11月28日「森には雑草さえも生えない」。ほんと、不思議な今年の気候である。昨日に続き晴天。しかし今日は強い南風が吹き、シャツ1枚でも平気な暖かさだ。昨夜のクローズアップ現代は「気候難民」がテーマだった。気候変動によって難民となった人はすでに3200万人、将来は2億1000万人にまで増えるだろうという。「クロ現」の顔として知られる、僕もその爽やかな印象が好きな人、桑子さんがアフリカのセネガルやイエメンを訪れる。かつて潤い豊かな黒土だった畑が茶色く、コンクリートのように固まっている。雨が全く降らないというのだ。畑の作物は全滅し、家畜も死ぬ、森には雑草さえも生えない・・・。世界には洪水で苦しめられる国がある一方、こうして水のない苦しみで命まで奪われるところもある。農業者の1人として、水のない苦しみがどれだけのものか、僕にはわかる。この夏、猛暑の中で野菜たちへの潅水に走り回った。既製品のホースは30メートル。それでは届かず、もう1本のホースを無理やりにつなぎ、暑さにあえいでいる野菜たちに水を与えた。しかし僕のその苦心はせいぜい1か月だった。だがアフリカでは年単位で雨の降らない気候が続く。皮肉な言い方をしては申し訳ないとも思うが、あの麻布台ヒルズで瀟洒な庭園を眺めつつ珈琲やケーキを味わっている人々の中には遠いアフリカでのかような現実を露とも知らぬ人がいるのではあるまいか。
明るく暖かい今日の天気だが、時折、轟音とともに吹き抜ける南風は僕に新たな仕事を押し付ける。例によって突貫工事で完成させたビニールハウス。見てくれは悪いが、中のピーマンやトマトは立派に育っている。ただし、寒さを防ぐために追加で重ねた大きなビニールは上の部分をパッカーで留めただけ。今日の強風で裾が激しく舞い上がっている。スコップを手にする。裾に高く土を盛ってやる。長さ10メートル。スコップを打ち込み、腰を回転させながらビニールの裾に向かって土を放り投げる回数は100回、200回、いや、もっと多いだろう。それは難儀な作業か? そうじゃない。これでもって中のピーマンやトマトは穏やかな気持ちになれる。と同時に、オレの筋肉はもう一段進化するはずだ・・・。筋肉には2種類ある。持久力を受け持つ「遅筋」と、瞬発力・パワーを生み出す「速筋」。年齢とともに衰えるのはこの速筋ゆえに、望んだことではないとはいえ、強風の中で土の乗ったスコップを振り回す作業は老人にとって喜ばしいことだ・・・そう、万事をポジティブに捉えられるのが我が性格なのである。君たちはどう生きるべきか・・・生きていれば難題さまざまが生じる。でも逃げない。かつ、8割くらいはなんとか解決できる、そう楽観して事に臨む。ふん、難題がなんだい、このくらいこと。かく受け流して全力を尽すく。それが健康にはとてもよろしい。ウツ病対策の特効薬かもである。
この上の写真はキウイである。風に揺られて僕の知らぬ間に落下したものを拾い集める。それを2つ切りにしてフードドライヤーに並べる。前に触れさせていただい稲垣えみ子さんは、ぬか漬けを作り、野菜は天日干しするのだと書いている。残念ながら僕は無理。飼っている鶏から野鳥まで、うちには天敵が多いゆえ天日干しは難しいのだ。でもって、太陽光発電につないだこのフードドライヤーが活躍するのだ。プラスチックの板は4枚重ねだからかなりの量が同時に乾燥させられる。45度の熱風で半日ほどで完成だ。
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