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田舎暮らしの本 12月号

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田舎暮らしの本 12月号

11月1日(金)
890円(税込)

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玄関づくり-雨どい【予算200万円】DIY経験しかないスタッフが廃材で家を建ててみた【53】

前回、おじいちゃんのおしっこみたいな水の滴りに思わず失笑してしまった和田邸の雨どいである。今回はタテどい作業だ。あの奇っ怪な形状は、いかにしてできあがったのか!?

掲載:2020年10月号

ただのゴミだったタテどいも、和田邸では現役として立派に復活する。これぞまさに、循環型の生活? もしかしてコイツ、時代の最先端を行ってるのかな、とフト思ってしまった。

といの端の処理は、ペンチでゴニョゴニョ!?

 軒先に雨どいを取り付けたところで終わった前回の作業である。
 今回はタテどいの取り付けから始まるわけだが、軒先からそのままタテどいを下ろすと家屋から遠くなり、なにかと邪魔になる。なんとかならんもんか……。
和田「わかった! 短いといを取り付けて家の壁ぎわまで雨水を導く! 集水器も2つあるし! ホラ!」
 そう叫んで和田が持ち出してきたのは、これまた時代がかった銅製の集水器であった。
阪口「汚いんですけど」
中山「中にワラが詰まってる。ツバメが巣でもつくったのかな」
水野「しかもこの変ちくりんな形は、なに?」
中山「きっと職人がつくってみたかったんだよ。会津の『さざえ堂』みたいなもんでさ」
阪口「それはわかる気がするな。ウチも単に『四方蟻継(しほうありつ)ぎ』がやってみたくて、意味もなく途中で柱を切っちゃったもんね」

普通ならゴミに出すような集水器を水で洗い流す。詰まっていたワラクズが流され、なんとなくキレイになった。

 そんなことで、せっかく取り付けた「とい」をいったん取り外し、端っこ1mほどをグラインダで切断。これでタテどいに雨水を流し込もうという作戦である。
 しかし、何も考えずに切断したといは端部が筒抜け。それを閉じなくては、雨水がだだ漏れである。どうするのか。職人の仕上げを見てみると、「菊の御紋」的にクシャクシャに折り込んだ感じになっている。和田が見よう見まねで、ペンチで銅板を折り込んでいったが、その出来栄えは職人の仕事とは似ても似つかないショボい仕上がりに……、それでも何度でもやり直しがきくのが銅板のすごいところ。しばらくゴニョゴニョやっているうちに、なんとなく近い形状に仕上がってきたではないか。
和田「これで銅(どう)だ!?」
中山「へええ。軟らかいから途中で破断したりしないんだね。さすが銅」
阪口「銅(どう)にかなるもんだね」
和田「銅(どう)だけに?」
水野「もう銅(どう)でもいいから!」

といの重なり部分1mほどを金バサミで切断。端っこの部分をペンチでウニャウニャやり始める。

最初は似ても似つかない仕上がりで、助っ人一同の爆笑を誘ったが、そのうちだんだんと形になってきて、ほぼ再現に成功。

奇妙な形の集水器を取り付けてみて、位置などを確認。

適当に切ったわりには、といの長さはピッタリだった。

次に水勾配をつけた高さを割り出して「自家製とい受け」の製作。

溶接と鍛冶の作業で30分でとい受けが完成

 そして、できあがった短いといで集水器とタテどいをつなぐ。水勾配を考えて高さを出す必要があるが、ちょうどいい長さの「とい受け」などあるはずもない。いったいどうするのか?
和田「こういうときに活躍するのが溶接だから!」
 余裕綽々の和田が、その辺に転がっていた鉄筋に既製の、とい受けを溶接。さらに草焼きバーナーで鉄筋の反対側を真っ赤に熱して金づちで叩いて平らに延ばし、ドリルでビス穴を開ける。
 これで「自家製とい受け」の完成。しかもこの間たったの30分弱である。
水野「すごい早業」
中山「昔の鍛冶屋は『なんでも屋』だったって聞いたけどホントだな」

