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田舎暮らしの本 5月号

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田舎暮らしの本 5月号

3月1日(金)
890円(税込)

© TAKARAJIMASHA,Inc. All Rights Reserved.

玄関づくり-サッシ窓【予算200万円】DIY経験しかないスタッフが廃材で家を建ててみた【50】

前回までに「ナチュラルガーデン的草屋根」が完成した和田邸。今回からは、壁の施工と、サッシの掃き出し窓、そして、次回の作業である引き戸の取り付けに入る。

掲載:2020年7月号

意気揚々と運び出してきたサッシ枠。ご満悦の理由は明らかである。

解体屋さんにも無茶ぶりのもらいもの名人・和田

和田「これだから!」
 和田が運び出してきたのは、「苔むした」という表現がぴったりのサッシである。
水野「相変わらず汚いね」
中山「数年間洗ってない金魚鉢みたいだよな」
和田「あとで水野さんに洗ってもらうから!」
水野「また雑用……(泣)」
阪口「しかし解体屋さんもキレイに外してくれたねえ」
 普通は重機で壊してしまうのでサッシがメチャクチャになるわけだが、和田が頼んでおいたので手作業で外してくれたらしい。
和田「いつももらっているところだから!」
水野「常連なのね(失笑)」
 まずはサッシ枠を組み立ててはめ込んでみる。すると、木枠のほうが、かなりデカイことが判明した。1㎝くらいなら木っ端をかませるなどして、なんなくごまかせるが、その程度ではすまないすき間である。しかも真壁なので、雑に仕上げると「モロ見え」になってしまう。
和田「じゃあ、このすき間にはめ込む化粧材をつくろう!」
一同「面倒くせー!」
 一斉にブーイングが上がる。
中山「木枠くらいちゃんとつくれよな。何年DIYやってんだよ」

サッシ枠は四辺を組んでからはめ込むのが鉄則である。

4枚建ての引き違い掃き出し窓はデカイので、複数人で作業したほうがいい。

デカイサッシ枠をはめてみる。案の定ガバガバだが、はまらないよりはずっとマシである。

木枠が水平でないため、また束を取り外すことに

 仕方なく梁(はり)と木枠のすき間を測りはじめる中山であったが……。
中山「あれ? なんかおかしいぞ……」
和田「今度はなに!?(←いかにも迷惑そう)」
中山「わかった! この木枠が下がっているんだ!」
 つまりこういうことである。2間飛ばして取り付けた木枠が、中央部分で重力に負けてしまい、下がっているわけである。その差はおよそ2㎝。さらにその誤差を修正もせずに、束を入れてしまっているのであった(イラスト参照)。

 サッシとのすき間でいうと、左右の両端のすき間がでかくて、中央に行くに従って小さくなっている。とはいえ、すき間自体が広大なので、サッシ枠ははめ込むことができるのである。
和田「じゃあいいじゃん、このままで!」
中山「いや、やめたほうがいいよ」
和田「なんで!?」
中山「すき間にはめ込む木っ端板をつくるのに手間がかる。それにあとで絶対、後悔する気がする」
水野「とすると……、どうするの?」
中山「この束をいったん外して、短いのに取り換える」
和田「えー! 面倒くさい! せっかくここまで仕上げたのに!」
中山「イヤ、そのほうが絶対ラクだと思う」
 理由はただ1つ。すき間が一定になるので、かませる板の厚みが均一でよくなる。つまりここでひと手間かけることであとあとの面倒な加工が必要なくなるのだ。
中山「さらに壁の下地板を張るときにも、均一のほうが絶対ラク!」
和田「ぐ……、わかった! いったん外す!」
 難色を示していた和田もついに納得して、束を外すことになった。
 しかしこれが想像以上に大変な作業だったのである。すでに取り付けた受け材が邪魔で金物が取り外せず、ムリヤリ斜めからビスを抜こうとしたら、頭がなめてしまい、ビスが抜けなくなってしまった。仕方がないので、この期に及んで手ノコで受け材を切り落とすハメになり……。
 またしてもつくっているのか壊しているのかわからないような状態に陥ってしまったのであった。
水野「こんなこと、前にもあったよね」
阪口「屋根の小屋束のときだね」
中山「あのときはカケヤで叩き落としたんだったな」
 どうやら和田邸では「束が鬼門」のようである。

