」
阪口「そこの保育園から、よく見えるんじゃないの?」
 そうなのだ。和田家と道路を挟んだ高台にある保育園からは、下屋の屋根がちょうどよく見下ろせるのである。
中山「草で『アンパ○マン』の絵とか描いたらウケそうだな」
和田「ウケなくていいから!」

敷地のアチコチからテキトーに掘り出してきた雑草の数々。

バランスを考えつつ、和田が屋根に植える。根が深く張らない「浅根性(せんこんせい)」の植物を選んだ。

 こうして完成した「和田式草屋根」。春先なので緑に乏しいが、ぱっと見、なかなかイケてるではないか。
中山「前もそうだったけど……、なんか悔しいのはなんでだろう」
水野「テキトーなくせに、たまに成功するからじゃないの?」
阪口「しかしこれさ、雨降ったら真っ黒い水が落ちてきそう」
中山「そうそう。土が全部流れてカサカサになっちゃったりしないのかな」
水野「その前に根が張ればいいけどね」
和田「大丈夫! ダメならまたそのとき考えるし!」
中山「この直情径行。忖度(そんたく)とか一切ナシ! どっかの官僚にも見習ってほしいよな」
和田「そうそう! 実業家のホリ〇モンがこんなこと言ってたよ! 『悩む時間はムダ! とにかく行動しろ!』だってさ!」
一同「実践してるし!(爆笑)」
中山「オマエも本書いたらいいよ。『テキトー施主・和田の考えない思考術』とか。どうですか宝島社で?」
編集長・柳「……それ、誰が買うの?」
 次号、下屋の壁とサッシが取り付けられ、ついに和田邸が完成。本連載も大団円を迎える……!?

ポール・スミザーも真っ青の「和田式草屋根」が完成! 植生が定着する夏が楽しみだぞ!

 

文/中山茂大 写真/阪口 克 イラスト/和田義弥

過去記事はこちら!
第1回 基礎工事
第2回 墨付け、刻み
第3回 柱、梁、桁の刻み
第4回 棟上げ目前
第5回 棟上げ
第6回 棟上げ
第7回 棟上げ
第8回 足場組み、家起こし
第9回 屋根
第10回 屋根材張り&プロによる中間チェック
第11回  壁の施工、窓の取り付け
第12回  差し鴨居 
第13回  外壁
第14回  はめ殺し窓、下見板
第15回 床の施工
第16回 荒床張りと電気の引き込み
第17回 ウッドデッキ
第18回 天井張り
第19回 内装工事
第20回 水回りの施工
第21回 トイレの設置
第22回 下水管の接続
第23回 下水管の接続
第24回 キッチンの施工
第25回 トイレ後日談
第26回 キッチンの施工
第27回 土壁塗り
第28回 内装&焼き杉
第29回 漆喰塗り
第30回 洗面所の施工
第31回 洗面所の施工
第32回 風呂の施工
第33回 給湯器の取り付け
第34回 混合栓の取り付け
第35回 浴槽の設置
第36回 サッシ窓の取り付け
第37回 内装や配管など
第38回 薪ストーブの設置
第39回 薪ストーブの設置
第40回 出来栄えチェック
第41回 DIY座談会&和田邸プレイバック
第42回 玄関づくり-刻み
第43回 玄関づくり-組み上げ
第44回 玄関づくり-組み上げ
第45回 玄関づくり-床張り
第46回 玄関づくり-小屋組み
第47回 玄関づくり-草屋根
第48回 玄関づくり-草屋根

人力社
ライター中山とカメラマン阪口、 ライター和田の旅とDIYを得意とする3人組トリオ。「人力山荘」シリーズでは中山の母屋リフォーム、中山のアネックス新築DIY、和田の自宅新築DIYを連載。阪口も自宅をDIYで新築している。
人力社HP➡www.jinriki.net
阪口HP➡https://www.sakaguti.org
和田HP➡http://www.wadayoshi.com

 

この記事をシェアする

関連記事

この記事のタグ