ここからの作業は手際がよい。鉄筋の切断、溶接まで15分程度。

反対側をバーナーで熱し、金づちでガンガン叩いて延ばす。学校から帰ってきた康陽がアシスト。

水に浸けて冷やしてビス穴2カ所を開ければ「自家製とい受け」の完成だ。右の写真はビスで取り付けたところ。

 同じものをもう1つつくって、さっそく取り付ける。さらに下手にも、もう1つの集水器を取り付け、これをタテどいと接続。そして完成したのが、下の写真のような複雑怪奇な形状の雨どいなのであった。
阪口「なんか、意外と格好いいよね」
水野「こういうのあるよね。『ピタゴラ装置』っていうの?」
中山「いっそのこと屋根でニワトリ飼ってさ。産んだ卵が雨どい伝ってコロコロ転がって落ちてきて、タテどいの下のフライパンで目玉焼きになるっていう、アレにしたらいいよ」
水野「それは『翔んで埼玉』の冒頭シーンでしょ」
和田「そういうのいらないから!」
一同「でも、ちょっとやってみたいかも……」

水勾配をとりつつ、カットしたといを設置。自分で加工したといの端っこ部分は、さりげなく見えない側に。集水器は針金をひん曲げて取り付ける。

旧母屋のどうでもいい「タテどい受け」を取り外して流用。適当な高さに取り付けてみる。

最後にタテどいを取り付けて完成。

水を流してみると無事にタテどいまで流れ落ちた。横どいの重なり部分は雨水ダダ漏れだが、あとでコーキングするので「OK牧場」。

こうして変ちくりんな形の雨どいが完成した。しかもタダ(←ここ重要)。

クヌギの大板で踏み台をつくってみた

 いささか旧聞になるが、和田がずいぶん前から死蔵していたクヌギの一枚板を踏み板に利用することにした。厚さ5寸(15㎝)、重さは感触的に60㎏オーバー。切った当初は100㎏近くあっただろう。とても1人では持ち上がらないので、中山と2人で運ぶ。建材にはあまり使われないクヌギだが、ここまでの大板はなかなかない。
和田「数年前に近所で大木を切り倒したんだよね」
水野「それをもらったのね」
和田「もちろん! しかももう1枚あるし!」
中山「オレも1枚もらったよ。お礼にビールをケースであげた」
阪口「わらしべ長者だな」

基礎づくり。重量ブロックを埋め込んだ上に角材の木っ端を置いて水平を確認。

重いクヌギの大板を和田と中山の2人で運ぶ。

もちろんピッタリはまることなどなく……、和田が曲面カンナで微妙な調整をする。

和田と担当・水野が足を載せて確かめてみる。

 

文/中山茂大 写真/阪口 克 イラスト/和田義弥

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第1回 基礎工事
第2回 墨付け、刻み
第3回 柱、梁、桁の刻み
第4回 棟上げ目前
第5回 棟上げ
第6回 棟上げ
第7回 棟上げ
第8回 足場組み、家起こし
第9回 屋根
第10回 屋根材張り&プロによる中間チェック
第11回  壁の施工、窓の取り付け
第12回  差し鴨居 
第13回  外壁
第14回  はめ殺し窓、下見板
第15回 床の施工
第16回 荒床張りと電気の引き込み
第17回 ウッドデッキ
第18回 天井張り
第19回 内装工事
第20回 水回りの施工
第21回 トイレの設置
第22回 下水管の接続
第23回 下水管の接続
第24回 キッチンの施工
第25回 トイレ後日談
第26回 キッチンの施工
第27回 土壁塗り
第28回 内装&焼き杉
第29回 漆喰塗り
第30回 洗面所の施工
第31回 洗面所の施工
第32回 風呂の施工
第33回 給湯器の取り付け
第34回 混合栓の取り付け
第35回 浴槽の設置
第36回 サッシ窓の取り付け
第37回 内装や配管など
第38回 薪ストーブの設置
第39回 薪ストーブの設置
第40回 出来栄えチェック
第41回 DIY座談会&和田邸プレイバック
第42回 玄関づくり-刻み
第43回 玄関づくり-組み上げ
第44回 玄関づくり-組み上げ
第45回 玄関づくり-床張り
第46回 玄関づくり-小屋組み
第47回 玄関づくり-草屋根
第48回 玄関づくり-草屋根
第49回 玄関づくり‐草屋根
第50回 玄関づくり-サッシ窓
第51回 玄関づくり-建具
第52回 玄関づくり-窓と雨どい

人力社
ライター中山とカメラマン阪口、 ライター和田の旅とDIYを得意とする3人組トリオ。「人力山荘」シリーズでは中山の母屋リフォーム、中山のアネックス新築DIY、和田の自宅新築DIYを連載。阪口も自宅をDIYで新築している。
人力社HP➡www.jinriki.net
阪口HP➡https://www.sakaguti.org
和田HP➡http://www.wadayoshi.com

 

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