中央の束を短くするという英断に至った和田であったが、取り外すのに異常なほどの手間がかかることが判明。再び泣きそうになる。

面倒すぎる作業の末、ようやく束を取り外す。これで午前中が無為に過ぎていった。

約2間(3640㎜)飛ばして垂れ下がった木枠を和田が持ち上げる。その間に中山が束をビス留めする。

気持ちよくはまったものの、古くさいとディスられる

 こうして前より2㎝短い束を入れ直し、さらにすき間にかませる厚さ27㎜の化粧材を取り付ける。改めてサッシ枠をはめてみた。
中山「おお。気持ちよくスッポリはまったじゃないの。この瞬間がDIYの醍醐味ってもんだよ」
阪口「ここの現場ではめったに味わえない快感だね」
 ビスと釘で固定して、さっそくサッシ窓を入れてみる。
 さっきから地味に拭き掃除をやらされていた担当・水野だが、おかげでサッシ窓はピカピカである。

こうして木枠が水平になった。サッシとのすき間も均一。

いつの間にか柱に取り付けられていた飾り金物だが、サッシ枠に干渉するので、ひん曲げて付け直す。こういうのは最後の最後に取り付けるもんだろ。

いつからためているのかわからない雨水でサッシ窓の洗浄を命じられる担当・水野。いつも地味な雑用でコキ使われるが、じつは立場上一番エライのである。

阪口「おお。やっぱり窓を入れると一気に家らしくなるね」
水野「でもさ、なんとなくパッとしないよね。デザイン? 色のせい?」
阪口「最近のサッシは一枚ガラスが多いけど、昔のは桟で上下に区切っているんだよね。しかも下がすりガラスっていうのが古くさい」
中山「言いたい放題だな(笑)」
和田「まあね! もともとゴミだからさ!」
 どんなにディスられても平気の和田であった。
 そして掃き出し窓を閉めきってみると、案の定というべきか。サッシに1㎝程度のすき間ができてしまった。木枠が微妙にゆがんでいるせいで、窓がきっちり閉まらないのだ。
 しかしここはDIY歴10年の人力社。慌てず騒がず「戸車(とぐるま)調整」を試みる。
和田「ピッタリ閉まったし!」
中山「でもさ、鍵が締めにくくなっちゃうんだよね」
 そう。戸車調整をしすぎると、鍵穴の位置が合わなくなって、鍵がかかりにくくなってしまうのだ(イラスト参照)。
和田「……でもムリヤリやればかかるし!」
 満足のレベルが常に一般よりも低い和田邸であった……。
 次回の作業は、古びた引き戸の取り付けから思わぬトラブルが出来。果たして建具はうまく収まるのか……? 次回を待て!

掃き出し窓を取り付けてみると、このようにすき間ができてしまった。そこですかさず「戸車調整」。

「古くさい」とみんなにディスられながらも完成した「4枚建て掃き出し窓」。しかし、よく見ると梁自体が上の桁の重さに負けて、かなり下がっているではないか。大丈夫なのか、この家は!?

 

文/中山茂大 写真/阪口 克 イラスト/和田義弥

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第1回 基礎工事
第2回 墨付け、刻み
第3回 柱、梁、桁の刻み
第4回 棟上げ目前
第5回 棟上げ
第6回 棟上げ
第7回 棟上げ
第8回 足場組み、家起こし
第9回 屋根
第10回 屋根材張り&プロによる中間チェック
第11回  壁の施工、窓の取り付け
第12回  差し鴨居 
第13回  外壁
第14回  はめ殺し窓、下見板
第15回 床の施工
第16回 荒床張りと電気の引き込み
第17回 ウッドデッキ
第18回 天井張り
第19回 内装工事
第20回 水回りの施工
第21回 トイレの設置
第22回 下水管の接続
第23回 下水管の接続
第24回 キッチンの施工
第25回 トイレ後日談
第26回 キッチンの施工
第27回 土壁塗り
第28回 内装&焼き杉
第29回 漆喰塗り
第30回 洗面所の施工
第31回 洗面所の施工
第32回 風呂の施工
第33回 給湯器の取り付け
第34回 混合栓の取り付け
第35回 浴槽の設置
第36回 サッシ窓の取り付け
第37回 内装や配管など
第38回 薪ストーブの設置
第39回 薪ストーブの設置
第40回 出来栄えチェック
第41回 DIY座談会&和田邸プレイバック
第42回 玄関づくり-刻み
第43回 玄関づくり-組み上げ
第44回 玄関づくり-組み上げ
第45回 玄関づくり-床張り
第46回 玄関づくり-小屋組み
第47回 玄関づくり-草屋根
第48回 玄関づくり-草屋根
第49回 玄関づくり‐草屋根

人力社
ライター中山とカメラマン阪口、 ライター和田の旅とDIYを得意とする3人組トリオ。「人力山荘」シリーズでは中山の母屋リフォーム、中山のアネックス新築DIY、和田の自宅新築DIYを連載。阪口も自宅をDIYで新築している。
人力社HP➡www.jinriki.net
阪口HP➡https://www.sakaguti.org
和田HP➡http://www.wadayoshi.com

 

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